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中国早すぎ。もっとスローに生きたいw

日中でビジネスをやっていると、日本と中国のスピード感を感じることが多い。

この場合大概の場合「中国早くて最高」「日本遅くでダメ」という日本disに帰結する論調が多いんだけど、私はそうでもないw

大手上場会社の営業さんと話すとやっぱ中国の意思決定早くて最高ってなるので、別にそこを否定するわけじゃないけど、文化とかの面で言えば刹那すぎやしないかと思うことが多々ある。

瞬間的にかつ爆発的に消費して過ぎ去って、その畑には何も残らず再起不能、みたいなトレンドがずっと続いている。

思い返してみれば最高のクリエイティブを届けてくれていた李子柒という農村でおばあちゃんと暮らしていた動画クリエイター。彼女の作品は本当に中国の文化を美しく昇華していて本当に素晴らしいなと思っていたけど忽然と姿を消してしまった。

李子柒さんの動画より

あれは完全資本主義の力が働いてしまったから。というか本人とMCNとの会社のトラブルで、合弁会社の51%の株式を相手に与えてしまい、最終的には意見が合わずにもつれにもつれて更新停止になっちゃったという事件。

分かる人が見ると「なんで株式を相手に51%渡しちゃったんだろ?」となるんですが、素晴らしい作品を作るクリエイターがみんな経済のロジック分かる訳ないだろ!と激しく養護したくなります。

詳細はこちらの記事でご確認ください。超絶分かりやすくまとまってます。

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中国動画配信のスター李子柒がトラブル。MCNとインフルエンサーの衝突は今後も増えそう|中国情報局@北京オフィス (note.com)

日本で同様な案件が起こると、感情的に相手会社側が折れるべきだという世論が沸きあがると思います。なんせ世界中にファンがいるアカウントで、自国カルチャーを品良く伝えているのですから。

でも契約書上はそうはいかん!となるのが中国市場。そういう契約結んだ以上、外野は何も口出しできん。と。冷たいけど、確かにその通り。

そんな経緯もあって、ここ数年はずっと問題解決に時間を使っていて、ようやく2022年末には和解が成立したようで、今年には復活するかも、みたいな感じになってきています。会社の持ち株も99%まで戻したようです。

こんな長期間に渡り満足に作品も作れず、自分の権利を守るための時間を費やして、人が信じられなくなって、それでもまた彼女は美しい動画を作れるんだろうか、と心配になります。

多分、そこから生まれて来る動画は、表面上は昔のようなおばあちゃんと彼女の豊かな農村生活かも知れませんが、彼女の中身はきっと変わってしまっています。資本のゲームの中で見てしまった絶望をもたらす世界に、再度足を踏み出すわけですから。

これは資本の力に才能が潰されてしまった、ということなのかもしくはクリエイターは純粋に良いもの以外のスキルが必須になっていくということのマイルストーンになるのかは、受け取る方の解釈が分かれそうです。

YouTubeだけをうまく運用できればきっと動画を作るだけで生きていけると思います。仲介業もはいらなくて済むので。でも、中国国内においてはどうなることやら…です。

中国では人気とサプライチェーンを同時に持たない限り、広告ビジネスモデルからの脱却はできません。双方を一人で切り盛りできるほどの頭脳と人脈と技術を持ち合わせる人は稀です。

誰かと一緒にやらなきゃいけない。けどその人がIPに対してどういうビジネスモデルを描いているかでIP育成の方針は変わってしまう。

「目先のしょうもないお金稼いでも意味がない!」
「人気あるうちに稼がないでいつ稼ぐんだ?」

よく討論される話題です。特に後者の考えを持っている人が多く、それは早い社会変革が続いてきた中国においては当たり前かと思います。

去年流行ってたものが今年はからっきし売れない、みたいなことは本当によくあります。そしてこの10年生き残っているインフルエンサーなんて本当少ないですし、儲け終わったらスッと姿を消すこともしばしば。

でも少なくとも日本人が提供できる価値は刹那の商戦には向かないと思うんです。

もっとジワリジワリとファンが増え、5年10年で力を付けて行くIPの運用って言うことをしていかないと、クリエイターが作り続けられない。

中国の速度が速いのであれば、そこに無理して付いていかなくても良いのではないか。日本時間の良さに(悪いところ含めて)気付いてくれている中国人も多いし、そういう速度感で合作できるのが理想形です。

思えば私も2010年代は行き急いでました。楽しくて楽しくて中国スピードの最先端を走ってました。

お金も沢山いただいたけど、振り返ってみると空虚な時間も結構ありまして、裏側での資本とクリエイティブとのゴタゴタなんてのもありました。

自分の無知や驕りから生まれる問題だったので特段コメントはないのですが、急ぐゆえに失われる美学もあるんだなと実感したのは、日本に戻って来て、10年20年というスパンで街づくりをしている人と触れて、その発展途上の町を見た時です。

東京でも十分すぎるくらい早いな、と思う日々。
僕はまだ勉強が足りないので東京や上海で勉強したいなと思っていますが、スピード至上主義の経済とは別の経済圏の中で生きていきたいなと思っていますし、そんな価値を提供できる人になりたいなと思っています。

そんなゴール地点を目指して、勉強会を東京で始めることにしました。
講師になってくれる方、自薦他薦問わず募集中です!

【告知】-----------------------------
私が素敵だなと思う人を、日本に居る私の中国人ファンの皆さんに紹介するトークショー&交流会を実施することにしました!

初回は10月24日(火)1930~ @渋谷 です!
https://jibo-salon-01.peatix.com

基本日本語で行う日中交流会です!

日本でよく中国のファンの方に声かけられるんですが、コロナ渦でうまく仲間を作れなかったりしているという話を聞いて、せっかくだから「いずれ中国に帰った時に、色褪せない知識や経験」を持って帰ってもらいたいなと思っています。
もちろん、そんな中国の若者と交流してみたい日本人の方の参加も歓迎です!

第一回目のゲストは 夏目英男さんで、日中両方喋れたら、実は日中二か国だけで仕事を完結させるの勿体ないのでは?という話や、バイリンガルの若い人たちにできることは山ほどあるよ!という話を聞いてもらいたいなと思ってます。


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