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怒りに身を委ねないためには?(ACT実践編⑤)

前回までは、
過去や未来、セルフイメージという
思考へのフュージョンとらわれに対する
エクササイズをご紹介してきました。

今回から、
私たちの感情
視点を移していこうと思います。

今回は、
「怒り」
に焦点を当てます。

アンガーマネジメントのメソッドも
だいぶ普及してきました。

自身の「怒り」に悩む方は、
そちらも調べてみるのも
とてもよいかと思います。


感情が問題となる場面は
とても多い
です。

どんな人にも、

怒りに任せて後悔するような
言動をしてしまったり、

深い悲しみによって
生きる意味を見失ったりする、

そうした経験をする
可能性はあります。

実際にあなたにも、そうした体験があり、
この記事を読んでくださっているの
かもしれません。


ACTにおいては、
特に感情によって起こされる
「体験の回避」が問題となります。

不快な感情を経験したために、
それに関わる体験を
強く避けてしまう状態
です。

例えば、

人と話すときに言われた一言に
傷つき悲しんだために、
人と会うこと自体を避けてしまう。

顔を会わせて話すと
イライラしてしまうため、
家族と話すことを避けてしまう。

などです。

本当は、
その体験によって得られる
心地よい感情や経験もあるはずですが、
その体験自体を避けてしまうのです。

毎回書くことですが、
こうした状態があっても、
困難を感じていなければ問題はないです。


ただもし、あなたが今

「本当はやりたいことがあるのに
 人に否定されることが怖くて
 やりたいことを避けてしまう」

「会話は大事だとわかっているが
 話すことで生まれる感情が嫌で
 その人と話さない状態になっている」

そのような状態が続いていて、
苦しい気持ちがあるのなら、
この記事がお役に立てるかもしれません。


怒りへのアクセプタンス

ACTでは、
体験の回避に対して、
アクセプタンスというプロセスをとります。

アクセプタンスというのは、
日本語にすると「受容」です。
「受け容れること」の意味です。

実は、
ACTにおいて実際の場面で
いきなり「アクセプタンス」という言葉を
使用することを推奨しない人もいます。

というのは、
「うけいれる」という言葉は、
なんだか、「諦める」とか「嫌嫌」
といったニュアンスを感じてしまうからです。

ACTのアクセプタンスは、
そうした諦めや忍耐の意味合いではなく、

不快な感情も一つのものとして
積極的に存在を認める
意味があります。

なので、
「受容」という言葉にこだわらず、
「アクセプタンス」という特殊な言葉、

あるいは、
「あるがままにする」というような意味で、
この後の文章を読むことをおすすめします。


では、
「怒りに身を任せて、
 家族にひどいことを言ってしまう」
という例を考えてみましょう。


決して家族のことが嫌いなわけでは
ありません。

むしろ、
愛していると感じますし、
感謝も感じています。

でも、
時にささいな一言で怒ってしまい、
普段は言わないようなひどいことを
言ってしまいます。

謝って仲直りをできることもありますが、
長引いてしまい、
目を合わせなくなることもあります。

だんだん、
顔をあわせて話すこと自体にも
苛立ちを感じ、会話が少なくなっています。


こうした場合、
「怒り」という不快な感情の経験から、
「家族との会話」という体験を
避けるようになっています。

感情は複雑なので、
実際には「怒り」だけというよりは、
多くの感情が混じっているように
感じるかもしれません。

しかし、
現在のところの大きな困難は、
「怒り」「苛立ち」という感情と言えそうです。

苛立ちなく、怒りに身を任せずに話ができれば、
もっとすてきな家族との時間を過ごせるかもしれません。

あなたの人生にとって大切なことに、
もっと多くの時間とエネルギーを使えるかもしれません。


こうした例に対して、
「拡げる(エクスパンション)」
というエクササイズをご紹介します。

もしあなたが、
今も思い出すと怒りが湧くような記憶があれば、
それを思い出してみてください。

あなたの心のできる範囲で
構いません。

記憶は、ただの記憶のはずなのに、

なんだか、今言われたような、
今目の前で起こったかのような
怒りの感情が生まれているかもしれません。

もし、そうした怒りを感じたら、
まず、その感情を意識してみてください。

モノのように、
心のどこにあるか、体のどこにあるか
意識してみるとやりやすいでしょう。

次に、
その感情の周りの空間を拡げることができるか、
試してみてください。

先ほど意識した感情の周りに
空間がゆっくり広がっていく
イメージです。

目を瞑ってみても
いいですね。

感情を「なくそう」とか
「消さなきゃ」とか
思う必要はありません。

その感情は、
人間であれば自然に起こるものです。

どんな人間でも同じです。

「怒り」を否定するのではなく、
その存在をまず認めてあげて
周りにスペースをつくってみましょう。


どうでしょうか。

「怒り」を否定して、
「怒っちゃダメだ」「冷静にならなきゃ」と思うと、
かえって焦ったり、苛立ったりした経験はないですか?

まずは、「怒り」という感情が、
自分の中に生まれたこと、
その存在を認めてあげましょう。

それを受け容れるのは、
なんだか「自分のダメさ」を認めるようで、
少し勇気がいるかもしれません。

でも、やはり
人間にとって、感情があるのは自然なことなのです。

問題なのは、
その「怒り」を無闇に増幅させてしまったり、
「怒り」に呑まれて行動してしまったりすることです。

「怒り」に呑み込まれないために、
「怒り」の周辺に空間をつくるイメージで、
ゆとりを持って感情と接してみましょう。


おわりに

最後までお読みいただき、
ありがとうございます!

今回は、
「怒り」についてACTのエクササイズを
紹介しました。

アンガーマネジメントをはじめ、
怒りとの付き合い方は、多くの蓄積があるので、
また、改めて記事を書くかもしれません。

ACTの全体像については、
以下の記事をお読みください!

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