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8/2 ニュースなスペイン語 Boom de manga:漫画ブーム

Manga(漫画)はスペイン語に入った日本語のひとつ。スペイン王立アカデミー編纂の辞書にも掲載されているので、まぁ、しっかりスペイン語として認知されていると言って良い。-aで終わってるけど、男性名詞。

一方、つづりは同じだけど、manga corta(短い袖;半袖)やmanga larga(長袖)のほうは、ラテン語のmanicaから派生した由緒正しいスペイン語(元々は、mano(手)を覆うもの、という発想)。で、こちらは、女性名詞。

洋の東西でたまたま形が一致した例。

閑話休題。

2021年11月の段階でスペインで最も売れている100冊の本のうち、20冊が漫画だという。ベストセラーに入らなくても、毎年、数千冊(unos mil)出版されるらしい。国内には、漫画を扱う、大小様々な出版社が約30あるという。

スペインでは漫画ブームが来ているとは聞いていたが、想像を上回る勢い。

漫画は、いわゆる「カートゥーン(historieta)」とは違い、右から左にコマ(tebeo)が進む。

最近は「mangaka(漫画家)」も使われている。

空手(karate)を実践する人を「空手家」と呼ぶことを知ってるスペイン語の人々にとっては、まぁ、何の抵抗もなく受け入れられたのだろう。

ただし、空手家は「karateka」ではなく「karateca」の方がアカデミーの辞書に載ってるので、後者が、規範的(←キライなことば)には正しい形。

さて、その漫画家のトップをひた走るのがケニー・ルイス(Kenny Ruiz(写真))だ。

スペインはアリカンテ生まれのグラナダ育ち。もともとは、フランス漫画スタイルである、いわゆる「バンド・デシネ(bande desdinée)」の作家。

そして、そのルイスの代表作がタイトルにも挙げた「チーム・フェニックス」だ。

『三つ目がとおる』の写楽、『リボンの騎士』のサファイア、『ジャンク大帝』のレオ――。往年の手塚治虫ファンなら誰でも知っている主人公たちが、ニンゲン代表として(まぁ、レオはライオンだけど)ロボット軍団と闘うストーリー。現在、『少年チャンピオン』で連載中。もちろん、手塚プロダクション公認。

アトム(ニンゲン?)やブラック・ジャックも登場するらしい。

このブームの背景には、アニメ(anime(これも日本語として輸入された語))によって醸成された日本文化(cultura japonesa)への関心の高まりがある。

ドラゴンボールやマジンガーZ、セーラームーンなどの「伝統的な読者(lectores clásicos)」に新しい世代(nuevas generaciones)が合流した結果(se han sumado)という。だから、単なるブームというより、出版社や企業レベルで安定(mucha seguridad a nivel editorial y empresarial)した市場にまで発展したと関係者は見ている。

ヨーロッパはどちらかと言うと、荒削りのタッチで、風刺の効いた内容が多いが、ここに、mangaの精神が加われば、いろいろな化学反応があって面白そう。

写真はケニー・ルイスの作品『チームフェニックス』。言わずもがなだけど、フェニックスと言えば、手塚治虫の代表作『火の鳥』を思い出さないわけがない。

ちなみに、ケニー・ルイスはnoteのハッシュタグには、まだ、ない。小生が、未来の大スターのタグ付け第1号になっちゃお。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20220731/boom-manga-espana/2386130.shtml など