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2021夢日記 意気地なしの配達員 ji-jyo 8月22日


僕は今年に入ってから毎日、夢日記を書いている。過去のものは月別にマガジンを作成してあります。

昨日は短めの夢をいくつか見たけど、一番印象深かった配達員だった夢について書いていこう。

始まりは小さなクーラーボックスを肩にぶら下げて山肌に立ち並ぶ住宅街にいるところからだった。

青い作業服の胸元には牛のワッペン、そして青いキャップを被っている僕は牛乳の配達員だった。

ずいぶんと急な斜面に立ち並ぶ家に配達をするのは見るからに大変そうだったが、自分の足で登らなくてもいくつものロープウェイが設置されていて配達はそこまで苦にならなかった。

それに僕にはもう一つこの場所にくる楽しみがあった。

その楽しみとは、とある1軒の家に会いたい女性のお客さんがいるからだった。そして今日はいつもとは違う。今日は何としてもその女性にデートのお誘いを伝えるという野望を持っていた。

『こんにちはー。』

なるべく平然を装い、いつものように玄関で声を掛ける。

『あら。いつもありがとう。』

聞きなれたとても落ち着く声と、何とも胸をくすぐるような甘い柔軟剤の香り。僕が密かに恋をしている大好きな女性がいつものように迎えてくれた。

『今日も暑いわね。これ良かったら持って行って。』

そう言ってその女性は良く冷えたミネラルウォーターを僕に差し出した。

『ありがとうございます…。』

さっきまであんなに気合を入れて絶対にデートに誘うぞと意気込んでた僕の目に見慣れないものが飛び込んで来た。

細くて白い綺麗な女性の手首には、この間までは着けていなかったシルバーのブレスレットが光っていた。ちょうど照り付ける太陽が反射して、より一層僕にその存在を知らしめているかのようだ。

何も聞いてない。何も確認したわけでもないのに、僕の直観は嫌な方に働いた。きっと誰か男性からもらったものなんだろう。何故かはわからないが瞬間的にそう感じた。

『で、ではお水ありがとうございます。また次回配達に来ます。それでは。』

いつもは他愛のない会話をしてから家を後にするのに、今日は不自然なほどによそよそしくその家を後にした。

その後は配達のことなど忘れ、ロープウェイに乗ることさえ忘れながら階段を駆け下りた。頭の中は何も始まってもいないことへの後悔がぐるぐる回る始末だ。

何でもっと早くデートに誘わなかったんだ。もっと前に好意を伝えていたらこんなことにはならなかったんじゃやないか。いや。そもそもさっきのブレスレットだって男性からもらったと決まったわけじゃない。そうだ。もしかしたら気に入って自分で買ったものかもしれないじゃないか。けどな。今までいい意味で飾りっけのないファッションだった女性が、それも家に1人でいるときにそんなアクセサリーをつけたりするわけ…。

そんな考えても仕方のない堂々巡りな頭の中に嫌気が刺した頃、残りの配達をしていないことに気が付いたところで今日は目が覚めた。

夢の中の自分とは言えなんとも意気地のない男だ。そんなに気になるなら、さらっと『素敵なブレスレットですね』とでも言ったら良かったのに。なんて思ったけど、自分が同じような境遇に出くわしたら同じように見て見ぬ振りをしてしまうかもなと思う朝だった。

さて、明日も夢日記を書いていこう。


【2021 7月夢日記 ~ji-jyo~】

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