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性癖は、自由だ。

そのものずばりの話で恐縮です。

人間の性癖についてちょっと考えてみたいのです。

まあ世の中にはいろんな種類の性に関する嗜好があるわけでして、

単語として成立しているものだけでも、

サド、マゾ、のぞき、痴漢、ロリータ、スワップ、乱交、

寝取り、寝取られ、スカトロ、女装・男装趣味、

幼児プレイ、各種フェチなど枚挙にいとまがない。

さらにそれぞれの分野は細分化して、ソフトなものからハードなもの、

対象違いもあったりと、到底書き尽くすことはできないわけであります。

ある人にはすさまじい興奮をもたらすものであるが、

ある人には嫌悪の対象にしかならないこともあり、

こればかりは何をもって王道とすべきか、

いやそもそもこういった性癖自体が人間の暗部の象徴で

唾棄するべきものなのか、

そのあたりはそれぞれの価値観によって

全く論調が変わってくるものであると思うのです。

ただ私はこういった家系に生まれ育った背景もあり、

犯罪にならない範囲においてどれも当人たちが楽しんで行えるのであれば

恥ずべき嗜好ではないと思うし、

時代によって見方も変わってくることもあると考えます。

上記の性癖の中にあえて入れませんでしたが、

たとえばかつてであれば「同性愛」なども

それに含まれていただろうと思うのです。

が、同性愛については昨今、

そんな特殊な嗜好として分類されてしまうこと自体が批判の対象になる。

人間の当たり前の権利として確立される時代になってきているのです。

鬼六の著書の中に『鬼六あぶらんだむ』という短編集があります。

非常にマイナーな作品ですが、読むと笑えます。

鬼六が出会った世の人々のさまざまな性癖について、

面白おかしく書き下ろしていて、

たとえばインポテンツの男が

自分の奥さんを東大生に貸出して(寝取らせて)、

優秀な跡継ぎを産ませる話(『交尾屋夫婦』)とか、

会社の大変高い地位にある人が、突然「精神蒸発者」のように我を忘れ、

女装に走る病癖(『精神蒸発』)とか、

はたから見たら唖然とするようなエピソードが

登場人物の悲哀とともに書き綴られています。

たぶん人が何かの性癖に走るのは、性的な欲求を充足させると同時に、

普段の鬱屈やら、ため込んだストレス、不自由さから

自分を解放させるためだと思うのです。

外面的には非常にまじめそうで、社会的重責を担う人が

意外にこういう屈折した性癖を持っていることが多いのも

そうした背景があるからに他ならない気がしています。

私もかつて一度こういう経験をしたことがあります。

35年ほど前の就職活動の時期。

父のツテのツテをたどってある大企業のかなり高いポジションの人を

紹介してもらいました。

あまり就職にも乗り気でなかった当時の私を見かねて、

その人は社会人としての立ち居振る舞い指導から、

就職にあたっての企業の有意義な情報をさまざまに与えてくださいました。

40代後半だったでしょうか。いつもびしっとしたスーツに身をくるみ、

弁舌もさわやか、かつ論理的で、

ああ、この会社にはやっぱり優秀な人がいるんだなあと

素直に感じ入っていました。

さらに恐縮なことにある日、

就職試験に向けて二人で合宿をしようと言われて、

都内の高級ホテルに呼びだされたのです。

この時点で「ん?」とは思ったのですが

当時は特に警戒心もなく、言われるがままホテルに向かいました。

食事もご馳走になり最初は普段と変わりなく、

部屋で話を聞いていたのですが

「さあ、そろそろ寝ようか」

と言われまして、ベッドを見るとツインではなくキングサイズのダブル。

「服は脱いで先に寝てなさい」

と言われました。

服は脱いで。。?

この時点でいわゆる「キターーっ」ってやつです。

でもやはり私も変わった若者だったのですよね。

普通はここで逃げだすはずなのですが、

世の同性愛者ってどんな感じなのだろうと、

恐怖心より好奇心が勝ってしまった。

初夜を迎える女性のようにおずおずと布団にくるまって、

背中を向けつつ「彼」を待ちました。

すると案の定、背後から股間に手が伸びてきて。。。。

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その嗜好者でない私は、さすがにここでギブアップ。

丁寧にその日のお礼を言ってホテルを後にしました。

同性愛が悪いというのではなく、

相手をちゃんと見てアプローチしなさいよね、という話です。

ただ人によってはトラウマになる出来事だったかもしれませんが、

私にはとてもいい人生勉強になりました。

ちなみにこのいきさつがあったからではないでしょうが、

その会社の内定はもらえませんでした。

性行為の最中って人間が最も無防備、かつ言葉どおり丸裸をさらすときで、

それだけでも恥ずかしいのに、

性癖というのはさらに同時に心の内側の欲望までさらす、

ということなのですね。

裸になること以上になかなか人前では

口にしづらい欲求なのだと思うのです。

でもですね、堂々と公言しなくても、みんなで渡れば怖くない、

そんなコミュニティがあれば面白いと思いませんか。

そんなことをつらつらと思いながら、

これからの官能事業のことを考えていたりします。


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