綺月陣

小説家/BL・ラノベ ■代表作/背徳のマリア・獣・龍と竜 etc ■シーモア電子コミッ…

綺月陣

小説家/BL・ラノベ ■代表作/背徳のマリア・獣・龍と竜 etc ■シーモア電子コミック大賞2023 ラノベ部門賞受賞 ■同居/柴犬♀ ■アイコンの「陣屋」は、個人小説サークルの名称です

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小説《司会、入ります!》の、結びに♪

おわりに、とは書かず、婚礼関係らしく「結びに」♪ note公開中の小説「司会、入ります!」について、手短に物語の説明を。 今作は2019年〜2021年、フリー小説サイト「NOVELDAYS」に載せていました。 執筆順は「晴れの日」→「This is me!」→「司会、入ります!」です。 その際たくさんの応援コメントを頂戴しました。小説の削除に伴い、コメントも消えてしまう……のが勿体なくて、スクショして手元に保存してあります。 その節は、大きな励みを賜りました。ありがとうござい

    • 《司会、入ります!》 スピンオフ/晴れの日

      司会、入ります! ウェディング司会・松乃美咲 スピンオフ小説2              《晴れの日》      ◇◇◇ 「このたびは、おめでとうございます」  新郎新婦が待つ打ち合わせの席に着いた私は、いつもどおり笑顔で挨拶した……のだが。  迷惑そうな顔で、いきなり新郎が顔を背けた。  隣に座る小柄な新婦が、私と新郎を交互に見て、困ったように視線を落とす。  一カ月後に都内ホテルで披露宴を控えているカップルにしては、険悪なムードだ。  新郎新婦……寿《ことぶき》の多く

      • 《司会、入ります!》スピンオフ/ This is me!

        司会、入ります! ウェディング司会・松乃美咲 スピンオフ小説 《This is me! 〜ベテラン司会者は今日も歌う〜》         ☆☆☆ 「えっ! また変更ですか?」  ちょっとしたことではもう動じなくなった御歳五十の福田幸子《ふくださちこ》も、これにはさすがに驚いた。 「変更っていうより、追加ですね」  女性キャプテンの森山が、お団子に結いあげた襟足に手を当て、後れ毛を整えながら言う。 「結び、新郎のご挨拶が終わったら流す『送り出しの曲』ですが、最も盛りあがるジ

        • 《司会、入ります!》 第6話

            司会、入ります! 《第6話/第一部 完》 「笑わせんじゃないわよ──ッ!」  頭上から怒号を落とされ、美咲はキャインッと首を竦めた。 「なぁーにが、『天の川さえものともしない、強い愛情で結ばれたふたり』よ! そんな演歌なセリフ、一体どこから引っぱりだしてきたの! 天の川を渡らせるどころか、天城越えさせようっての?」  MCスピカを背負って立つプロ司会者、在原泉大先生がバンッと机に手を突き、ズイッと顔を寄せてきた。どこから見ても鬼の形相。逃げたいのは山々だが、スピカのオフ

        小説《司会、入ります!》の、結びに♪

          《司会、入ります!》 第5話

            司会、入ります! 《第5話》  ウエディングフェアの会場ホテルから外へ出たとき、美咲の先輩司会者・在原泉の顔つきは、いつも以上に厳しかった。いつも以上ということは……かなり怖い。  公衆の面前で声を荒らげた経験はおそらく初めてだった美咲も、在原に負けず劣らずの険しさで、口を真一文字に結んでいた。  マネージャーの七実チカだけが、「ケンカしにきたわけじゃないんだからさー」と苦笑いしている。 「ケンカの種を蒔いたのは誰よ」 「あたしが撒いたわけじゃないもん。撒いたのはサオリ

          《司会、入ります!》 第5話

          《司会、入ります!》 第4話

           司会、入ります! 《第4話》  ブライダルフェアとは、なんぞや。  ……と訊かれれば、これから結婚や披露宴を検討している、もしくはすでに決まっているカップルへの宣伝および営業ですと答える。  営業内容は、じつに膨大。パーティー当日の料理の紹介や試食、テーブル装花や空間コーディネートの案内、引出物の紹介。映像や写真関係のアイテム説明と予約。衣装や美容、セレモニーの演出などなど、挙げれば無限に湧いてくるから以下省略。  ではその中で、司会はなにを「営業」するのか。  話術、対

          《司会、入ります!》 第4話

          《司会、入ります!》 第3話

           司会、入ります! 《第3話》 「ただいまぁ〜」  ……と言いながらドアを開ければ、あたかも同居家族がいるかのように、見える。  松乃美咲《まつの みさき》は、いつものように室内へ身を滑りこませ、素早く玄関のドアを閉め、鍵をした。  そして部屋の電気をつけたあと、電車のホームで安全確認をする駅員のごとく、「よし!」と施錠を指さし確認。都会でひとり暮らしをする女性の鉄則だ。  都会といっても、ここは二十三区外のK市。大学在学中から暮らしている女性専用賃貸ワンルームマンションだ

          《司会、入ります!》 第3話

          《司会、入ります!》 第2話

             司会、入ります! 《第2話》  いま、松乃美咲は立たされている。煙草を前歯に挟んだ、女性の前に。  とは言っても、くわえ煙草に火はついてない。  コピー紙にプリントされた禁煙マークが、彼女のデスクの真横の壁に五枚連続で貼られているのは、ユーモアか皮肉か、誰かの抗議活動か。それとも彼女の自戒の念か。  紹介されなくてもわかった。この人が七実《ななみ》チカだ。 「あなたが松乃美咲《まつの みさき》さん? あたしは、このMCスピカの……」 「大雑把で大酒呑みのマネージャー、

          《司会、入ります!》 第2話

          《司会、入ります!》 第1話

          ●あらすじ●  個性派女性司会者たちの、ウェディング業界ストーリー! ******* 宴会場のサービス係をクビになった三十歳・松乃美咲。婚礼司会者・在原泉と出会ったことから、かつて目指していたプロ司会業に、再び挑戦することに。 だが行く先は波瀾万丈。「MCスピカ」の敏腕マネージャー・七実チカと在原の元で猛レッスンの日々。元カレとの思い出が蘇るたび、自信が音を立てて崩れてゆく。そんな美咲を奮い立たせるのは、在原とチカの熱い友情だ。 初めてブライダルフェアに参加するも、ライバル会

          《司会、入ります!》 第1話

          幸せ、持ち寄り。

          昨年12月第一週にリハビリ病棟から退院し、無事に高齢者サービス住宅への転居を果たした母。 前回のnoteに書いた、「きっと母が気に入ると思う」と期待した、あの場所。 母の住居となる個室は、トイレに一番近い場所。室内にトイレがあるよりも、しょっちゅうドアの外に出て、誰かに姿を見てもらえる環境のほうが、社交的な母が喜ぶという私の意見を採用してもらった。 ドアはスライド式・窓から外がよく見える・廊下が広く天井が高い・デイサービスが活発・自由が利く・利用者とスタッフの関係が良好という

          幸せ、持ち寄り。

          母が漢字を書いたり、はしゃいだり。

          父の命日に書いたnoteで、母が漢字を読み書きできなくなった旨をしょんぼり綴ったけれど、急展開。 病院スタッフさんと我が家で1冊の日記をつけているのだが、そこに見慣れた母の文字が! 俳句程度の文字数が、七、八行。漢字とひらがなを使って文章が構成されている。「これお母さんが書いたの? 読んで」と催促すれば、前回は「読めへん。目も見えへんし。いや」と拒んだはずが、今回はスラスラと読みあげてくれた。 驚くと同時に涙が出た。リハビリって、すごい!! そこへ仲良しのスタッフさんがやって

          母が漢字を書いたり、はしゃいだり。

          父の命日に、母の介護の先を思う

          6月に脳梗塞を発症し、病院でリハビリ中の母。 認知症も患っており、介護認定がついた。 10月の退院後にはグループホームへ移れるか……という話で進んでいたのに、なにやら別の展開が。 かなり元気になってきたというのだ。母が。 家に帰れるかも、というほどに。 ただし脳梗塞の症状は治癒に向かったものの、認知症が治ったわけではない。 漢字を判読できず、その意味も理解できず、10秒前のことも忘れてしまう。 それでも性格は穏やかで、会話も普通に成立するそうな。……さっき言ったこと、すぐ忘れ

          父の命日に、母の介護の先を思う

          新刊発売直前の、本音。

          嬉しいのに、顔が強ばっている。 次の仕事に入るまでの小休止中なのに、いつも以上に肩凝りが激しい。 昔は自著を出版してもらえるだけで浮かれていた私も、5月末でデビュー27周年。「新刊を出してもらった! 嬉しい!」の前に、初速や売上を気にしてしまうお年頃。 明日は、アモール文庫「吸血鬼はベジタリアン2」の発売日。 ゆうべはなかなか寝つけなくて、朝四時半くらいまで起きていた。 何度もタイトルで自著を検索して、こんな夜中に順位が変わるはずもないのに、同じ商品ページを繰り返し検索してし

          新刊発売直前の、本音。

          夢は心の鏡

          夢を見た。なんとわかりやすい自己分析か。 自分の現状が、そのまんま、舞台を変えて夢に出た。 私が見る夢は、ときおりカウンセラーのような仕事をしてくれる。 知人に「預けてあるもの、取ってきて」と頼まれた私は、 犬の散歩用の…土で汚れたスニーカーの踵を踏み潰し(踏むタイプ)、 ボサボサの髪を梳きもせずゴムで束ね、メイクはせず、 着の身着のまま家を出た。 そして、「預けてある」もの……おそらく総菜を受けとり、 さぁ知人に届けよう……と、近道を選んだ。 とあるファッションビルの一

          夢は心の鏡

          note一周年記念は、花粉症と金属の話

          久々にnoteにログインしたら、一周年のバッジを獲得した。 そうか、もう一年か。 ブログに入れなくなったから〜と大慌てして、新しい情報発信の場をnoteに求めて駆け込んだものの、上手に活用できていない。 というか、もともと減りつつあった体力と集中力がこの一年でさらに激減し、1日に書ける文章量がピーク時の十分の一くらいになってしまっていることに気づいた結果、まとまった文章を書く体力は仕事のために取っておこうと考えたせい。 ……いまもここまで文章を打つだけで、もう疲れてる。 と

          note一周年記念は、花粉症と金属の話

          2022年も、書いて生きられた。

          大袈裟なタイトルだなと苦笑しつつも、 本当のことだからいいんだよ、と。 しみじみ自分と対話する朝。 今年は紙本を一冊しか出せなかったと俯くのか、 一冊だしてもらえたと喜ぶのか。 この年末の気分も来年への意欲も、物事の捉え方で大きく変わる。 出してもらえた一冊の充実度でも、それは大きく変化する。 で、いまの私の気持ちはどちらですか? と自分に問えば、 不思議なほどに満ちたりしているから、言わずもがな。 来年は1月6日に、新作が書店入荷もしくは陳列される予定。 アモール文庫創

          2022年も、書いて生きられた。