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【2023年2月】感銘を受けた本とか3選

選定ルール
当該月のうちに読了/視聴完了したものの中から選定

①『つながりの哲学的思考』米山 優

(ちくま新書)

これはすごくよかった。ちくま新書はこういう掘り出し物がよくある。

「つながり」の概念の思想史を紐解きながら、著者の専門であるコントの忠実な読解を軸にして哲学的な思考法や文章読解の方法論を語る本。なのだけど、後半はその体裁をするりと抜け出して、ベルクソンや情報社会論のピエール・レヴィなどとも絡めて、つながりそのもの、人類の共同知のあり方の探求へと進むスリリングな展開が続く。

単なるノウハウ本として読むと挫折する。見せ方や構成に難点を抱えている部分もある。それでも、数多くのコント原典の引用と読み解きに頑張ってついていきながら著者独自の思考の推移を丁寧に追うことこそが、タイトルにある「哲学的思考」の王道だろう。

②『自選 谷川俊太郎詩集』谷川俊太郎

全173編を晩年(まだ存命だけど)の谷川本人が自選したもの。8,000作にも登る過去作から広範なジャンルと題材と技法と文体の作品が収録されていて、まずその多才に驚く。谷川入門として優れているし、他で出版されている他選の谷川詩集とは異なる一本芯が通った谷川詩の思想性をそこに読みこむのも面白い。

子の親にはよく知られているように、谷川の作品は絵本や教育番組でもよく出会う。本作においても「ひらがな詩」のみならず、かなり多くの作品が子供でも読める&一緒に読んで面白いのも嬉しかった。こどもの目から世界を眺め、言葉の意味が無意味に堕ちるギリギリのところで表現するに卓越している。

③『Horizon Zero Dawn』

(SIE,Guerrilla Games)

今さらPS4作品と侮るなかれ、ここ10年で屈指の名作である。主にストーリーの挑戦的な解釈を↓記事でやったが、ゲームとして全方位的にスキのない良作。


以上。

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