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【2023年1月】感銘を受けた本4選

選定ルール
当該月のうちに読了/視聴完了したものの中から選定

①『論理学研究』第1巻,フッサール,みすず書房

論理学の心理学主義との決別を高らかに宣言し、喝采を浴びた第1巻。本格的に後の現象学へと舵を切った第2巻以降の序論的位置付けではあるけれど、立派にその道標をなしている。

心理学主義者や経験論への徹底的な批判の快刀乱麻っぷりは読んでいて清々しいし、それを取り囲む真理論、学問論なども著者の異常な高密度の思考の跡を追えて楽しい。

軽く素人読解やってます↓

②『カトリック神学への招き』,編 増田祐志,上智大学出版

ユダヤ教からイエスの生誕、キリスト教の中世から現代に至る神学の議論を広く見渡せる優秀書物。大学一回生レベルの概説書ながら軽すぎず、カトリック神学の主要論点と歴史がかなり良い具合にまとまっている。上智大学の教授陣が各章を執筆し、実際の学部教育の課程に密着した構成であるため、初学者でもある程度のここらの土地勘がつくようになっている。

③『仕事と日』,ヘシオドス,岩波文庫

ホメロスのように神格化された語り手ではなくて、自らの感情と市井の農民たちの情景を唄う史上最古の「詩人」による仕事論、人生論。汗をかき働くことの美徳を讃え、厳しい自然と飢えに負けずに季節に"応じて"生きる術を説く。ただひたすら美しく、ただひたすら身につまされる一冊。

④新約聖書,日本聖書協会出版

聖書教会が出しているAudibleの抄訳版。『マタイ伝』から始まり全8巻分。先月読んだ旧約のほうが物語としては面白かったが、(反動も含めて)西洋文化2000年の全精神を析出した思想の重みはたしかに身体の芯にビビビッと来る。箴言集/人生訓的に役立てやすいのもこちら。

速報記事。


以上。今月は結構豊作で、ドゥルーズの『ニーチェ』とかも普通に選外になってしまった。

先月分の◯選


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