その男、タカ

別件いろいろトラブルが発生してて奔走中ですが、帰任/横異動の辞令が出たとか、引継ぎとか、後任者への挨拶とか、途中まで進んでたプロジェクトの仕切り直しとかいろいろある時期ですね。

忙しさに負けて心が折れてしまう前に今年の目標を宣言しておきたく筆をとりました。

今年は資格を取りに行く年にする。台湾の金融資格にひとつ合格し、今日登録証が届いた。なので、ついでにもう1種類の金融資格も取るため勉強を開始した。その後は起業にプラスとなると考える日本の国家資格も受ける。あと第三国(英語圏)の金融資格勉強もする。資格の組み合わせ的に世界で唯一の人になることを狙ってます笑

我ながら狂った作戦ですが案外悪くないかな。

タカという男


今日は嘘みたいなフィクションっぽいどうやら本当の話、ある友人タカの話をしたくなった。

遡ること10数年、タカとはオーストラリアのシェアハウスで出会った。そのシェアハウスは2LDKのフラット、タワマン24階、プールとジム付きであったが、13人が住む豚箱みたいなシェアハウスだった。

どうやって13人も住めるんだって話だが、寝室が2つあって、それぞれ2段ベッドが2づつ入っており、リビングルームにカーテンで仕切りが入って布団が3つ並んでた。極めつけは洗濯物を干すためのせまーい「サンルーム」に男カップルが住んでいた。住人達の国籍は日本、韓国、タイのエイジアンミックスハウスだった。

僕らは同い年、オーストラリアにきたタイミングも同じくらいだったこともありすぐに意気投合した。

タカとは共通点も多かったが、全くことなる特徴もあった。僕はいつも一匹狼であったところ、タカは異常に社交性が高く、パーティー野郎で常に人に囲まれていた。タカの変わり者だがめちゃくちゃ面白いネタをふんだんに持っていて、僕も時に目を輝かせて、時に冷めた目でタカの話を聞いていた。
そしてやつは極度の女たらしでもあった。

タカは日本では片手で数える程度の日本人の女の子と付き合ったことがある程度だったが、オーストラリアにくる直前、数年付き合った社長令嬢にフラれたことをきっかけに、その後、ハジケたように外国人の女に手を出しまくるようになった。

一緒のシェアハウスに住んでたときだけで中国人、韓国人、タイ人の彼女をとっかえひっかえしてたし、その後アップデート聞いたら、香港人、台湾人、マレーシア人、シンガポール人、ベトナム人、フィリピン人、一通りアジアを制覇したあとはオーストラリア人、ニュージーランド人、スペイン人、スウェーデン人、と白人系の女性とも付き合ってた。

「なんかここまできたらせっかくだし世界制覇したくなっちゃってさ、へへ」とか言ってる始末。。。

そんなんだからよほど英語も達者なんだろうと思うかもしれないが、その当時タカは英語のセンスは桁外れに下手だった。ドン引きするくらいヘタクソだったが、声と主張が大きく、情熱だけはラテン系のノリだった。

嘘だか本当だかよくわからないビッグマウスで自信過剰なやつだが、自称「まっ、おれっち顔面偏差値80、元ジャニーズ候補だかんね!」が口癖だった。口調からしてアホ丸出しなんだが、そこがいい味だしてる。

確かにタカは女にはモテるが、代わりに男の敵が多く、天性のアグレッシブさも相まって一緒にいると冷や冷やするようなトラブルメーカーでもあった。

なんでオーストラリアに来たか理由を聞くと、「おれ、日本で飲食店の店長やってたんだけど、採用した女の子が有名なギャングスターの奥さんで、なぜかその奥さん、口説いてもないのに『店長のこと好きです』とか言って抱き着いてくるから、このままでは指詰めるだけじゃ済まないから日本脱出した。逃亡するしかないっしょ。あそこにゃもう住めん」と、笑かしてくれた。

でも、そんなタカにも暗い過去があった。

タカの名前は仁貴(ひろき)だったが、本名を異常に嫌っていた。そもそも日本人でも読めないってのもあるが、父が理由もなく殴ってくるタイプで、「オメー、俺が名前つけてやったのになに舐めたことぬかしてんだー!」と言われながら鼻血噴出するほど顔面パンチをくらってから、父親と同じ文字である「仁」を使わなくなった。かわりに「貴(タカ)」と名乗るようになったそうだ。

そんなタカと、まさか10数年の時を経て台北で再開することになるとは思っていもいなかった。

つづく


















(*この物語はノンフィクションをベースに想像されたまるっきりのフィクションかもしれません)


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