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上州武尊山スカイビュートレイル140k 前半戦(スタート~A5)

前日は、ゆっくりと会場入り。関越の赤城インター近くの永井食堂のもつ煮でスタミナ補充!前日の’もつ煮’はあまり消化によくない気がしたものの、あまり考えないことにした。
その後当日のスタート&ゴールにもなる川場村体育館で受付を済まし、正直あまり頼りないブリーフィングを聞いた後に、仲間の手配で世田谷区の保養所に宿泊。コンクリート打ちっぱなしの、オシャレでおっきな施設はとても快適。就寝前に、ラグビーワルドカップ「ニュージーランドVS南アフリカ」を観戦。同部屋の仲間はあまり興味がないらしく、前半終了とともに消灯・就寝。ミュートにしながらところどころ興奮しつつ、最後まで試合を観戦。試合の余韻を楽しむことなくあっさりと就寝。翌朝はAM2時起床、3時出発、4時スタート。

預け荷物やドロップバック、必携品などの準備は昨日にすでに完了しているので、以下がやることリスト。
・洗顔とう〇こ。
・粉飴ジェル(100kcal)×2本と経口補水パウダー×2本を入れた500mlフラスコを2本準備。
・朝食はたんぱく質を先行させて最後に炭水化物。卵焼き⇒サラダチキン⇒お味噌汁⇒おにぎり1個⇒豆パン1個⇒モルテンDRINK MIX 160。
・くるぶし下の痛みをケアするために、ロキソニンテープを貼った上からのテーピングで足首固定。
・荷物まとめ
う〇こだけは未達のまま、あっという間に3時になったので宿泊場所を後に。会場に到着し、荷物とドロップバックを預けて、仲間と写真を撮ってたら、あっという間にスタート10分前。自分とスタートゲートの間に、ざっと300人ぐらいいるぐらいのポジションでスタンバイ。脚の調子が良くないので控え目なスタートはイメージ通り。スタート直前、何度か「Finisher!」と叫んだあとにスタート。

スタート後、間もなくはロードが続く、何度か直角に道を曲がりながらも、住宅エリアを走る。いつものことだけど、ストレスなく走れるポジションを探して、右に左に、そして前方向へと移ろう。しばらくするとトレイルに入る。シングルトラックだったが自分のいるポジションでは渋滞にはならなかった。A1の川場スキー場第4駐車場まではトレイルとロードを繰り返し標高を上げていく。1時間ほどで腰ライトの電源を切った。青く染めた景色の中、遠くに雲海も見えてきた。次第に太陽が昇り快晴。

初秋のさわやかな青空の中、朝陽の暑さを背中で感じながらA1に到着(13.8km)。(いるとは思わなかった)知り合いから声をかけられ驚いた。こういうサプライズはなぜか元気が出る。エイドはスルーするつもりだったけど、目に入ったぶどうがスルーできず頬張ったら、めっちゃうまかった!この後のエイドでも、期待していたものの、このA1が最初で最後だった(残念)。

A1からは剣が峰までのテッペンまで急登。大腿筋を使わずに骨盤で上ることを意識しながらパックのまま稜線へ。天気が良くて見晴らしサイコーで、ついHuuuuと声が出る。あえて写真を撮ることで冷静に対処していることを自らに意識付け。

下りは落差が大きくスリッピーなので、足をケアしながら急がずに。そうこうしているうちに林道、そしてロードに出る。ここは鼻呼吸できるペースでやり過ごす。W1もスルーできる状態だったけど、あえて立ち寄り自らを抑制。トイレにも寄った。心拍を整えてから、しばらく続くアップダウンが続くロード、そして最後にスキー場の下りを経て、仲間が待つA2の宝台樹スキー場に到着(30.5km)。
これまでの事前準備が功を奏したのか、胃袋も脚も調子が良い。むしろ前のめりになっているのをあえて抑えているぐらい。A2には仲間が待ってくれていて、リクエストしたクロワッサンとコーヒーを頂戴することに。わざわざ地元の有名なパン屋さんで買ってくれたらしい(ありがとう!)。なんでクロワッサンをリクエストした方は記憶喪失になっているものの、宝台樹ではちょうど朝食にはもってこいの時間(AM8時56分着)だったので、「ティファニーで朝食を」よろしく「宝台樹で朝食を」でした。ちなみに、ここで「う〇こ」完了!

A2からはストック使用可能。エイドを出てすぐにスキー場の上り。1本目のスキー場の上りの洗礼を受けつつも、意外と楽に終えられた。その後、前を走る仲間を捕まえ、武尊山に向けて一緒に走ることに。来た道をしばらく戻り、ようやく武尊山の登山口に到着。ここから山頂までは1,000mUP。プッシュせず淡々と上るつもりだったけど、突然胃が気持ち悪くなってしまった。一緒にいた仲間には先に行ってもらう。まだ序盤。ここまでたいしてエネルギーも摂取してない。クロワッサンとコーヒーだったのかな~と原因を探りつつも、とりあえず前に進むことに。この上りの区間はあまり記憶がないけど、切り株に腰を下ろしたり、後続のランナーに道を譲ったり。とにかく辛くて身体が思うように動かない。メンタルも削られる。ただただ嘆くばかり。次のA3エイド(ほたか牧場/49.2㎞)は、武尊山山頂から600~700m下ったところにある。なので、リタイアするなら先に進むよりも戻ったほうが近い。山頂までに4人の仲間に抜かれた。けど、ただ1つだけ決めていたのは、今回はどんなに潰れようとも必ず完走すること。このレースに出場しようと思ったきっかけは距離(140km)ではなく、未知の累積標高(10,000m越え)。「この累積標高をこなせば、高度以外はヨーロッパのマイルレースでも通用する」そんな自信をつけたかった。どこかで状況が改善されるかもしれない。サブ30は快復してからまた組み立て直そう。ほんの少しの前向きなメンタルだけで前に進んだ。武尊山山頂に到着しても喜びはなく、山頂前の開けたスペースで剣ヶ峰を見ながら10分ほど横になる。

横になることで胃の不調を改善されるのかは不明だけど、とにかく気持ち悪いので致し方ない。山頂で楽しそうに記念撮影するランナーや食事を摂るハイカーさんなどが恨めしかった。身体が冷える前に山頂を後にして、歩いて山を下る。前を走るランナーは、山の斜面に沿ってなぎ倒された笹の茎に足を取られ苦戦しているものの、こっちは歩きなので影響なし。前を走るランナーと距離が離れてもすぐに追いつく展開が続いたけど、しばらくして走りながら気持ちよく下れる斜度のトレイルに出たので、A3エイドまでは抜かれっぱなし。もちろん、抜かれると悔しがるセンサーはオフ。気分はハイカー。

A3エイドに到着した時、エイドの小屋はランナーでごった返していた。難関の武尊山を終え、長めに休憩しているんだろうか・・・。エイドで何が振舞われているか一通り確認していたら、おにぎりを発見!直感で食べれるか気がしたので、食べてみた。小屋の外にでて芝生の上に寝転がり、しばらく様子を伺ってみたけど異変なし。エイドを後にして軽めにジョグしてみたけど問題なさそうだ。ここからは抜かれたランナーを抜き返して、当初の目標だった30時間切りを目指すことに!
走れることが嬉しくルンルン気分でジョグしていると、リフトやロッジが見え、スキー場エリアに入ってきた。その瞬間、ギョッとしたっ。眼前には映画「インセプション」のデジャブのように壁がそびえ、米粒サイズの人影がゆっくりと上方に動いている。

上州武尊山と言えば「スキー場」がツキモノだけど優に想像を超えてきた。咄嗟に考えた対処法としては、ペースと呼吸は一定。歩幅は拡げずストックを押し込んだ推進力を最大限に利用。休まずにパワーウォークし続ける。結果、苦しむランナーを数十人単位で抜くことができて、気分はアゲアゲ!登り終えた後、もだえ苦しむランナーを横目に、今度は一気に下る。前腿が逝ってしまいそうな傾斜なので、Wストックを起点に落ちる体を預けて前腿の負荷を逃がして、スピードは落とさない。ここでもかなりのランナーを抜けた。武尊山の上りで抜かれた仲間にも追いついた。どうやら、この後もう1本スキー場(かたしな高原スキー場)が待っているらしい。今しがた終えた尾瀬岩鞍スキー場よりも距離は短いようだけど、角度はもっとエグいとのこと。ただし、基本やることは同じ。急斜面に対してはさらに歩幅を狭めて対応しピッチを上げて対応。いずれもうまく乗り越えられた。ただし、それもこれもストックのおかげ。もしストックがなければかなり苦戦していたと思うし、後半戦に大きく響いた気がする。

奥宮さんの応援を受けてハイタッチを交わしA4(かたしな高原スキー場/61.9km)のエイドになだれ込む。ボトルの水だけ整えてすぐに後にする。去り際に知り合いに会って、また元気をもらう。「ここから、ここから」と落ち着いた口調で声をけてもらい、少し気持ちがほぐれた。徐々に日が沈む中、次は「山か。あるいはスキー場か」などと色々考えながら農道を進み、やがて林道に変わり、最後は急登へ。このあたりで70kのスイーパーを追い抜いた。これ以降、70kのランナーを抜くときは「頑張りましょう!」と声を掛け続けた。応答があるとそれだけでリフレッシュするし、何よりもその言葉が自分にも跳ね返ってくる感じがしてリズムができる。登り切った後は急な下りの連続。靴の中で足が動いている感覚があり、爪が死ぬことを確信。途中ライトを装着して下りきったところにW2(ウォーターエイド)。

下りで前腿を使ったようで乳酸が気になる。重力から足を解放し、軽くマッサージして次の上りに備える。すでに周囲は真っ暗なので、上方を見上げてもテッペンらしきポイントは見えないけど、前方をいくランナーのヘッデンが道標になる。そこそこ登るんだなと認識したら、雑念を捨てて呼吸を整えながら、ただひたすら黙々と足を進めるのみ。登り終えると平らなところに出てきた。どうせまた上るんだろうと思い歩いてたけど、そこそこ続きそうだったので走ることに。走って正解だった。自ら照らすライトが前方のランナーのザックに反射したことを合図に自分の中で号砲が鳴り、ランナーに追いつき追い越す。しばらく暗闇が続いた後、反射し号砲が鳴り追い抜き、反射し・・・を繰り返す。レース中のこの感覚が大好きだ。集中力が高まって無双状態を味わうことができる。そうこうしているうちに、ここでスキー場(オグナほたかスキー場)の急登登場。スキー場の上りは、走りから歩きへと動きをスイッチし、ストックを使うことでハムを温存できるという理由で、もはや気分転換になっている。スキー場上等!この先にデポバックのあるA5(オグナほたかスキー場/78.4km)に到着。そう思うと、さらに気分がアガる!

A5~フィニッシュへ、つづく