【連載企画】お金を貯めるための方法の話【第二課】
こんにちは、芹沢です。
今回は第二課「財ヲ聚ムルニ道アリ」を現代語訳していきます。シビアなお金のお話になります。例によって意訳の箇所もあるので、そのあたりは大目に見ていただけると幸いです。
ちなみに第一課は以下のリンクからもお読みただけます。
【現代語訳】
この世にお金が嫌いな人がいるだろうか。だが好きなのにもかかわらず貧乏人が多いのはなぜか。その理由は貯金するための方法を心得ているかどうかにある。
そもそもお金はみんなのものであって、特定の持ち主は決まっていない。そのため方法を知っていれば手元に集まるし、方法を間違えればなくなってしまう。ではその方法とは何か。それは人として当たり前の礼儀を守り貫くこと(儒教)にある。儒教の教えを守って得たお金は必ず3等分にし、2/3を生活費に使い、残りを貯金する。しかもただ貯金するだけではなく、大事な客や両親のように丁寧に扱うこと。最初は少ない額であっても時間が経てば大きな金額になる。大きな買い物もできるようになるわけだ。貯金をしている最中は誘惑に負けず、質素倹約して、無駄な遊びをしないことだ。この過程を嬉々としてやれが、動物の群れのように大きな額を手に入れることができるであろう。
だがそうはいってもお金は無くなってしまいやすい。まるで風上に置かれた塵のようなものである。ちょっとでも気を緩めて欲望に負けたりすればすぐになくなってしまう。長年頑張って貯めてきたとしても。泡のごとくすぐになくなってしまうのである。だから禁欲に慣れるまではつつましやかに生活することに腐心するべきだ。50歳を過ぎてしまえば死んでしまうこともあるので、死んでしまったら貧しい人に寄付をしなければならない。
【原本の写真】
まだまだ読めるレベルの虫食い。ただところどころ印刷が薄いためか、識別が難しい文字もちらほらありました。
【解説】
あくまで儒教思想に基づいたお話。実用的な内容ではなく、昔から日本人が好むテイストに仕上がっています。「お金を大切に扱う」ことを「両親を扱う」と同義で話をしているあたりからも強く儒教の影響を感じます。
この教科書が書かれた当時の日本人の平均寿命は50歳前後。若干50歳なのに「死後は寄付するように」と書かれているのは、平均寿命から割り出されているのでしょう。それから130年余りで平均寿命は30歳以上も伸びたのも驚きです。
とはいえ、やはりお金を大切に扱わないといけないことは変わりないようで、風水の考え方にも通じるでしょう。これを、今でいう中学生が勉強していたのですから驚きです。
内容は短いものの、お金との接し方を考えさせてくれるお話でした。
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