【書評】ITビジネスの原理

【書籍名】
「ITビジネスの原理」
http://amzn.to/2p49VVP
作者: 尾原和啓
出版社/メーカー: NHK出版
発売日: 2014/01/28


タイトルでビビっときて買った本ですが、IT企業のビジネスモデルについて、具体例を含めながら解説している分かりやすい本でしたのでご紹介します。
※IT以外のビジネスに関わる方でも読んで損はない内容だと思います。

著者の尾原さんは、マッキンゼーからキャリアを始め、ドコモiモード事業立ち上げに関わったり、リクルートに2度入社したり、Googleから楽天に入社したり、とかなり異色のキャリアをお持ちの方です。

この本の中で、特に共感し参考になった部分を抜粋していきます。

#従来型ビジネスは 、「場所による価値の違い」によって成立していた
ビジネスで何よりも大事なのは、利益=売上と仕入れ値の差額です。
ですので、安く仕入れたモノを高く売ることが重要なわけです。

そのために大事なことは、「場所による価値の違いを正しく認識すること」です。ある場所ではタダ同然のものが、遠く離れたある場所では貴重品として扱われることもあるのです。
(著者は、大航海時代の香辛料貿易を例として挙げています)

このことを認識してビジネスに落とし込めば、利益を生めていたのが、インターネット浸透以前の世界です。

しかし、インターネットの普及によって、この情報ギャップはほぼ0に等しくなってしまいました。そのおかげで成り立たなくなってしまったモデルは多数あります。

■インターネットの得意技は、点在する情報を一箇所に集めること
インターネット時代のビジネスでは、価値がモノから情報に置き換わっています。そして散らばった情報を集めて見やすくすることはインターネットの得意技です。
これが現在のITビジネスの基本になっています。
(例)Googleの各種サービス、転職サイト、グルメサイト

もちろん情報を整理するだけではお金にならないので、情報を出したい企業と、情報がほしいユーザーのマッチングが必要不可欠です。
現在のITビジネスは、様々な形はあれど、情報を核にしたマッチングが中心となっています。


■純粋想起をとったもん勝ち
なぜインターネットの世界でGoogleは勝者になったのか?
その理由が、「純粋想起」にあります。
ユーザーは色々な目的を持って、インターネットを使います。

例えば、「検索がしたい」という目的。
検索がしたいときにユーザーの頭に浮かぶのは、現時点では間違いなくGoogleが真っ先にあがるでしょう。
他にも買い物=楽天Amazon、オークション=ヤフオクなどが挙げられます。

ITビジネスでは、ユーザーをプラットフォームに集めたもん勝ちですので、
このポジションを勝ち取ることが、スケールのための必須条件としています。


■日本ではハイコンテクストなコミュニケーションが発達している
「ハイコンテクスト」という言葉の意味から説明しましょう。
意味を調べると、「ある文脈の抽象度が比較的高いこと」とあります。
簡単に言うと、「あうんの呼吸」が通用することという意味合いになります。

生活の中であまり意識する人は少ないかもしれませんが、日本では、このハイコンテクストなコミュニケーションが非常に発達しています。

LINEのスタンプを例に出しますが、テキストを打たずとも、スタンプだけで相手がどんな状況か想像出来たり、会話が成り立つこともあります。

日本語自体にもあいまいな表現って多いと思うのですが、それは、あくまでの日本人同士の共通認識の土台が強く、幅が広いために成り立つことです。

著者は、今後のインターネットをより便利に、豊かに発展させていくためには、この「ハイコンテクスト」が一つのキーワードになると記しております。


とまあ、長々と書かせていただきましたが、特にITのビジネスに関わっている方であれば、読んで損はない内容だと思います!


【書籍名】
「ITビジネスの原理」
http://amzn.to/2p49VVP
作者: 尾原和啓
出版社/メーカー: NHK出版
発売日: 2014/01/28

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