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オペレーションとは競争優位である

オペレーションという言葉は、社会人になってから最も印象の変わった言葉の一つです。そしてそれは、広告代理店から事業会社に転職したいま、少し感覚が変わりつつも、再認識をさせられています。今回はオペレーション、実行力は競争優位であるという話。

オペレーションとは

オペレーションは、人間に例えると「体」に相当する部分である。たとえ良質な競争戦略を策定しても、その戦略を着実かつスピーディーに遂行できる体が備わっていなければ、競争に打ち勝つことはできない。(MBAオペレーション戦略)

オペレーションとは企業の実行力のことを指します。戦略を頭脳としたときに、オペレーションは体になるといえます。

パチッ。パチパチッ。
「いいか、岩田」
「この工場で価値を生み出しているのは、あの火花が散っているしゅんかんだけなんだぞ」
「この工程で価値を生んでいるのは、鉄板同士が溶接されてくっつくということだけ。あとは何も関係ない。」
(ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由 岩田松雄)

オペレーションとは、「価値を生み出す瞬間」を効率的に作り出す活動ともいえると思います。実行は様々な工程が存在しますが、上記の鉄板の溶接のように、価値を生み出す瞬間をバリューチェーン上にたくさん作りだす活動が、オペレーションの本質ではないかと思います。

広告代理業の中のオペレーション

冒頭でオペレーションという言葉の印象が社会人になって変わったといいましたが、出会いは入社当初の配属部署にさかのぼります。

ネット広告代理店でオペレーション部門に配属された私は、当初とても退屈な仕事だと思っていました。営業が受注してきた案件を、社内で依頼されて面倒なことを代わりにやってあげる仕事。そんなつまらない解釈をしていました。(作業の代替は広告代理業の本質なのですが)

しかし1年、2年と働いたとき、広告代理業がどういうビジネスなのか徐々にわかってきました。ネット広告代理店が社会に提供しているものは、ダイレクト広告という消費者の反応とコストパフォーマンスがわかる広告商品。広告主の企業にとっては仕入れコストの削減であったり、販路の拡大という役割を負っているサービスでした。

ダイレクト広告というのは、広告を配信して、帰ってきた反応をもとに、素早く次の施策を打つことで効果が最大化されるという特徴を持っています。実行と軌道修正を繰り返すことで効果が最大化されます。つまり実行力が競争優位そのものでした。

事業会社の中のオペレーション

転職アプリの「ジョブクル転職」でマーケティングという立場からかかわるようになって、どれだけユーザーインサイトをとらえられるか、誰をターゲットにするのか、サービスのコアコンピタンスは何にするのか、そんな戦略的な議論が非常に重要になるのだと思っていました。

もちろん戦略を作りきるというのは難しく、力不足を感じり日々なのですが、引き続き実行力の高さは求められ続けるのだと実感しております。

情報化社会とデジタルサービスが増加していく中で、ユーザーの行動は可視化される割合が高くなってきました。

デジタルサービスにおいては、アウトプットとその結果から、自身のサービスのどこに課題があるのか、何が強みなのかを精度高く把握することができます。例えば、広告がどのくらいクリックされているのか。サービスがどれだけの時間使われているのか。何日くらいで離脱が起こっているのかなどです。この情報収集と仮説検証の実行力で、質の高いサービスが作られていくのだと思います。

実行力を求められる場面は広告代理業と異なりますが、実行力によって素早く施策を繰り返し、学びを得て次のアウトプットに変換していくという部分は変わらないと感じます。

オペレーションから競争優位を生み出す

オペレーションは何も特別なことばかりではなく、営業職は顧客とあっている瞬間だったり、事務職はエクセルを操作している瞬間だったり、日々オペレーションに向き合っているのではないかと思います。その多くは地味な作業の連続かもしれません。

しかし考えてみると、現場のオペレーションを担うメンバーだからこそキャッチしている情報だったり、気づいていることが戦略にどれだけ反映できているのかが、企業の競争優位を生み出すといえます。

日々黙々と作業をしながらも、視点高く、戦略が必要としている情報を精度高くフィードバックすることができる存在が、価値が高いオペレーションなのではないかと思っています。

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