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【疾患センター解説】全身の関節で起こる腫れや痛みを治療 リウマチセンター

関節リウマチの治療は早期の発見が大切です。薬物療法を中心に内科と整形外科、看護師、リハビリテーションスタッフが連携し、集学的治療にあたります。薬物療法に偏ることなく手術療法、リハビリテーション、ケアなどを交え、疾患のトータルマネジメントを行います。

※『病院の選び方2023 疾患センター&専門外来』(2023年3月発行)から転載

リウマチセンターとは、基礎療法を土台に薬物療法、手術療法、リハビリ、ケアによるトータルマネジメントを行います

患者の理解を土台としたトータルマネジメント

関節リウマチは手足を中心に、全身の関節で起こり得る自己免疫疾患です。

リウマチセンターでは内科と整形外科の連携が大切です。さらに関節リウマチ治療に特化したメディカルスタッフ(薬剤師、看護師、栄養士、医療ソーシャルワーカー、理学療法士、作業療法士)など多職種が連携して患者さんを支えるのがセンターの強みです。

高度関節破壊や骨折の疑いがあれば整形外科が治療し、腎機能障害などの合併症があれば内科が治療薬を処方するなど病状に応じて、相互に補完しながら診療しています。

治療の基本はトータルマネジメントという考え方です。

まず土台となるのが、患者さん自身が疾患をよく理解すること、これを「基礎療法」と呼びます。その上に「薬物療法」「手術」「リハビリテーション」「ケア」という4本の柱があります。

関節リウマチは早期発見・早期治療が重要。血液検査で抗ccp抗体、リウマトイド因子などを確認後、リウマチ専門医が類似疾患と鑑別します。

治療の中心は薬物療法で、関節障害が進行した場合は手術を検討します。リハビリテーションやケアも大切な役割を担います。発症後はQOL(生活の質)の低下が懸念されるため、筋力維持訓練や関節可動域訓練で機能低下の予防から機能維持・回復を目的にリハビリテーションを実施します。

ケアの役割は発症初期から継続して行う患者さんのサポートです。関節リウマチという疾患を理解し、負担を軽減するための生活指導から、治療薬の使い方も指導します。日本リウマチ財団認定のケア看護師という資格もあります。

関節リウマチとは、自己免疫異常による関節の炎症。手足の小関節に好発します。

手足で好発する関節の疾患

関節リウマチ(RA)は全身の関節を標的とする疾患で、手足で好発するのが特徴です。滑膜が炎症を起こし、腫れや痛みを生じます。

長期化した場合、軟骨や骨が壊され、軟部組織が緩んで変形を起こし、最終的に身体機能障害に至ります。現在は有効な治療薬の登場で、動けなくなることは、ほとんどありません。ただし、完治は難しいため、寛解(症状の出ていない状態)を目指します。

正常であれば病原体など異物が体に入ると、体外に排除するよう働く免疫機能が、関節リウマチの場合は自分の体を攻撃します。発生要因には遺伝因子のほか、喫煙や歯周病、腸内細菌層の異常などの環境因子が指摘されており、マルチファクトリアル(単一でない複数の原因)による疾患と考えられています。

日本国内の罹患者数は約82.5万人、有病率は約0.65%。男性の約3倍ほど女性に多く、女性ホルモンとの関係も指摘されていますが、特定には至っていません。

加齢に伴い増える骨粗鬆症などの合併症

全身の血管や皮膚、筋肉、関節などに炎症を起こす疾患の総称を膠原病と呼びますが、関節リウマチも、そのひとつです。関節リウマチの周辺には、その他の膠原病を含め、多彩なリウマチ性疾患が存在しています。骨粗鬆症による骨折など整形外科系疾患から全身性エリテマトーデスなどの内科系疾患もあります。

加齢による合併症には注意が必要です。骨粗鬆症に関節リウマチが重なると、骨や軟骨が、より脆くなってしまいます。また肺疾患や、肝臓・腎臓の機能低下などを起こしていると、使えない治療薬もあり、治療が難しくなります。

治療法について、薬物療法、手術にリハビリテーション、ケアも大切です。

早期に発見し薬物療法で進行を抑制

関節リウマチは早期に発見すれば、薬物療法で進行を抑えられます。診療ガイドラインに従い、抗リウマチ薬のメトトレキサート(MTX)を第一選択肢に用います。

そこで十分な治療効果が得られない場合、一時的にステロイドを用いることもありますが、2003年に国内使用が始まった生物学的製剤の投与が次の選択肢となります。2013年にはヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬という効果的な内服薬も登場しました。治療薬の進化によって十分に寛解を目指せるようになりました。

ただし、合併症によっては使用できない薬もあります。また、患者側が適切な服薬量を守らないなどの理由で、寛解が難しいケースもあります。患者側が病気を理解し、医師の方針に遵守し、積極的に治療薬を摂取する(服薬アドヒアランス)ことも重要です。

早期に治療を行わず、変形が進んでしまった場合、手術が必要になります。治療薬の進歩もあって、手術総数は減少傾向にあります。股・膝といった大関節と比較すると、手や足の指など小関節の手術数の減少は緩やかです。

手指の変形で指の腱断裂が起きると、指が伸びなくなります。滑膜を切除して骨の変形を治す関節形成術、腱の再建術などを行います。指が流れるように小指側に傾く尺側偏位には人工指関節置換術や関節固定術などで機能面だけでなく整容面も配慮し、変形を矯正します。

薬物療法、手術に、関節リウマチに特化したメディカルスタッフによるケア、リハビリテーションが加わることで治療が円滑になります。


新潟県立リウマチセンター院長/新潟大学医学部医学科臨床教授
石川 肇 (いしかわ・はじめ)

1982年、山形大学医学部卒業。同年、新潟大学医学部整形外科学教室入局。同大学附属病院および関連病院勤務、米国留学などを経て、2018年より現職。日本リウマチ学会理事。