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雑想連載 アートとは何か 1

アートとは著作物である

今回の説は、あらゆる著作物はアートと言えるのではないか。という説である。では、著作物とは何か、その定義から考えていこう。

法律上の定義

著作物とは何か、その定義を考えるにあたっては法律上の定義を拝借してこよう。

法律とは、人類の多くが、本意にしろ不本意にしろ共有している概念を文章にしたものである。
これは、人類の叡智であり、先人たちのたゆまぬ努力の賜物である。これを使わない手はない。人類パイセンあざま〜すと感謝を述べて拝借しよう。

日本の著作権法第2条では、同法に用いられる語彙の定義をしている。そこでは、著作物を次の通り定義している。

著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

なるほど、つまり著作権法では、思いを形にしたものを広く著作物としている、ということだ。前半の、「思想又は感情を創作的に表現したもの」というのが私は大変気に入った。なんだかアートっぽいではないか。さまざまな有形無形問わず、さまざまな形のアートを含めそうである。

著作権法上の例外

かなり大雑把に著作物を認めている著作権法であるが、創作的に表現されていることが要件となっている。つまり、事実を事実のまま書き並べた年表や、地形を図にした白地図などには著作性が認められないのである。
これにも十分納得できる。事実をそのまま表現したのでは、いつ誰が表現しても同じ結果になってしまうし、作者の思いは表現されにくいだろう。

振り返ってみよう

ここまでを今回のテーマに適用してみよう。

アートとは思想や感情を創作的に表現したものである。
つまり、作者が思想感情などの思いを表現する方法を作り出した結果がアートなのだ。いま、こうして私が考えを述べているこの文章も、一つのアートと言えるだろう。
おぉ……初回からなかなかしっくりくるものが出てきたぞ、なんだかテンションが上がってきた。と思ったが、私は創作的と言えるのかわからないアートを知っている……

それはアートなのか

マルセル・デュシャンが1917年に制作したアート作品に、磁器の男性用小便器を横に倒し、"R.Mutt"という架空人物の署名をしたものがある。彼はこれにに「泉」というタイトルを付けたものである。

「泉」マルセル・デュシャン 1917年

この作品のどこに創作性があるのだろう。どういう論理でアート性が見いだされるのだろう。次回はここを起点に考えていきたい。


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