現代を生きる人への「アリとキリギリス」
ある暑い日、キリギリスは音楽の練習に熱中していた。
普通のキリギリスは、ギー、ギーッチョンという、濁った音しか出せない。
でも、羽のこすり方を変えると、クィーという美しい音を鳴らせることを発見したのだ。
もっと美しい音にしたい。羽の角度を変えたり、羽を震わせる速さを微妙に調節しながら、自分が満足できる音を探していた。
ふと気が付くと、足元にたくさんのアリが行列を作っていた。
どのアリも、木の実やら草の種やら自分の体の何倍もあるような大きな荷物を抱えていた。
「そんなに重い