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旺角石鍋火鍋 台湾火鍋文化の歴史と進化

台湾での火鍋文化は、日本統治時代にその起源を見出します。この時期に最も愛されたのが「鋤焼き」であり、その後、「しゃぶしゃぶ」の導入により、台湾火鍋は新たな段階へと進みました。

戦後、国民党政府と共に逃れた多くの難民により、中国各省からの料理が台湾に持ち込まれました。その中でも、潮州出身者が台北で開いた「元香沙茶火鍋」は、沙茶火鍋ブームのきっかけとなりました。

1980年代には、家電製品の普及に伴い火鍋専門店が登場し、沙茶火鍋が盛況を極めました。しかし、その後の韓国石鍋火鍋の登場により、台湾の火鍋文化は再び変貌を遂げました。

今日、旺角で体験した石鍋火鍋は、台湾火鍋文化の現代的な進化を象徴しています。師傅が注文後に石鍋を熱し、胡麻油、蒜末、洋蔥などの調味料を加えた後、牛肉を入れて炒め、白菜と高湯を加えることで石鍋火鍋のベースが完成します。この石鍋火鍋は、台北で人気の涮涮鍋とは異なり、沙茶醬をベースにした独自の沾醬が特徴です。醤油、白醋、砂糖を加えて調味することができます。

沙茶火鍋が台湾人にとっての火鍋の出発点であり、涮涮鍋が現代の日常であるならば、石鍋火鍋はこれら二つの文化の間を繋ぐ架け橋と言えるでしょう。台湾の火鍋文化は、伝統から始まり、革新を経て、今もなお進化を続けています。その歴史の深さと、多様性に富んだ火鍋の世界を探求することは、食文化における豊かな体験を約束してくれます。

台湾の火鍋は、単なる食事以上のものを提供します。それは、過去と現在、そして未来を繋ぐ文化的な旅であり、その一皿から台湾の食の歴史と進化の物語を垣間見ることができるのです。次に台湾を訪れる機会があれば、是非ともその多彩な火鍋文化を体験し、その深い味わいと共に、豊かな歴史を感じ取ってみてください。

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