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近況(2023年11月15日)

イタリアに住み始めて1年と1ヶ月が経過して、安定と落ち着きが板についてきたからかもしれない。ふと、近況をまとめたくなった。

日記のネタバレにもなるけれど、それはまあ、ご都合主義で、、、

食べ物とワイン

今年の2月にAISオリーブオイルソムリエ、7月にAISワインソムリエの資格を取った。取ったと言っても日本語翻訳も付いているコースだからそれほど難しい訳ではなく。簡単でもないけれど、それが好きなら何とかなるレベルだ。

7・8月はヴァッレダオスタの家族経営の牧場で1ヶ月ヤギの放牧をしていた。生のチーズ作りも体験した。

この時期は箱ワイン(赤)を毎日飲む生活をしていたけれど、それが可もなく不可もない味で、ワインソムリエのコースで学んだことはすっかり頭から抜けてしまった。なぜかと言うとワインを飲むときにワイングラスを使っていなかったから。この春はバルバレスコにいて、その後にワインソムリエの勉強をしていたからすっかりそれが当たり前になっていたけれど一般家庭できちんとしたワイングラスは常には出てこない。日本でも缶ビールを毎回グラスに注がないよね。グラスを使わないと視覚検査も嗅覚検査もろくにできないからソムリエ的な技量の維持ができないのは致し方ない。

8月からはピエモンテの山の上で暮らしていて。そこでも箱ワインを飲んでいたけれど、さすがにこのままじゃまずいと危機感を持ち始めた(行動を変えたのはもっと後)。

ワインはまだマシな方。僕は日本でも美味しいオリーブオイルを探求していたから驚いたけれど、イタリアのご家庭ではまず美味しいオリーブオイルを使っていない(*現在検証中)。「EXVオリーブオイル」と言う肩書きがあるだけの品質の低いものを使っている。料理の仕上げすら使われるもある。品質の低いオリーブオイルを使うとむしろ風味が損なわれるのだけれど「オリーブオイルをかける」ということに重きが置かれているように感じる。美味しい油、程度の認識。

イタリアのレストランではオリーブオイルがテーブルに並ぶことがあって、そのオリーブオイルの瓶は再補充できないものでなければならないと法律で決まっているのが、大抵品質が低い。しかしこれは仕方のないこと。イタリア人は料理に大量のオリーブオイルをかけるから、品質の良いものを全てのテーブルに配るのは一部のレストランでしか許されないのだろう。

僕はオリーブオイルが大好きだから、500ml/20€ の価格を見ても「そんなもんか」としか思わないけれど、多くの人にとってこの値段はとても高い。スーパーでは750ml/10€ のオリーブオイルがところ狭しと並んでいる。それらの多くはイタリア産でなかったり、ヨーロッパの各地から集めたオリーブで絞られた(つまり、輸送の際の果実劣化を含んでいる)ものだったりする。下手に学んでしまったせいでスーパーで気軽にオリーブオイルを買えない(買うけど)。

10月からはONAFチーズソムリエの資格を勉強している。ここでの苦労は色々とあるのだけれど一番の期待はずれは試食で提供されるチーズ。まず第一にピエモンテ近辺のチーズしか提供されない。事前のPDFだとイタリア中のチーズが堪能できると思ってワクワクしていたのだけれど、実際はTomaやRobbiolaが中心。たまにヴァッレダオスタ・ヴェネトなどのチーズも出てくるけれど、このコースを終えたときに僕はイタリアのチーズを知っていると胸を張って言えない。しかし良い面もある。ピエモンテ近辺のチーズをきちんと知れると言う観点では評価はできる。が、僕はすでにピエモンテ近辺のチーズ作りを見学しに行くくらいメルカートで面白そうなチーズを買い漁る程度にはチーズが好きだから正直物足りない。

ONAFチーズソムリエに関する日本語情報はインターネット上でも少なくて。僅かな情報から推測するに、チーズソムリエのクラスは各地で受けてその土地に関して理解を深めていくタイプの体系を取っているのかもと推測している。

ONAFチーズソムリエはLivello 1 / Livello 2 の2つがあって、僕が今受講しているのはLivello 1。だから判断は少し早計でもある。

つい先日、イタリア人から「次は何を勉強するの?」と聞かれて。「おいおい、僕はまだイタリア語で受けるチーズソムリエのクラスに苦戦している真っ最中だぜ」と頭では思ったけれど、確かにそろそろ次のことを考えなければいけない。

オリーブオイルソムリエ・ワインソムリエ・チーズソムリエは日本を経つ前からすでに基礎的な情報は持っていて、イタリアに渡るにあたりまずはこれらを攻略しようと息巻いていたけれど、期せずして1年ちょっとで全てを網羅しつつある。チーズソムリエのクラスはイタリア中で開講されているけれど、ちょうど良い時期にクラスが開講される近辺に住んでいけなきゃいけないからこの一年定期的にスケジュールをチェックしていた。今受けているONAFチーズソムリエの試験は12月にあって、そこを通過できるかは語学的な問題で大分怪しいのだけれど、いずれにせよ基礎知識は得られたからほぼ目的は達成できたと言ってよい。

オリーブオイル・ワイン・チーズの他にイタリアで学びたいことは山ほどある。パン作り、ワイン醸造学、ハチミツの種類、サラミのノウハウ、そしてコーヒー。

パン。パンはずっと学びたかったけれど、今住んでいる家では毎週パンを焼いているので、これは半ば達成されているとも言える。パン工房で働いてみたい気持ちもあるけれど、僕はパンを焼き続ける生活をしたいのではなくて、生活の中にパン焼きという工程が欲しいから、この調子でいい。いずれにせよ学びはするけどね。

醸造学。ワインの醸造は学びたい。これもワイン生産者になりたいと言うよりは、今は単純に好奇心。自分が美味しいと感じるワインがなぜこの味なのか、土地による影響はどのくらいか、作り手の介入の適切さはどこなのか、それらを知りたい。まだホームページを眺めている段階だけど、どこかのカンティーナへインターンへ行こうかと考えている。

ハチミツ miele。これは奥が深い、かはわからない。イタリア料理を勉強し始めた時に「シチリア産のオレンジから採ったハチミツ」というフレーズが出てきて驚いたのは今でも記憶に新しい。「イタリアには産地によって味が変わって、しかも植物で区分けされているのか」と驚いた。日本では純粋ハチミツか否かくらいの区分けしかないよね(合ってる?)。ハチミツを作っているところにも数件遊びに行ったり、試飲して美味しいものは買って食べたりと日々探求はしているけれど、一度体系的に学びたい気持ちがある。

余談だけれど、「植生がきちんとしている山には蜂が棲む」という言葉をトスカーナのボルゲリでカンティーナを訪問した時に教えてもらった。蜂って怖いイメージがあったけれど、蜂が棲む山と関わっていたいなと感じた。

サラミ Salumi。イタリアのサラミは有名で(僕の中では)、プロシュート、モルタデッラ、コッパ、スペック、パンチェッタ、グアンチャーレなど名前をあげればキリがない。イタリアに来る前はプロシュートとパンチェッタ、グアンチャーレくらいしか知らなかったけれど、プロシュートもモデナ・フリウリ・トスカーナでは作り方も味付けも他食材との合わせ方も異なっている。サラミは豚の塩漬け肉だけれど、フィノッキオや胡椒、唐辛子などの香辛料を入れたりとバリエーションも多い。アペリティーボでもよく提供されていて、コースの中でも使われる。

当たり前に存在しすぎていて、その身分が高いという印象はあまりないけれど、それでもイタリアと豚との歴史的な関係性を知れば知るほど学びたいという好奇心が湧き立つ。イタリアにはONASというONAFの兄弟分の資格があることを最近知ったので、これはぼちぼち受講し始めるかもしれない。対面クラスは少なくて、ほぼオンラインになっちゃうけれど。

コーヒー caffe。先のイタリア人から「コーヒーは学ばないの?」と尋ねられ、思わずNOと言ってしまったけれど、興味はもちろんある。日本ではバリスタや焙煎に対する評価がすごく高く感じるけれど、僕は大学生の頃から世界中のコーヒー豆を仕入れてくれるお店に通っていたので、正直よくわからない。コーヒーの味がわからない訳じゃないとは思うけれど、他の食材ほどの好奇心は湧かない。結局のところ、コーヒーってコーヒー豆を作るという過程が一番大事だと思っていて、それはイタリアでは学べないと思っているからかも。エスプレッソやモカを美味しく淹れる技術自体に興味はあるけれど、どちらかというとsara、サービスの寄りの勉強になるのかなと考えている。

イタリア語

今はB1.2のクラスを受講している。英語やイタリア語などの言語ではレベルがあって、下からA1 - A2 - B1- B2 - C1 - C2 - D1 - D2となっている。Aが初心者、Bが中級者、C/Dが実用ビジネスレベルといった感じ。幸い僕はイタリア語を学ぶに適した環境に遭遇することが多く、順当にレベルアップしている実感がある。去年の今頃は初めてのカンティーナ訪問でカタコトのイタリア語を使って「よく喋れているね!」と言われていたのが懐かしい。今でも「イタリアに暮らして1年なのにすごく話せているね」と言われるので、結局のところ「外国人」の枠をまだ出ていない。

B1のレベルではcongiuntivo presente/passato/trapassatoなどを学ぶ。英語で言うと過去分詞やhopeなどを組み合わせた表現だろうか。日常生活で少し複雑な言い回しする時に必要になる文法。

僕はすでに日常生活では困らない程度にはイタリア語が話せるけれど(語彙を除く)、自分から主体的に話す時にはここら辺の言い回しが絶対に必要になる。

僕は大学ではラテン語とギリシャ語をとっていて、英語以外の外国語にはあまり馴染みがなく。イタリアに来る前にもイタリア語学会館のリモート授業を3カ月受けただけで来てしまったので(つまり幼稚園児より喋れない)、なんとかここまでイタリア語(小中学生レベル)を上達できたのは日々の努力の賜物だと思われる。日々の努力の賜物とは何かというとDuolingoだ

Duolingoとは外国語を継続的にかつ、一定のレベルまで上げることを目的としたスマートフォンアプリ。僕はイタリアに行くと決めた2022年3月末から使い始めている。毎日やっている。一日も欠かしていない。

と言ってもよくある3分でできる程度の学びなので、これだけやっていても語学は上達しない。あくまで言語学習を助けるための一つのきっかけ。継続は力なり。今年の8月には日常会話に困らなくらいのレベルにはなっていたから正直このアプリを続けることに今はそれほど意味を感じていないのだけれど、最近ちょっとした変化があった。

明日に控えたイタリア語B1.2の試験に際して復習をして授業を迎えた本日。復習通りにバッチリ理解が深まったなと安心してDuolingoを開いて問題を解いていくと、いつもより問題が簡単に感じる。なぜか。

congiuntivo presente/passato/trapassatoではイタリア語の動詞の変化が難しくなる。英語だとbe動詞を含む動詞は現在形、過去形、現在完了形、過去完了形、受け身程度の変化しかないけれど(うろ覚え)、イタリア語では英語でいうところのthink/hope/wantなどの動詞を使った後の従属節で動詞変化が複雑になる。

ここら辺を理解できてくると、それまでに使っていた動詞の変化など児戯に等しく感じるのでDuolingoの問いが簡単に感じたのだと思う。それでもよく間違えるけどね。

イタリア語の授業は今はオンラインで受けていて、いつも受けられている訳じゃないけれどこの調子でC1までは行きたいなと考えている。

日本

最近は日本のことをよく考えている、ような気がする。日本自体はそれほど恋しいとは感じていないけれど、日本のみんなはどうしているのかなとたまに気にしている。もう1年も会っていないからね。くだらないおしゃべりでもしたいなと思うけれど、やっぱりリモートだときっかけが難しいね。

日本で唯一恋しいのは漫画で、立川まんがパークで漫画読み放題をしていたあの日々が懐かしい。漫画を読み耽る時間を僕は定期的に必要としている。ジャンプラありがとう。

「外国に長く住むと外国語で夢を見る」という話を聞くけれど、僕はまだそこまでの上達をしていないらしい。考えるときも日本語だし、夢でイタリア語は出てこない。夢自体あまり見ないけれど。

物の捉え方はイタリア語に近づきつつあって、最近は事象を見ると日本語よりもイタリア語の方が口を出るようになっている。と言ってもイタリア語では抽象的な言い回しはまだできないし、高度な表現もできない。必然、考えるとき、文章を書くときは日本語を使う頻度が高い。この前友人と日本語の言語教育について語り合ったけれど、この手のお話はまだイタリア語ではできない。言語は思考に制約をかけるので、僕のイタリア生活は必然的にまだ幼稚だ。

この文章もそうだけれど、長い文章や自らのストーリーをイタリア語でも話せるようになりたいという欲求もありながら、それはまだまだ遠い夢でもあるので日本語で語り合う時間が僕にはまだまだ必要だと感じている。

ここまでが端折った生活のお話。

パートタイムと住居

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2,282字
不定期連載。実験的に始めます。買い切り。

イタリア滞在期(2022.10~)を連載中です。イタリア料理、ナチュラルワイン、日々のこと。エッセィ。

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