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映画『僕の好きな女の子』を見たら自分のことすぎて震えた


いい人、そう呼ばれたことのある男性はいるだろうか。
いやいますよね。たくさんいますよね。

僕も長年言われ続けて、なかなか恋愛関係に発展しないような全世界いい人代表を決める大会があれば上位入賞できるタイプなんですけど、
いい人って言葉はほぼほぼいい意味で使われることってないですよね。

女性からすれば、自分を受け入れてくれて好きな時に呼び出せる人。
男性からすれば、自分のフィールドを侵さない人(自分の彼女と仲が良くてもなんの不安のない人)

友達以上、恋人未満、そんななかなか煮え切らない関係を男目線で描いた作品が『僕の好きな女の子』です。

いい人の自覚がある人は見ないでほしい。
いや見てもいいけどグサグサ胸を刺してくる描写が多すぎるから傷つく覚悟を持ってね。

本作は『火花』『劇場』など続々と映画化されている原作を書いた又吉直樹が、2017年に「別冊カドカワ 総力特集 『又吉直樹』」に書き下ろした恋愛エッセイが原作です。

物語は内向的で脚本家の加藤が片思いをしている女の子と待ち合わせをするシーンから始まります。彼女とくだらないメッセージを交わしながら、待ち合わせ場所に向かい今か今かと待ちわびる。

趣味も会話のテンポも合い、公園であった男の子に二人は付き合ってるの?と聞かれるくらいに二人の関係は良好だ。

しかし女の子には好きな人がいて、それを知っているからか、加藤は今の関係が壊れるくらいなら、今の仲の良いままでいいと思っている。

いい人代表の僕からしたらスクリーンから目をそらしたくなるほど見ているのが辛いんですよ。たぶんね加藤は、どこかのタイミングで付き合えると思ってるんですよ。というより付き合いたいって気持ちを、今の関係のままでいたいって言い訳をしてごまかしている節があるんです。彼女と付き合っているところを想像するシーンとか、彼女との出来事を作っているドラマの脚本に加えちゃうところとか。絶対に付き合いたいでしょこれ。


でもね、彼はいい人なんで好きだなんて言えないんです。今の関係で満足しちゃってるし、好きと伝える自信もないし。

そしてなにより、一番つらかったのが、大学の友人達と脚本を担当したドラマを見ているときに後輩の女の子に言われたこと。

「加藤さんって、ただのいい人じゃないですか」

いい人じゃないんです。”ただの”いい人なんです。
この”ただの”って修飾語に、相手の都合に合わせて、気持ちを分かったようなフリをして自分の気持ちに嘘をついてる弱気な人って意味が込められていると思うんです。

ちょっともうやめて~!
そんなこと分かってるから!全然奥手な自分のことは自分がよく分かってるから言わないで!
ん?これ自分に言ってるって思わされて、思わず目をそらしましたよね。


けど奈緒さん演じる美帆があまりにも魅力的すぎるんでやっぱり見ちゃう。自由奔放でめちゃくちゃ彼に笑顔を見せる感じとか、エルボーやキックでボディタッチをしてきたり。彼の大学の友人達にはビッチとか天然とか言われて、確実に女の子からは嫌われるタイプ。

でもそれが可愛いんですよね。そんな女の子を好きになる彼の気持ちが分かるのも辛いんですよ。

本当にこういう女の子ほんと罪深~とか思います。

これは最近友人から聞いたんですけど、女の子ってちょうどいい位置においておきたい男がいるらしいんです。

付き合いたくはないけど、たまに同性ではなくて異性に話を聞いてもらいたいときがあって、そういう時に電話とか飲みに誘うために思い浮かべる人。それがいい人らしいです。

切なくて、身を投げ出したい気分です。
まんまと誘いにのって、都合よく会いに行っちゃう。本作の加藤もそんな感じ。

エンドロールが終わって、あたりを見回すと、男性はつらそうな雰囲気を醸し出して、女性は納得感のある表情を浮かべながら出口に向かっていく様子が現実を突きつけていました。


本作ホームページあらすじにはこんな言葉が並べられています。

思い通りにならない君だけど、君と言う存在が僕の期待を裏切ったことは一度もない。 会うと些細なことで笑い合っている。バカなことをしてツッコんだりするけど、本当はエルボーとかキックとかじゃなくて君に触れてみたい。 ドラマの脚本も気付けば君を書いてしまう。友人たちにはキミの魅力も煮え切らない関係性も全く理解されない。だけど一歩踏み出してこの関 係が壊れてしまうなら、今のままの君との関係で十分幸せだ。きっと僕の好きな人は永遠に僕のことを好きにならないから

いってぇ~!めっちゃわかるわ~!
全てを物語っててしんどい~!
でもその分、この映画がいい人の感情とか、現実をよく表している素晴らしい作品だと思い知らされました。痛いくらいよくわかる映画です。

全いい人の男性諸君、頑張っていこうな!


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