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超短編小説 だれかの日常

4月に入った。新入社員が自分の課に配属された。新人と顔を合わせ仕事の説明をする毎日だ。下手なことを言うと辞めてしまうからと上司に釘を刺されている。面倒くさい。毎日ピリピリしている。こっちが辞めたいくらいだ。新人が失敗しても笑ってはいけないとか。笑って許すとかもだめらしい。年々、新人に対する態度は厳しくなっている。もうここまでいくと新人は文句言う置き物と思うしかないようだ。

神経すり減らし残業を終え家路につく。よくある住宅街。時間は夜10時。ちょっと強い風で小雨が降っていた。傘が風で飛びそうで両手で強く細い柱を握る。雨のしぶきを顔に感じながら早く家に帰りたい、もうそれだけで踏ん張りながら足早に歩く。

突然の光に振り向くと、道路の泥水をはじきながら白いワゴンが通りすぎていった。足に泥水がかかったようだ。

住んでるアパートに着き、階段を上がり傘をたたむ。靴を脱ぎ、服を脱ぎ、下着姿でソファーになだれ込む。ちょっと寒いがもうどうでもいい。落ちている毛布を拾い自分にかけて眠りにつく。スマホがブルブル震えている。無視無視。眠ろう。明日は土曜日。やっと休みだ。



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