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鯖を焼いたりしていた

珍しく一歩も家を出なかった。
朝から何をしていたのかというと、自炊をしていた。
昨夜買った、鯖を焼いていた。
随分と骨が多く、身も少ない鯖だった。
白飯が余りそうになったが、納豆と卵があったから、茶碗は空になった。
食後に、一昨日沸かした珈琲を飲んだら、落ち着かず、腐っているのではないかと不安になった。
だが、今まで生きて来た中で、腐った珈琲を飲んだことが一度もなかったので、安堵した。
途端、物足りなくなって、二杯目を淹れた。
そのまま、近くにあった本を読み始めたら、割と面白くなって、いつに間にか、もう昼を過ぎていた。
こういう日は、このまま銭湯の一番風呂に入って、缶ビールを呑めば満喫できるということは経験上分かってはいたが、夕方には寝てしまい、真夜中に目が覚め、そして朝まで眠れなくなって、今度は、そのまま一日朦朧とし、前日の銭湯と缶ビールを悔やむということを、経験上、もっと分かっていたから、それはやめることにした。
午前中とは違う本を読みながら、ジャック・タチの映画のサントラを聴くことにした。
その内、音楽が本を上回って来たので、ジャック・タチだけを楽しむことにした。
音が消えた頃、部屋の中が段々と薄暗くなって来たものだから、今日、初めて電気をつけた。
楽屋の差し入れで沢山頂いた、和菓子、洋菓子、飴玉などを、一昨日の珈琲で味わうことにした。
パソコンでドキュメンタリー番組を観ながら、腕立て伏せ、腹筋、背筋、を行った。
思わず始めていたのは、一歩も部屋を出なかったからだろう。
夕食は、特に腹も減らなかったので、また一昨日の珈琲を飲んで、また本を読むことにした。
割と面白かったので、深夜十二時を過ぎてしまった。
急に眠たくなって来たので、布団へ入ることにした。
鯖を焼いていた時が、今日、一番、忙しかった。

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