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味噌汁びちゃびちゃ

2022 11/7(月)

一体いつまで続くんだ、いつ食うんだ。
そう思っている読者がほとんどだろう。
今回から読んだ方は、何の話か分からないので、
これまでのあらすじを書いておこう。

<あらすじ>
三遊亭はらしょうには悩みがあった。
まだ40代前半なのに脂っこいものが苦手になってきている。
このままだと草食動物になってしまう。
元気な人は肉食が多い。師匠の円丈もそうだった。今からでも、意識的に肉類を摂取していこう。
まずは子供の頃から好きだったトンカツを食べようトンカツチャレンジだ!
はらしょうは動き出した。

という内容を四日前から書き始めたのだが、未だ、トンカツ実食までの場面が描かれておらず、もしや、書くネタがないから引っ張っていると疑われているかもしれないので、今回をもってなんとか、
このシリーズを終わらせたいと考えている。
だが、何もそんなに無理をしてまで終わらせなくても、トンカツに挑戦という話題だけで何話まで続けられることが出来るのか、という挑戦も悪くない。
悪くはないが、読者としては、そろそろ話を進展欲しいと思っているはずだ。
さて、いよいよ俺はトンカツを食べることになった
「松のや」のカウンターには、トレイに乗ったロースかつ定食がある。
見るからにうまそうである。
食べる前から、サクサク、という音が聞こえてきそうだ。
ソースは二種類ある。中濃ソースと特性ソース。
俺は迷うことなく、特性ソースをかける。
胃袋が元気だったころ、ここに来た時は必ず、これをかけていたからだ。
中濃ソースと何が違うのかというと、正直、よく分からない、特性だから、なんか得した気分だからこれでいいのだ。
そして、次は、醤油を端っこのカツにだけかける。
これは俺の昔からの食べ方で、端っこは脂が多いから、醬油の方があっさりして食べやすいのだ。
やったことない方は、是非お試しあれ。
さて、準備が整った。待ちに待った、トンカツを頂こう。
その前に、味噌汁を軽くすすってからだ。
定食を食べる時は、まず、味噌汁からだ。
温かい味噌汁を飲んで、気持ちを落ち着け、いざ、メインのおかずに突入する。
俺は、味噌汁の蓋を開けようとした。
だが、開かない。んんっ?くっついて離れない。
よいしょっ、あれっ、よいしょっ、固い。
なんなんだこれは。接着剤でくっついているかのようだ。むむむ、力がいる、ええい、よいしょっ!
はがれた、ギャー!
一瞬の出来事だった。
無理に蓋をはがそうとして、蓋が取れた瞬間、味噌汁がひっくり返ってしまった。
トレイの上は、ひたひたになっており、ねりからしの袋が溺れている。
慌ててポケットからティッシュを出そうとした。
だが、今度は自分の肘が御飯にあたって御飯がひっくり返ってしまった。
ギャー!
御飯が溺れている。
ねりからしの袋が救助用の浮き輪のようだ。
一刻も早く、トレイの上を拭かなければ。
俺はティッシュを何枚も何枚も重ねて味噌汁を吸い取った。
目の前には空の味噌汁の容器と、ひっくり返った
御飯、陸にうちあげられたねりからしの袋。
そこに、トンカツだけは何事もなかったかのように鎮座ましましていた。
たくましい。王者の風格のトンカツ。
ああ、こんな事故が起こるとは思わなかった。
俺は、ともかく、目的のトンカツを一口ほおばった。
サクサク、サクサク、サクサク。
うまい。まだサクサクしている。
トンカツチャレンジ、一応、成功だ。
気分が落ち着いたら、空になった味噌汁の容器を見て、おかわり自由だったことを思い出した。
俺は、立ち上がって店員さんの方へ歩いて行った。トンカツを食べたから、ちょっと元気で早足になっていた。

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