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師匠のアドバイスは、いつも当たっている(前編)

2022 12/3(土)
 
先週より、上方落語情報サイト「寄席つむぎ」さんの方でエッセイの連載が始まり、このNOTE以外でも執筆の場が広がってきている。
元々、エッセイを書き始めようと思ったのは、二年ほど前に、師匠の円丈から言われた一言がきっかけだった。
「お前は、本を書け」
「えっ、本ですか?」
「最近、ユーチューブとかやってるけどな、本を書け、お前は書けるだろ」
「そうですね、演劇の台本なら沢山書いてきましたが、本ですか?」
「そうだ、最終的に残るのは本だ、俺は今までいろいろ書いて来た、これか らも書きたいことがある、本は死んでも残って行く」
「どこに発表すればいいですか?」
「ネットでもなんでもあるだろ、そういう所から書いていけ」
「はい、ところで師匠、僕はどんな本を書けばよいと思いますか?」
「知らねぇよ、ぴゃあ~」
ぴゃあ~とは言わなかったが、とにかく本を書くように勧められた。
師匠のアドバイスは大抵、当たっている。
実話をネタにする新作落語、ドキュメンタリー落語を始めるきっかけになったのも、ある時、俺がバイト体験をネタにした「モゴモゴ」という落語を楽屋で聴いていた師匠からの一言だった。
「お前、ああいうのをやれ、お前に合ってる、実話ネタを1年位やり続けたら、声かけてもらえるようになると思うぞ」
そのあとも、師匠は自分のホームページにこんなことを書いて頂いた。

三遊亭はらしょう・・・・「もごもご」

円丈が一番面白かったネタが、コレ!
ネタに勢いがあったね。
商売っ気抜きでこれだね。
この路線をドンドン突き進んだら売れる。ヨゴレのきみまろでいけるね。
はらしょう、売れちまえ!!

 
円丈のホームページは、こちらから見れます。
新作落語の落語家、三遊亭円丈「落語の世界」 | 落語関係 (enjoo.com)
 
ヨゴレのきみまろ、の意味はよく分からないが、ここまで褒めて頂いたのが嬉しくて、よし、やるぞ、と思った。
だが、どんな実話ネタを作り続ければいいのか、バイト体験のような自伝的なものなのか、コラアゲンはいごうまんさんにような実録取材ものなのか、あれこれ悩んでいる内に1年位たってしまった。
そして、これまでの数々のバイト体験、漫才師を目指していた10代、演劇をしていた20代、そして、師匠から破門されて、復帰して、その時、放送作家もやっていた30代、他にも、実は結婚していた20代前半、子供がいた時代、などなど、自伝をテーマになら無限にネタができそうだということに落ち着いて、そこからドキュメンタリー落語を量産していった。
師匠のアドバイスは間違ってなかった。
そして今回の「本を書け」も。だが、一体何を?
エッセイ、評論、小説、まさか、漫画?
ジャンルが多すぎて、何をすればよいのか分からない。
悩んでいると、偶然にも同じ時期に、昔、本を書いたことがあるという芸人の好田タクトさんから突然、
「はらしょうさん、本書いたらええねん」
と言われた。
「えー!それこの間、師匠からも言われたんですよ」
「円丈師匠と同じタイミングなん!嬉しいわ~書くなら時間を決めた方がいいで、とにかく机に向かうねん、俺は必ず、午前中に書いてた」
と、ベストセラー作家のような表情でアドバイスして頂いた。
更に、同じ時期にお客さんの一人からも
「はらしょうさん、本を書かないんですか?」
と言われた。
同時期に3人の人間に「本を書け」とまるで天の声のようだったので、無視することが出来なかった。
そのあと、自分のパソコンにエッセイ、評論、小説、などを書いてみた。
だが、発表するほどの作品が出来なかった。
そんなことを繰り返している内に、1年が経過したある日のことである。

※後編に続く
 
 
 

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