🎬ゼロ・ダーク・サーティ 感想

9.11テロから約10年が経過したある日、世界に再び驚愕のニュースが発信された。
テロ組織アルカイダの最高指導者ウサマ・ビン・ラディン殺害。
ニュースは驚きをもって受け止められたが、殺害の場所や詳細は秘匿された。
一人のCIA女性分析官のビン・ラディン追跡から殺害計画実行までを関係者の証言をもとにフィクションとして描く。
9.11の記憶も生々しく着任したCIA女性分析官のマヤは当初からテロ首謀者のビン・ラディン殺害だけに情熱を傾け、冷徹に任務を遂行していく。
その姿には全く躊躇はなく、9.11のアメリカ国民の怒りを一身に背負っている感すらある。
世界のテロは罪もない一般人も巻き込み終わることはない。
テロを根絶するためにはアルカイダの最高指導者ビン・ラディンを殺害するしかないと信じ、何年も彼につながる細い糸をたどるマヤの執念は鬼気迫るものがある。
拷問、囮捜査、盗聴など手段を選ばないマヤだったが、9.11の記憶は薄れ超法規的強権主義に守られてきたCIAの活動も政治に左右されはじめる。
ビン・ラディンの連絡役とマヤが信じた人物に辿り着く過程には紆余曲折あるが、それが地味な方法でビン・ラディンの意外な隠れ家につながっていくストーリーはスリリング。
それでも本物のビン・ラディンなのか確信が持てないため作戦にGOサインが出せない政府とマヤの駆け引きも興味深い。
そして決行の夜。2機のステルスヘリはパキスタン国境を越えビン・ラディンの隠れ家を強襲する。
静かに実行されていく作戦のリアリティと迫力、そして時間との戦いにはゾクゾクする。
持ち帰ったビン・ラディンの遺体を確認したマヤの心中に去来したのは何だったのか?
ビン・ラディンを失ったマヤを支配する達成感とは全く違う虚無感。マヤの表情が9.11テロから続いた戦いのむなしさを雄弁に物語る。
実録スパイ・サスペンス映画として十分おもしろい映画なので、変にハードルを上げる必要はないと思います。
ポスト9.11を多角的に知る上で『モーリタニアン 黒塗りの記録』もあわせて鑑賞されることをおすすめ。

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