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🎬きみに読む物語 感想

認知症で記憶を失っている老婦人と彼女に毎日愛の物語を読み聞かせる老紳士。
読み聞かせているのは1940年の夏に出会い恋におちた男女の愛の物語。
裕福な17歳の女性アリーと製材所で働く貧しいノア。不釣り合いな二人は熱く愛し合いながらアリーの親の思惑で引き離されていく。
そして第二次大戦。
ノアはドイツ戦線で戦い、アリーは看護師に志願しそこでロンという将校に求愛される。
アリーとノア、そしてロンが加わり3人の恋の行方がどうなっていくのかが気になるのだが、老婦人がアリーであることがわかり、老紳士がノアなのか?ロンなのか?観る側にはわからなくなる。つまりアリーがどちらの男性と生きていくことを選んだのか、どんな人生の選択をしたのかが観る側の焦点となる。
老紳士が物語の結末を読み終えたほんの数分間だけアリーは記憶を取り戻し、本当のアリーに戻り老紳士との愛を確かめ合う。
愛する妻が認知症になり自分のことすら忘れてしまっている悲しすぎる現実に毎日向き合い、束の間妻のアリーを自分のところに戻ってこさせる老紳士の姿に強く深い愛を感じた。
老婦人アリーを監督のニック・カサベテスの母ジーナ・ローランズが豹変する認知症の婦人をときに静かにときに激しく演じ印象深い。
献身的な老紳士をジェームズ・ガーナーが愛情深く演じる。
若き日のアリーをレイチェル・マクアダムス、ノアをライアン・ゴズリングがローランズ&ガーナーの静かさとは対象的にフレッシュに熱く演じている。
嫌味な役どころのアリーの母だが、その悲恋のエピソードやアリーを説得するノアの言葉は人生でどんな選択をするのが本当の幸せなのかを深く考えさせる。
そして自分が黄昏に向かっているからか、夫婦のラストは愛し合う二人のある意味理想の姿のように思えて静かに涙した。
アーロン・ジグマンの音楽が美しい映像と相まって映画全体を詩情あふれるものにしていて印象深い。

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