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第94回夏高校野球西東京大会決勝 実況と感想

第94回夏高校野球西東京大会決勝
 

佼成学園ー日大三高 神宮球場
 

先発


佼成ー磯崎 170センチ75キロ 右投げ
日大三ー斉藤 181センチ81キロ 右投げ
 

見どころ


夏の甲子園連覇のかかる王者日大三高と38年ぶりの西東京大会制覇となるか佼成学園との決勝戦。勝てば甲子園の切符を掴み、聖地に向かうのはどちらのチームか。

1回表


マウンドには佼成学園背番号10を付けた三年生の磯崎。身長はあまり高くないが下半身がどっしりとしていて太もももがっちりしたピッチャーらしい体格だ。全試合全イニング投げてきたので疲れがどう影響するかがカギになってくるだろう。この夏の日差しで体力の消耗がどうなるか。先頭の森はいきなりデットボール。0アウト1塁で2番の河津が打席に。先制点の欲しい日大三高。ここで森がランナースタート。佼成のキャッチャーの越後の素晴らしい送球で盗塁失敗。ものすごい肩の強さだ。この肩を見せられると日大三高はこれ以降走りずらくなるだろう。2番の河津はセカンドゴロでセカンドがエラーで出塁。せっかく盗塁死があったのでもったいないところだ。打席はこの大会不振のキャプテンの金子。結果は差し込まれてセンターフライで2アウト1塁。4番の富岡。ショートゴロで3アウト。0-0

1回裏


マウンドは日大三高エース斉藤。181センチ81キロと申し分のない体格。レフトフライで気持ちの良いスタートを切ったが神足のピッチャーごろを斉藤が1塁へ悪送球。1アウト2塁といきなり佼成にとっては願ってもないチャンスが舞い込んできた。小林が打席に。結果はセカンドゴロ。ここで4番の吉田。左の好打者だ。ピンチをしのげるか。日大三高斉藤。少し浮足立っている斉藤。落ち着いて投げ込んでいきたい。結局吉田はファーストゴロ3アウト。0-0

2回表


磯崎は1回を何とか抑えたのでこのままリズムよく投げ込んでいきたい。村井が打席に。ショートゴロに抑えてまず1アウト。磯崎は打たせて取るピッチングで抑えるスタイルだ。スライダーの切れは素晴らしいものを持っている。少し球があれている。山中は四球で1アウト1塁。関が打席に。しかしサードゴロゲッツーで素晴らしい堅い守りで抑え込む。0-0

2回裏

バッターは木村。木村のお父さんはプロ野球選手らしい。ファーストゴロで1アウト。猪野がショートの横を抜けていく打球でヒット。1アウト1塁。打席は1回に素晴らしい強肩を披露した越後だ。ここで佼成も機動力を使ってきて盗塁成功。1アウト2塁。変化球が高めに来たのを上手くたたいてセンター前ヒット。1アウト3,1塁。打席はピッチャーの磯崎が繋いでセンターへタイムリー。3連打で先制。薄木が打席に。ここは手堅くバントできた。しかし3バント失敗。2アウト2,1塁。ここでのバント失敗は痛いミスだ。1番に帰って磯部が打席に。追加点が欲しい場面で磯部はどんな打席になるのか。いいバッターなので斉藤も慎重に投げている。しかしセンターフライで3アウト。佼成学園が1点を先制。日大三高は1点を追う展開となった。このままどのような展開を見せてくれるのか、両チームの攻防に注目だ。1-0

3回表


打者は湯本。しかし佼成のキャッチャーの越後のフレーミングが抜群に上手すぎる。見ていて気持ちの良い取り方だ。結果は三振。1アウト。バッターは斉藤だったがキャッチャーフライ。テンポよく2アウト。森が打席に。打球はセンターへ抜けるかというところで、ショートの吉田の好守で3アウト。三者凡退。1-0

3回裏


神足はキャッチャーフライ、小林はレフトフライで2アウト。バッターは好打者注目の吉田。選球眼もしっかりしている。ボールの見方がやはりセンスを感じる。しかしセカンドゴロ。3者凡退。1-0

4回表


河津から。日大三高はまだ磯崎からヒットが出ていない。打線が毎年強力打線が売りだが上手く抑えられている。河津は四球。0アウト1塁で、不振の金子は何とバントの構え。打撃の柱キャプテンの金子には信頼があるところだがこの場面ではバントの作戦。しかしキャッチャーの越後の2塁への送球が金子のバットに当たるという珍しいことが起き、バッターはアウト。1アウト1塁。4番の富岡はキャッチャーフライ。しかし越後は視野が広い。フライも難なく捕球。フライが上がった瞬間にもう自分がとるぞとジェスチャーを出していた。フレーミングもそうだが、全体の野球センスをものすごく感じる。村井が打席に。セカンドゴロで3アウト。1-0

4回裏


斉藤は3回まで失点1で抑えている。相手の磯崎もされど、斉藤も素晴らしい投球だ。先頭をセカンドゴロに。1アウト猪野が打席に。斉藤の球速は140キロを超える球ではないが136キロ前後の真っすぐとチェンジアップ、切れ切れのスライダーでうまく抑えている。センターフライ。2アウト。越後が打席に。リズムよく2アウトまで漕ぎつけた。越後もレフトフライで三者凡退。1-0

5回表


ここまでで試合時間は1時間。とてもテンポよく試合が進んでいる。6番の山中から。まだ日大三高はノーヒット。セカンドゴロ。1アウト。関が打席に。関がストレートをレフト前ヒットでようやく初ヒット。三高は繋いでいきたい。打席は湯本。しかし磯崎は表情も浮足もたたない本当に落ち着いて投げている。この落ち着きは日ごろの練習からなのか。ここで関がランナースタート、しかしここでも越後がランナーを刺した。非常に強肩だ。この試合は越後はとても高パフォーマンスがみられる。2アウトから死球死球で2アウト1,2塁。1番の森に打席が回ってくる。少し磯崎はコントロールがばらついて苦しいピッチングだ。しかし森の打球はショートゴロ、佼成のショート吉田がファインプレーで3アウト。同点のチャンスを三高は潰してしまった。

5回裏


先頭は四球。0アウト1塁で薄木はバントの構え。斉藤はこの回突如乱れているがなにかアクシデントか。球速も130キロを下回っている。連続四球でなんと予想外の降板。突然ペースを崩した状態で降板。日大三高のエース。まだまだイニングを任せたいところだったが悔しい交代となった。ピッチャーは大場。二年生だ。身長は169センチと高さはないが下半身ががっちりしている。ここでファーストライナーでダブルプレー。2アウト2塁で神足がレフト前にタイムリーかと思われたが、レフト森がスーパー送球。ホームで刺して3アウト。追加点かと思われたがさすが日大三高の守備だ。1-0

6回表

センターフライで河津はアウト。金子もセカンドゴロ。簡単に2アウト。4番の富岡が打席に。レフト前ヒットでチーム2本目のヒット。2アウトからランナーを出して村井が打席に。なんとか繋ぎたいところだ。しかしセカンドゴロに倒れる。佼成の守備は安定している。1-0

6回裏


佼成は3番小林から始まる。大場の初球をセンター前にしぶとく運んでヒット。0アウトで好打者注目の吉田に打席が回る。しかし初球に盗塁を仕掛ける。しかし日大三高湯本がランナーを刺し1アウトランナー無しに。佼成にとっては追加点のチャンスを逃してしまう。大場はスライダーの切れが抜群に良い。真っすぐも140キロ前後と2年生ながら完成されたよいピッチャーだ。吉田はセカンドフライ。木村が打席に。大場は最後木村に対してインコースのストレートで空振り三振。非常にいいストレートだ。1-0

7回表


まず磯崎は先頭バッターをショートゴロ、この試合好守の吉田が捌いて1アウト。磯崎は強豪校の日大三高打線を6回まで無失点。本当に粘りと落ち着きのある投げっぷりで次々とアウトを重ねていっている。このまま完封もこの回を抑えれば夢ではなくなってきた。関が打席に。この回の関の打席で100球に到達。疲れも出てくるところだがまだ心配なさそうだ。関はショートフライ。湯本が打席に。なんとか三高は塁に出たい。期待された打席、粘って四球を選ぶ。2アウト1塁。ピッチャーの大場が打席に。打撃は定評のある打者のようだ。やはりバッティングのいい大場は三遊間に転がるレフト前ヒット。2アウトながら2,1塁。願ってもない同点のチャンスが舞い込んできた。2アウトからの粘りを見せる三高らしい攻撃だ。ここで1番に帰って森が打席に。アルプスも同点のチャンスでボルテージが上がる。ここがこの試合のターニングポイントになるか。しかし森は大きな当たりがセンターに飛ぶがセンターフライ。大きなチャンスを三高は逃してしまう。1-0

7回裏

先頭の猪野はキャッチャーフライ。越後が打席に。なかなか佼成は2点目が取れない状態。勝つためには何が何でも追加点を取りたいところだ。越後はショートフライと思いきや、ショート金子がまさかの落球。1アウト1塁。打撃不振の金子は打撃の影響か。珍しいシーンとなった。そして続くバッターのバント処理を大場が悪送球。王者の日大三高がなんとこの回だけで2つのエラー。信じられないエラーが連続してしまっている。続くバッターはセンターフライ。2アウト2,1塁。1番に返って磯部に。好打者の一人。どのような結果になるか。大場はしのげるか。少し苦しい表情の大場。磯部は高めの変化球を凡打してしまいセンターフライ。3アウト。よくミスからの失点を防いだ日大三高。流れが変わりそうな雰囲気だ。1-0

8回表

この回は一つポイントになりそうなイニングだ。河津が出られるか。期待された先頭バッターはよく見て四球。ここで佼成、動きを見せる。ピッチャーの磯崎がマウンドを降りることに。ここまですべて投げてきた磯崎をこの0アウト1塁の所で降板。ここで1年生の渡邊にバトンタッチ。この場面で1年生をマウンドに送った采配は奇策といってもよい采配だ。それだけ渡邊は信頼されているのだろう。金子は送って、1アウト2塁で4番の富岡。ここで牽制球暴投でランナーは3塁に。ピッチャーの渡邊は少し動揺が見られる。しかし富岡は空振り三振。2アウト3塁で代打田所。結果は四球。2アウト3,1塁。バッターは山中。渡邊の球はキレがありとても重そうな球質だ。スピードはないが球の威力で抑え込むタイプのようだ。山中も四球となり、2アウト満塁で関。やはりこの場面がターニングポイントになってきそうな雰囲気だ。渡邊は腕が振れていない様子だ。越後がしきりに腕を振れとジェスチャー。1球1球しびれる場面。スタンドのお客さんがみんな息をのむような場面だ。ものすごい場面で結果はセカンドフライ。もうこれ以上ない場面で1年生の渡邊が素晴らしいい救援を見せた。結局0点。1-0

8回裏


先頭は神足、結果はセカンドフライ。小林が打席に。ライトフライ。4番の吉田。四球。2アウト1塁。バッターは木村。大場は少し球が高めに浮き出した。慎重に投げ込みたいところだ。ここで盗塁成功。2アウト2塁。しかし木村はファーストフライ。1-0

9回表


さあこの時が来た。38年ぶりの甲子園の切符を目前にした佼成学園。この回を0点に抑えれば甲子園出場決定。あとアウト3つ。抑えられるか。一方王者日大三高は追い詰められた。是が非でもランナーを出してチャンスを作らなければならない。先頭の打者がポイントになりそうだ。本当に手に汗握る好ゲームだ。そして1年生ピッチャーの渡邊はこの場面で本来の投球で抑え込めるか。打順は佐々木から。佐々木はキャッチャーフライ。ランナーを出したい日大三高だったが1アウト。次は代打の太田が打席に。しかし日大三高の出てくる打者は体が大きい。ほとんどが180センチ前後と恵まれた体つきだ。結果は四球。1アウト1塁。ここから上位打線に回ってくる。バッターは森。渡邊は苦しい投球だ。しかし森はサードフライ。2アウト1塁。河津が打席に。ストライクが入ると佼成のアルプスがもの凄く湧いてすごい雰囲気だ。ここで渡邊は四球を出してしまう。ここで2アウト2,1塁。この大会絶不調のキャプテン金子が打席に。もう後がない土壇場の場面で打てるのか。結果は...走者一掃のタイムリー2ベース。この場面で打てるのだからやはり王者のキャプテンだ。打った後、涙ぐむ金子の様子にこちらの涙を誘った。ここで渡邊から再び磯崎がマウンドに。富岡はショートフライ。3アウト。2-1

9回裏


流れは一気に日大三高。このまま9回裏の佼成の攻撃。日大三高のピッチャーはマウンドに1年生の釘宮。右の本格派だ。140キロを投げてくる。いきなり四球を出してしまう。少し投げた後1塁の方に倒れてしまうのが気になるところだ。続いて越後が打席に。ここでストライクの入らない釘宮に代わって荻野がマウンドに。左ピッチャーだ。釘宮のとっては少し悔しいい登板となった。荻野がどう抑えるのか。落ち着いて投げ込むことができるか。130キロ前後とあまり球速はないが打たせて取るタイプか。越後はいい当たりだったがセンターフライ。1アウト1塁で代打伊藤。最後はショートゴロゲッツー。試合終了。なんというもの凄い好ゲーム。西東京大会で語り継がれる本当にナイスゲームだった。おめでとう日大三高。

~試合を終えて~


夏の甲子園連覇のかかる王者日大三高と西東京大会38年ぶりの優勝を目指す佼成学園との対決。日大三高エース斉藤と佼成学園磯崎との投げ合いとなったこの試合。まず全体を見れば本当に超が付くほどのナイスゲーム。見ていてハラハラドキドキの好ゲームだった。試合の流れはまず2回裏に佼成学園が先制。その後は両ピッチャーの粘りの投球で点を許さない。5回裏に突然日大三高の斉藤が崩れ降板となったときはどうなるかと思いきや、代わった大場がきちんと押さえたのが、逆転劇につながったのだろう。9回の表の日大三高の攻撃はさすが王者、去年全国を制した力の差を存分に結果として出した形だ。この大会不振のキャプテン金子が値千金のタイムリー2ベース。2塁ベースで涙ぐむキャプテンの様子が忘れられない。一方佼成学園もしっかりとした堅い守備で大崩れしない堅守は見物だった。キャッチャー越後や、ショートキャプテンの吉田を筆頭に本当に鍛え上げられた守備にあっぱれだ。忘れてはいけないのがピッチャーの磯崎だ。球速こそ、速いなあと言わす球速ではないものの、丁寧にコースを突き、若干荒れ気味だったのも功を奏した結果になったのではないか。越後のフレーミングの上手さも見物だった。そして日大三高、佼成学園の終盤に出てきた1年生ピッチャーも結果はさておき期待の逸材だった。佼成学園渡邊は球速こそないが気持ちの強い大型左腕。一方日大三高の釘宮は悔しい結果となったが1年生ながら140キロの切れのある球はこちらも逸材。