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カズト・コバヤシBookレビュー(名文・警句・名場面・評論)

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好きな小説・文学・エッセイの名場面名文の紹介から評論までご笑覧ください。
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記事一覧

歌舞伎狂言「三人吉三廓初買」河竹黙阿弥 レビュー ー流転する宝剣と循環する貨幣ー…

 次は、百両の循環である。こちらは誰にもあって困らないお金である。本来の機能であれば、そ…

歌舞伎狂言「三人吉三廓初買」河竹黙阿弥 レビュー ー流転する宝剣と循環する貨幣ー…

 ここまでのあらすじをもとに、宝剣(庚申丸)とお金(百両)のそれぞれが次々と人の手を渡っ…

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歌舞伎狂言「三人吉三廓初買」河竹黙阿弥 レビュー ー流転する宝剣と循環する貨幣ー…

 「月もおぼろに白魚のかがりもかすむ春の空」。歌舞伎「三人吉三廓初買(三人吉三巴白浪)」…

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ノスタルジアと蒐集の情熱ー四方田犬彦「女王の肖像 切手蒐集の秘かな愉しみ」ー

 小学校一年生のとき祖父は切手を集めるように言った。祖父は自分のコレクションから選んだ切…

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完璧な声の肖像 マルグリット・ユルスナール 「ハドリアヌス帝の回想」1話

 古代ローマの賢帝の一人ハドリアヌスが死期を待つベッドの上で自らの人生を語る歴史小説であ…

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圧倒的想像力と魔術的表現ースティーヴン・ミルハウザー「マーティン・ドレスラーの夢…

 アメリカにスティーヴン・ミルハウザーという小説家がいる。生まれは1943年で「最後のロマン…

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こどもが世界を怖いとおもうわけ ー川上弘美「大好きな本 川上弘美書評集」ー

 子供のころはお化けが怖かった。愛読していた学習図鑑も鯨の泳ぐページだけは、飛ばして見ないようにした。  大人になって、お化けの話が好きになった。正確に言えば、幻想文学の愛読者になった。  世界は言葉でできていることを前提とすると、幻想文学とは、こちら側とあちら側の境界を発見する試みである。境界を越えてあちら側(異界)に行って帰ってくる冒険譚はファンタジーと呼ばれ、あちら側(あの世)に行きっぱなしの世界はXXガイとかオカルトとか呼ばれる。  川上弘美さんは、日常生活が突

星一徹の晩餐あるいはアーティチョーク

 星一徹は、息子の飛遊馬に、一度だけ、レストランでご馳走をふるまったことがある。 普段は…

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ドラマ「響子」向田邦子・久世光彦 レビュー ―石の眠りを覚ます鑿の響き―

 向田邦子原作のテレビドラマ「響子」は石材屋の家業を下支えする主人公の響子とその家族・従…

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