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18.初めての"おしりたたき"

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母の”しつけ”と称する暴力はどんどん酷くなっていった。
ある日、私と母は幼稚園のお友達の家から誘いを受けて、その子の家へ遊びに行く準備をしていた。
滅多にないイベントに、私は珍しくテンションが上がっていた。
母との会話の最中に、幼稚園のお友達や従姉妹の口調をマネしてみた。
「え~ママはそんな事も知らないの~?」
と言ってみた。
だってお友達や従姉妹はこういう事を言うもん。
お母さんとか先生とか、大人はそれを見て
「ナマイキになってきたわね~」
とか言って笑ってるし。
そういう小さな事が、私にとっては憧れだった。

でも、うちはダメだった。
違った。
母は静かに言った。
「脱ぎなさい。
パンツをおろして、四つん這いになりなさい」
言ってる意味がわからなかった。
え、やだ、恥ずかしいし絶対に嫌だ、どういう事?
そう抵抗する小さな幼稚園児の身体は、母の力によって抑え込まれ、あっという間に下着をはぎ取られ、思いっきりお尻を叩かれた。

「余計な事ばかり覚えていくのね。
もう友達となんて遊ばなくていいわ」
そう吐き捨てた後、お友達の家へキャンセルの電話を入れていた。

泣きじゃくりながら後悔した。
どうして”あっち側”の子たちのマネをしようなんて思ってしまったんだろう。
私は”あっち側”ではないのに。
”あっち側”は”普通のおうち”の人たち。
私は”普通じゃないおうち”のこっち側なのだ。
幼稚園に馴染んだり、友達ができたりしても、それは変わらないのか。
そんな現実が悲しくてまた泣いた。

これが鮮明に覚えている最初の”お尻叩き”だった。
事あるごとにキレる。暴力を振るう。
どこが地雷なのか、子供の私には踏んでみるまでわからなかった。

でも痛みで蹲る私にこう言うのだ。
「叩く方も痛いんだからね?
愛情があるからするのよ。
私たちは血の繋がった家族だからね。
なっちゃん、愛してるわ」
「うちは長男の家なのよ。
他の子みたいなバカな事はやめなさい」

私は暴力が増えるのに比例して、母を視界に入れる事さえ嫌になった。
母がいない空間は安心する。
母がいる空間は息が詰まる。

なんだかんだ理由をつけたところで、母が機嫌次第でキレる事にも気付いていた。
そう気付いてからは、いちいち母の言う事成す事に疑問を持つようになった。
「愛してるから叩く?意味が分からない」
「痛いなら叩かなきゃいいじゃん、
叩く前に注意すればいいじゃん」
決して口には出せない思いが、小さな身体の中に沈んいくのを感じていた。


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