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【詩】時の経過

彼が還ってこない
今においてこの事実を認めることは
かねてよりの私の心の不在を認めることなのかもしれない

彼がいないという千夜は今と遠く変わらない
しかし、私はその不在に馴れてしまって
私の心のうちから羽ばたく鳥を見過ごしてしまった

果たして形相としての彼は還ってきた
押し倒されるがままに一夜を共にしてしまった
しかし、再び私の胸の内に在る小鳥は決して鳴くことはない

時が過ぎ、私はもう随分と変質した
変わらないのは釧路のこの冬の凍てつく寒さ
湿原の上空を行き交うタンチョウたちの鮮やかな白黒

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