見出し画像

今度こそ!まちがっていない(はずの)創作術

創作術の本をたくさん読んでいます。
どれくらい読んでいるかというと、たぶん千冊くらい。
小説の書き方、シナリオの書き方、戯曲の書き方から、プレゼン術、TEDトークの本、文章の書き方、ブログの書き方などなどなど。
そんなに読んでどうするの? ってほど読んでます。
ほとんど創作術マニアです。
そんなぼくが最終的に「これに尽きるな」と思った本が、
スティーブン・キングの『書くことについて』です。
「なんだ、超有名な本じゃないか」
とがっかりされた方がいるかもしれません。
でも、いい本です。
もう何度も読み返しています。
読み返すたびに、新しい発見があります。
最近読んで、改めて「すごい!」と思ったのが、キングの日課について書かれた部分。
午前中に小説を書いて、昼食は一家だんらん。夜は好きな本を読む、という繰り返しの毎日だそうです。
これのどこがすごいのか。
以前はぼくも分かりませんでしたが、これってものすごい生活なのです。
この生活を変わらずに何十年もやるのです。
キングには何人も子供がいます。
子供は成長するにつれ、お父さんと触れ合いたいと望みます。
そういう変化に、キングは対応できません。
超売れっ子作家だから、日々の執筆のルーティンを崩せるはずがありません。
子供もだらだら遊んじゃったから、原稿書けませんでした、ってわけにはいきません。
本書のなかで、キングははっきりと書いています。
「すべての誘惑を断ち切って、自室のドアを閉じろ」
ドアの外では子供たちの駆けまわる声が聞こえます。
しかしキングはホラーの中。
孤独な独身時代ならそれでもいいでしょう。
しかし裕福になり、幸せに暮らしているお父さんにとって、これは地獄の日々なはずです。
キングは一時期、麻薬に溺れていたといいますが、そりゃそうだろう、と納得しました。
リア充なのに、現実から逃避するんですから。
麻薬でもないとやっていられないでしょう。
嘘だと思う人は、キングの真似をしてみるといい。
一週間だけでもそうとうきついはずです。
なぜそう言い切れるかというと、ぼくもやってみたからです。
もう無理です。
やめました。
ところで、今回の記事は、キングの『書くことについて』を紹介する記事ではありません。
それ以外の創作術の本で、とっておきの本があるのです。
知っている人もいるかもしれません。
『SAVE THE CAT の法則で、売れる小説を書く』という本です。
アメリカの作家、ジェシカ・ブロディが書きました。
SAVE THE CATの法則?
いったい何だろう。
と思ったでしょうか。
じつはこの本の前に、映画のシナリオの書き方を記した『SAVE THE CATの法則』という本があるのです。
本書は、その法則を小説に適用してみよう、という本です。
元祖のSAVE THE CATの法則とは何かというと、
「おもしろい映画には決まったパターンがある!」
というものです。
そのパターンはじつにシンプルです。
①主人公にはトラウマがあって苦しんでいる。
②日常生活から引き剥がされるような事件が起きる。
③いやいやながら、日常から離れる。
④非日常の世界で冒険し、一度は大敗してすべてを失う。
⑤そこから立ち直って、逆転勝利する。
⑥最初のトラウマを解消する。
というパターンです。
本当に、すべての(おもしろい)映画がこのパターンで出来上がっているのでしょうか。
怪しいものです。
しかも、ジェシカ・ブロディは、
「映画だけじゃなくて、古今東西のおもしろい小説もすべてこの法則に則って書かれている」
と豪語します。
本書には、その例として、さまざまな小説作品が挙げられています。
キングの『ミザリー』も解説されています。
そこで、この解説を踏まえて、自宅にある『ミザリー』をもう一度読んでみました。
結果は・・・
「むむむ。言われてみればそうかもしれないけど、そうではないと言われればそうでもないかも」
微妙な結果となりました。
しかし、続けて読んだ『ハンガー・ゲーム』(の第一巻)は、まさしくSAVE THE CATの法則って感じでした。
『ハンガー・ゲーム』は、SAVE THE CATの法則のお手本みたいな小説です。
SAVE THE CATの法則を学びたければ、『ハンガー・ゲーム』を読めば理解できます。
他にも、本書に挙がっている『火星の人』も読んでみました。
こっちも微妙な結果となりました。
それから、本書に挙げられていない作品はどうかなと思って読んでみました。
本書の中に掲げられているビートシート(さっきぼくが書いた①~⑥をもうちょっと詳しくした展開項目です)をコピーして、しおりにし、本の間に挟みながら読みました。
読んだ本は、増田俊也の『七帝柔道記』です。
ハリウッド映画的な小説ではないので、どうなるかと思いましたが、結果は、まあまあの一致。
結構、法則通りなんだな、と思いました。
今は、山本周五郎の『ながい坂』をビートシートを挟みながら読んでいます。
こちらは苦戦しました。
そろそろ、次のビートが来ないかな、と期待しているんですが、なかなかぴったりはまらなくていらいらします。
でも、振り返っていれば、それなりに一致するみたいです。
SAVE THE CAT なかなかにおそるべし。
要するに、ぼくが書いた①から⑥に、そのまま当てはまるほどに単純なものではないが、そこそこはあてはまる。
自分の創作に応用するときには、定規みたいにぴったりと当てるのではなく、頭の片隅に置いといて、近づいたり離れたりを意識するところに、妙味があるのではないでしょうか。
最後に、ぼくが今まで読んで、お勧めな創作術の本を挙げてみます。
興味があったら、手にとってみてくださいね。

新井一『シナリオの基礎技術』
加藤諦三『文章の書き方考え方』
根本昌夫『実践小説教室』
大石賢一『マンガ原作 感動をつくる法則』
佐藤さとる『ファンタジーの世界』
村田喜代子『縦横無尽の文章レッスン』
村上春樹『みみずくは黄昏に飛びたつ』
高橋源一郎『一億産前万人のための小説教室』
鈴木信一『書く力は、読む力』
三浦しをん『マナーはいらない』
三田紀房『プレゼンの極意はマンガに学べ』
木原孝一『現代詩入門』
新井久幸『書きたい人のためのミステリ入門』
芦永奈雄『コミュニケーション力を高める文章の技術』
その他その他、まだまだたくさんありますが、きりがないので、またの機会としましょう。
ぐっばーい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?