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『アムンセンとスコット (朝日文庫) 』を読みました。

※アフィリエイトではありません。

人類初の南極点到達レースがドキュメント調に描かれています。アムンセン隊とスコット隊の行動が並行して描かれており、思わず続きを読みたくなってしまうような臨場感にあふれていました。

最近再版された本書ですが、大きな困難に打ち勝ちことを成功させる要因は何か、ということが見えてきます。自分が感じたところを、まずは3つ挙げていきたいと思います。


1つ目は、ことを成すにあたっては、心から夢中になれるよう、自分自身の意志からスタートすることが大切だ、ということです。

他人からから依頼されたからやる、という義務感ではなく、自分自身がやりたいからやる、心から自分が没頭できるようなことを自ら進めていく、ということが大事なのではないでしょうか。

では、ことに臨むに当たり、そのような心持ちになるにはどうしたらよいのでしょうか? 

答えとしては(逆説的ですが)「夢中になれるような仕事やことを自分自身で選ぶこと」なのではないかと思っています。もちろん、組織に所属していたら、全てにおいてそういったことを選択していくのは難しいでしょうが、仮にそういった自分が夢中になれることを仕事にできる環境を得た場合、それはめったにないチャンスなのですから、そういった機会を逃さず大事にしていくというおとが重要なのではないかと思います。

また、はじめはそうでなくとも「興味を持ち色々と調べること」により夢中になれるような気がします。興味を持って色々と調べれば自然に思考量が増え、それにともない事前準備をし、それがさらに成功に近づき…といった好循環に持っていける。本書に書かれているアムンセン隊のスタッフがどういった心持ちだったかはわかりませんが、アムンセン隊の成功体験からは、そういったことが読み取れるのではないかと考えています。

2つ目は、リーダーとして振舞う場合、メンバーに参加意識を生み出すようなリーダーシップや行動が必要である、ということです。

本書でも、アムンセンは自分なりの答えを持っている問いをあえてスタッフに意見を求めたりしています。また、最終的に南極点に到達したスタッフに対し、リーダーではなく仲間とともに旗を立てよう、と提案したのはこのことを著す象徴的なシーンであるとも思います。

危機管理やプロジェクトの進め方といった本を読み込んでいくと、時々「権威勾配」「権力格差」というワードが出てきますが、こういった困難に打ち勝つような場面では、一人でぐいぐい引っ張ってくリーダーよりも、スタッフの自主性や参画意識を高めていくリーダーの方が良い結果が出せる、ということです。

(本当に時間が無く素早い意思決定が求められる場面ではまた別だとは思いますが)誰も見通しが分からないプロジェクトについては、それぞれの面で優秀なスタッフが集められているはずなので、広く意見を聞いてリーダーが責任をもって決めていく、というやり方が、自身の経験からも経験上も一番良いように思います。

3つ目としては、ファクトをしっかりととらえた合理的な意思決定が必要、ということです。

「自分たちのゴール達成を第一に置き、そのために必要なことを冷徹に、感情論を排して決めていく、という態度が必要である」ということは、頭ではわかっていても、人間ですからなかなか難しいと思います。

本書でも、それまで一緒に旅を続けてきた犬を計画的に処分して食料にするシーンや、極地を目指す人数を行程の負担を減らすために意図的に絞る、といったシーンが出てきます。感情的にはグッとくる場面ですが、改めて「合目的的に行動するとは」ということはこういうことである、と唸らされました。


本書はスコット隊の悲劇的な結末、およびアムンセンのその後の生涯が記載されて終わるわけですが、総じて「目的を達成するということ」および「リーダーのありかた」について改めて考えさせられた良書でした。

最後に、意思決定やリーダーシップに関する良書として、私の血となり肉となっているものを紹介します。いずれここでも紹介したいと思います。


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