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独創的な指導を追い求めて

ブダペスト世界選手権では女子やり投の北口榛花選手が金メダルを獲得し、田中希実選手は立て続けに5000mで日本記録を更新しています。すごいですね。2人に共通するのは従来の日本のやり方にとらわれず、独創的なチャレンジを続けているところだと私は考えています。

北口選手は単身でチェコにわたり、現地のコーチに指導を受けています。田中選手は父である田中健智コーチの指導を受けていますが、実業団から離れて退路を断ち、800mから10000mまで積極的に海外レースに出ています。型にとらわれない国際的な感覚を持ってるようで、マラソンの大迫傑選手につながる強さを感じます。日本の長距離選手が800m、1500mの中距離種目に継続して出るのは珍しいケースですが、高強度のレース刺激が結果的に好成績につながっているのではないでしょうか。

トレーニングはタイムを追うだけではない

海外に学ぶ。
これは昔も今も陸上界で選手、指導者ともに必要なことだと私は考えています。

海外に練習環境を求めたり、試合に出ることはもちろん、海外の指導者に学ぶことでも新たな発見が多くあることでしょう。仮に同じトレーニングをしたとしても大きなマインド刺激になるはずです。

あまり長距離選手がやらないプライオメトリクストレーニングも積極的に!

夏にバスケットボールのワールドカップで日本代表をパリ五輪出場に導いたトム・ホーバス監督、そして今行われているラグビーのワールドカップ日本代表のジェイミー・ジョセフ監督の例を挙げるまでもなく、サッカーも含め、他のスポーツでは代表でもクラブチームでも海外から指導者を招く例が多く、そのことに抵抗を感じる人は少ないと思います。

テクノロジーを有効活用し、生理的変化を観察
酸素飽和度の測定

北口選手のように陸上競技でも海外の指導者に学び、世界で活躍している例が多くあります。特に短距離ではアメリカの名指導者、トム・テレツ氏に長く学んできたことが現在、世界レベルで戦える男子スプリンターが出ている礎になっている気がします。

近年は長距離でも海外のコーチに学ぶ選手が出てきました。ただもっと多くの事例があってもいいはずです。もちろん私たち、日本人指導者もそれに負けないように学び続けなければなりません。チャレンジを恐れないこと、独創的であることが今の日本人選手の能力向上を引き出す指導のカギだと思っています。過去のトレーニング法を踏襲するだけでは望む未来には決してなりません。

バイクはトレッドミルとは異なる負荷をかけられる

私が低酸素トレーニングに積極的なことはこのnoteで何度も紹介してきました。今では多くの方からその内容を聞かれるようになりましたが、私自身、まだまだその成果に満足していません。今年度はこれまで以上に強度、頻度を増やしたり、新たな取り組みも積極的に行っています。低酸素トレーニングでは誰にも負けないと言えるレベルまで徹底的に追求することで独創的でありたいと考えています。

低酸素トレーニングは速度、心拍数、酸素飽和度を測定して評価するが、主観も大切

日本長距離界に海外のコーチが招へいされて、世界を目指す指導を行う。
そんな時代が来るのは遠くないのかもしれません。そうなったら私たちには大きな刺激となるだけでなく、危機感も生まれるでしょう。しかし繰り返しになりますが、日々、彼らに負けないくらいトレーニング指導を学び、想像力を働かせて独創的なコーチングを行えば恐れることはありませんし、それをやる義務、責任が私たちにはあります。選手同士だけでなく、指導者同士も刺激し合い、高め合うことが選手の競技力向上、ひいては日本長距離界のレベルアップにつながるのですから、むしろ歓迎すべきことなのです。

オリンピックや世界選手権、ダイヤモンドリーグなどでもっと多くの日本人選手の活躍が見れることを夢見て、みんなで意識を変えていきませんか。

明日はもっと強くなれる、そう信じて



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