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アーユルヴェーダは何に使われているの?


こんにちは!鍼灸マッサージ師・アーユルヴェーダセラピストのくぼいりつこです。
 
前回は「アーユルヴェダってどんなもの?」について触れました。
アーユルヴェーダは5,000年以上前から続いている伝統医学で、伝統医学の他にも薬草療法、自然療法など様々な顔を持っています。
 
今日は「アーユルヴェーダは何に使われているか?」を書いていこうと思います。


「ホームレメディ」、「キッチンファーマシー」として生活に溶け込んでいる


アーユルヴェーダは日本では、おでこにオイルを垂らす「シロダーラ」や、多量のハーバルオイルを体に塗る「アヴィヤンガ」を多く見かけます。
それらはリラクゼーションを目的としているものが多く、日本ではアーユルヴェーダ=リラクゼーション として受け入れられていると思います。

一方、インドやスリランカではアーユルヴェーダが日常生活に溶け込んでいます
アーユルヴェーダでは「反対の性質がそのものの性質を減らす」という考え方をします。これはシンプルで、熱いときは冷たいものをとれば熱さがおさまる、といったことです。
食卓に熱いスープがあれば、生野菜のサラダもある。熱ければ冷たいシャワーを浴びる、といったところ。
このように生活の知恵として、当たり前に実践されています。

ほかにも例えば、少しだるいな、風邪っぽいな…でも病院に行くほどではない、もしくはすぐ病院には行けないなというときに、家にあるスパイスを煎じて飲んだり、スパイスを使った消化のいいものを食べて様子を見ます。

これらを「ホームレメディ」「キッチンファーマシー」といいます。

風邪の時にコリアンダーやショウガを煎じてハーブティみたいに飲んだり、子供がお腹が痛いと訴えるときにクローブを煎じたものをお母さんが飲ませるなど、お母さんレシピが家庭ごとにあります。

私みたいに大人になってからアーユルヴェーダを学んだわけではなく、子供の時から当たり前にアーユルヴェーダが生活の中にあって、慣れ親しんだケアの方法を大人になっても実践していて、それらがまたその次の子供たちに引き継がれていくんですね。

ドクターP(私の師匠、スリランカ人のアーユルヴェーダドクター)いわく、新型コロナウイルスが流行したときも、スリランカ国内はアーユルヴェーダの薬が売切れたり、ショウガやコリアンダーを積極的につかっていたみたいです。

これまで説明してきた「ホームレメディ」、「キッチンファーマシー」の他にも、
・健康な人がもっと健康になるため、ひいては老化を遅くする健康維持増進
・病気の治療
・ビューティーテラピー
 
としても使われています。これらものちのち深く触れると思いますので、今日はここら辺まで。

アーユルヴェーダの現代における役割・立ち位置

次にアーユルヴェーダの現代における役割・立ち位置についてお話ししたいと思います。
5,000年以上前から使われているアーユルヴェーダですが、現代では西洋医学を基盤とした現代医学が世界中で広く用いられています。
それらとどんな関係があるのか?というお話しです。

① 医学の平行システム

スリランカには、伝統医療省という政府機関があります。大学でアーユルヴェーダドクターを育成したり、アーユルヴェーダの普及を行ったりしています。
またスリランカには医師も大臣も、現代医学と伝統医学の両方います。
それだけ同じ立場に西洋医学も東洋医学もいるということですね。
お給料はだいたい同じだそうですが、国の予算としてはまだまだ現代医学のほうが多いそうです。
 
「平行システム」というのは、国内で現代医学とアーユルヴェーダどちらの治療も受けられるということです。患者自身でどちらの治療を受けるのか、選択できます。

② CAM(complementary & alternative medicine)

CAM(カム)とは、補完代替医療のことで、これはアメリカで作られた概念です。
健康や病気の治療をサポートするといった意味合いで用いられる各種療法です。のことです。
アメリカでは、1981年にはアメリカに国立補完統合衛生センターが設立され、アーユルヴェーダの他にヨガ、リフレクソロジー、レイキ、アロマテラピーといった各種療法が盛り込まれています。

③ 統合医療

これはひとつの病院で西洋医学と東洋医学の両方が受けられるものです。
平行システムと異なる点は、「同じ病院内」ということです。現代医学と伝統医学が手を取り合って患者を治療しています。

アーユルヴェーダの他に、中医学もこれを実現させています。
同じ病院で現代医学的な治療と、鍼灸といった中医学にもとづいた治療を受けることができます。

以上、アーユルヴェーダの現代における役割・立ち位置についてでした。

まとめ


かなりざっくりとまとめます。
① スリランカでは、アーユルヴェーダが西洋医学と肩を並べていて、患者は現代医学とアーユルヴェーダどちらか選べる。
 
② 世界的にみると(とくにアメリカ)、健康や現代的な治療をサポートしたり、それにとって代わる治療の一つでもある。
 
③ 一つの病院で現代医学と伝統医学の両方が受けられるシステムがスリランカや中国にある。

日本でも、ヨガやマッサージやアロマテラピーなどは広く受け入れられていますが、リラクゼーションにとどまるもので、不調を感じたら病院に行って、処方された薬を飲むことが多いのではないでしょうか。

日ごろのちょっとした心とからだの不調を相談できる場所の選択肢が増えて、それが広く受け入れられたらいいな~と思います。

次回は「アーユルヴェーダは生命の科学というけど、それってどういうこと?」について書きたいと思います。

ここまで読んでくださりありがとうございました!

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