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「生命の科学」ってどういうこと?


こんにちは!鍼灸マッサージ師・アーユルヴェーダセラピスト&ライフカウンセラーのくぼいりつこです。
 
過去二回の記事ではアーユルヴェーダの概要や背景をお話してきました。
今回からはすこし専門的は話にはいっていきます。
 
今回はアーユルヴェーダは「生命の科学」というけど、それってどういうこと?がテーマです。

最初の記事で、アーユルヴェーダは生命を意味する「アーユス」科学や哲学を意味する「ヴェーダ」からできていると説明しました。

アーユルヴェーダは生き方を教えてくれ、人生を楽しむ方法を教えてくれる、と。
 
それについて具体的にお話ししてみようと思います。



まずは、アーユルヴェーダとは何か、生命とは何か、健康とは何か、それぞれ定義がされていますので、その説明からはじめます。

① アーユルヴェーダの定義

まずは、アーユルヴェーダの定義についてです。定義はアーユルヴェーダの昔の教科書ともいえる、チャラカサンヒターという古典に記載されています。
 
その古典には、
「生命について知ること、生命を楽しむ方法を教えるのがアーユルヴェーダです。」
「アーユルヴェーダは有益な生命、無益な生命、幸福な生命、不幸な生命、生命にとっていいもの悪いもの、またこれらを測る方法を扱います。」
 
と書いてあります。生命の部分は人生に置き換えることもできます。
もう少しわかりやすく言い方を変えてみます。
「アーユルヴェーダは生命について、また、生命を楽しんで人生を豊かにする方法を教えてくれます。」
「アーユルヴェーダは良い生命、悪い生命、幸せな人生、不幸な人生、生命をよりよくするものと悪化させるもの、それらを測り、長生きできる方法を教えてくれる」
 
 
突然ですが、みなさんはどんな人生を送りたいでしょうか?
多くの人は、「実り豊かで幸せに長生きしたい」と思うのではないでしょうか。
 
全てを手に入れるためには「健康」が必要になります。
お金がたくさんあっても、「健康」でなければなにもできません。
アーユルヴェーダは人生の基礎となる健康を楽しんだり、健康に良いものや悪いものを教えてくれます。それがその人の生き方につながってくるのです。

② 生命の定義

「生命」とはなんでしょうか。
・息をしていること?
・感情があること?
・五感をつかうこと?
 
これらはすべて生きている証拠ではありますが、生命とはなにかを説明してはいません。
 
アーユルヴェーダの古典では「生命」についても次のように定義されています。
 
「生命とは、肉体、感覚器官、精神、魂が結合し、支え合ったものをいいます。」
 
生命は、からだ、目や耳などの感覚器官、こころが繋がって支え合っているものなのです。
 
私は、アーユルヴェーダセラピストの仕事は、これら4つの結合をサポートすることだと思っています。
どれか一つ欠けてもいけません。
そのため、マッサージで体を癒すことももちろん、お話をよく聞いて、その人の心の状態を見たり、その状態を生み出しているものはなんだろうか?と分析して、サポートしていきます。

③ 健康の定義

WHOの憲章にある健康の定義は
「健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。」です。
 
病気や体が弱いというだけでなく、からだも心も社会生活においても良好な状態が健康と定義しています。
ではアーユルヴェーダの健康の定義の定義を見てみましょう。
 
「バランスのとれたドーシャ、バランスのとれた消化力、バランスのとれた体の組織要素排泄が正常にされること、汚れのない感覚器官精神のことです。」
 
初めて聞いた方は????だと思いますので、言葉について補足説明をして、できるだけかみ砕いていこうと思います。
 
ドーシャとは「3つの生命エネルギー」のことでヴァータ(風)、ピッタ(火)、カパ(水)のことです。これらは体の生理学的機能をコントロールしています。
例えばヴァータ(風)は血液の運搬や神経の伝達、ピッタ(火)は消化、カパ(水)は関節や皮膚の水分を保つ結合といった役割をそれぞれ担っています。
 
アーユルヴェーダでは、全ての人は3つの生命エネルギーをもって生まれると考えます。
それらがバランスを保っているので体が正常にはたらいてくれますが、生命エネルギーのバランスが悪くなると不調が起きたり、不調が続くと病気になると考えます。
 
体の組織要素とは、体を支えている骨や筋肉、脂肪や血液といった組織(それらを構成する要素も含む)のことです。
 
バランスがとれているというのは、異常のない状態や生理学的機能を果たした状態を意味します。
 
汚れのない感覚器官というのは、五感をコントロールできるとか、感覚器官を正しく使えるという意味だと私は解釈しています。
 
現代では感覚器官の過った使い方や、使い過ぎによって病気になることも珍しくはありません。
味覚で言えば甘いものや高脂肪のもの、辛い物の食べ過ぎ、視覚で言えばスマホやテレビを見すぎること、聴覚であれば大きい音で音楽を聞いたり、嫌な言葉をたくさん聞いたり
これらは生活習慣病やストレスによる様々な病気の原因と言えます。
目、耳、鼻、舌、触覚を正しく使い、コントロールできることは健康な状態だと思うのです。
 
また、五感で入ってくる情報がよくないと精神も汚れます。
喧嘩している人たちの表情を見たり、声を聞くと悲しい気持ちになったり、イライラする人もいると思います。
生命は体、精神、感覚器官、魂が支えあったものです。ひとつが汚れるとその他の3つも汚れてしまいます。
 
まとめますと、アーユルヴェーダにおける健康というのは、
「生理学的機能を果たす3つの生命エネルギー、消化力、体の組織要素が異常のない状態で、排泄が正常に行われ、感覚器官、魂、精神が汚れていないこと」です。

生命の科学とは

かなり前置きが長くなりましたが、今日のテーマは「アーユルヴェーダが生命の科学ってどういうこと?」です。
 
それは、「生き方を教えてくれるから」です。
 
これまで説明した定義を総合すると、アーユルヴェーダは「健康で楽しく長生きする方法を教えてくれる生活の知恵」です。
それらは一瞬一瞬の特別のものではなく、日々自実践し習慣にしていく、いわば「生き方」といえます。
 
科学というのは、体系的にまとめられた知識のことです。アーユルヴェーダは今後触れていきますが、体系的にまとめられた医学です。
 
アーユルヴェーダは「生き方を教えてくれる体系化された知識」なので「生命の科学」なのです。
 
私はアーユルヴェーダに出会ってから、セラピストというのは、お客様を健康に導くサポートを行い、からだ・精神・感覚器官・魂の結合をより長く保てる(=長生きできる)ようにお手伝いをすることが使命なのだと思うようになりました。
 
このようにnoteでアーユルヴェーダについて発信するのも、より多くの人を健康に導くことのできる方法のひとつだと思っています。
 
今後も皆様に有益な情報をお届けできるように日々勉強していきたいと思います。

さて、次回はアーユルヴェーダではどんなことをやるの?という「アーユルヴェーダの領域」についてお伝えしていきたいと思います。

 ここまで読んでくださりありがとうございました!

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