私はやっぱり、虫が苦手な母親だけど
長男は、「虫」に興味がない。
「生き物」全般に興味が薄いが、とくに「虫」は触らない。
近所に、虫が大好きな友達がいて、よく見せてくれるが、一向に興味を持たない。
そんなとき私は、「虫取りとかしないのかなあ?」なんて口では言っているが、内心では、ありがたいと思っている。
私は、虫が大の苦手だからだ。
もう、どの虫も苦手だし、この記事のイラストを探すために、「虫」を検索したときは、画面から顔をめちゃくちゃ離して探した。
(マイルドですてきなイラストをお借りできてよかった。)
羽音を聞けば騒ぐし、飛んでいる蝶も全力で避ける。
特に、とぶ虫がダメ。
バッタ類がかなり苦手で、一番無理なのはカマキリだ。
まあたぶん、こんなふうに虫を毛嫌いする私のせいで、長男は虫を触ろうとしなくなってしまった、のだと思う。
もともと「生き物」に興味は薄かったが、ここで私が虫の面白さを伝えられる母だったら、虫とり少年にだってなれたのかもしれない。
私も一時期、「私のせいで虫が嫌いになってしまったのでは」ということに申し訳なさを感じていた。
長男が虫に興味を持つチャンスを、私が奪ったのだとしたらよくない。
そう思った私は、とある本を読んだ。
竹澤夏央さん『頭の良さと強い心が育つ すごい虫育児』という本である。
そもそもこの悩みは1年くらい前のことなので、読んだのも1年前。
この著者は、もともと虫が苦手だったそうだ。
でも息子は「虫博士」と呼ばれるほどの虫好き。
どのようにしてそんな子になったかということや、虫育児のよさについて書かれている本だ。
たしかに、虫とりをすれば、体力もつく。調べるのに図鑑を使うので、知識も広がる。
なにより、虫には「命」がある。なかなか捕まえられなかったり、死んでしまったりすることで、思い通りにいかないことを経験させられる。
書いてあることは、どれも子どもにとって価値があると感じられるものばかりだった。
よし、これを機に、少しでも虫に興味を持てるきっかけをつくってみよう。
本を読んでそう思った私は、なんとか長男に虫をとってやって、見せてやろうとしたことがある。
ダンゴムシならなんとか触れる。
そう思って、おそるおそる素手で捕まえて、指で転がしてやったり、長男の手に乗せてやったりした。
長男も一応興味はあるのか、「ほおー」と見ていた。
「ダンゴムシくらい触れよ」という話だが、もう、無理。限界。
でも、頑張ったおかげなのか、長男はこれ以降、ダンゴムシだけは一応触れるようになった。
だか、積極的には触らない。
みんなが「ダンゴムシおるで!」と言っても、「ふーん」という感じだ。
あと、すっごく小さなバッタを、バケツで何とかすくって、見せてやった。
ぴょんぴょんしているのを眺めて、面白かっていたが、それだけだ。
べつに自分で捕まえたりはしない。
そんなのを2.3回繰り返したところで、私は悟った。
これ、誰が楽しいんだ?
私は、苦手な虫を触らなければならなくて苦痛。
長男は、なぜかこれまで避けてきた虫を、急に見せられたり、触らせられたりして苦痛。
両者が苦痛を感じている。なんだこの状況。
それに、こんな付け焼き刃の虫取りを2.3回したことより、私が大騒ぎで虫を避ける回数の方がはるかに多い。
長男はそれを見ているのだから、その印象の方が強いに決まっている。
やめよう。
私に虫育児は、むりだ。
こうして私の虫育児チャレンジは終わった。
だが、こんなふうにチャレンジしてみて、分かったことがあった。
それは、
「親が本心から楽しんでいることでなければ、子供も楽しまない」
ということだ。
私がどんなに虫育児をがんばっても、私自身がそれを楽しめていなかったので、長男からすれば「お母さん急にどうしたんだ?」状態だったと思う。
それに、虫を育てることって、絶対やらなきゃだめなことじゃない。
長男は、今後何かのきっかけで、虫に興味を持つのかもしれないし、人生において、虫を育てることはないかもしれない。
いま、虫に触れさせることに価値があるのは間違いないが、そのきっかけを与えるのはわたしじゃなくてもいいし、べつに虫を育てなくたって、彼の人生に支障はない。
それより、私には、もっとできることがある。
例えば私は絵が好きなので、よく長男とお絵描きをする。
そのためか、長男は絵が大好きだ。
長男の描く絵は本当に可愛くて、いつも壁に飾っている。
長男とのお絵描きは、心から楽しい。
きっとそれは、長男にも伝わっているとおもう。
『頭の良さと強い心が育つ すごい虫育児』にも、こんな一文がある。
お絵描きでも、長男の好きな「もの作り」でも、なんでもいいのだ。
今はただ、長男の「好き」を、そっと見守ってやればいい。
でも、我が子の「好き」の幅を広げようと、あれこれやってみるのも、それはそれで意味がある気がするので。
たまには、長男に新しいことを進めてみようかな、なんて思ったりもする。
こうやって試行錯誤しながら、長男の「好き」を一緒に楽しんでいきたい。
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