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【自己紹介・起業しました】文学とビジネスをかけ合わせて価値を出すことができるか

初めまして。これが初投稿で2024年3月現在、起業してまだ2ヶ月です。ベンチャー企業や新規事業など「1→10、10→100」のお手伝いをさせていただいております。

特に強みとするのは事業拡大に必要なコンタクトセンター、インサイドセールス、カスタマーサクセスチームの立ち上げ、マーケティング、新規事業開発を徹底的な顧客の声を通して実現することです。

加えてビジネスに「文学」の力を取り入れることを目指しています。まずはわたし自身と起業の経緯を紹介させていただきたいと思います。

コンタクトセンターでの膨大な対話経験と文学研究


わたしは大学では日本近代文学を学びました。
もともと本が好きだったのですが単に物語を受け止めるだけから、読むことには技が必要なのだな、技があれば可能性を広げることができるのだなと感じ、より深く学びたいと考えるようになりました。

そこで大学卒業後は大学院に進んで文学研究者を目指そうとしたのですが「女子が文系大学院に行くと生活ができない」という噂を聞き、それを鵜呑みにして就職活動をして二輪車関連の会社に入社します。

入社理由は趣味がバイクでベンチャー企業に興味があったからです。

配属は最初はコンタクトセンターでした。多い日では100人以上のライダーのニーズに耳を傾けとにかくアポイントを取りました。ものすごく厳しくて初任給で寝袋を買って仕事に打ち込みました。努力を続けた結果、徐々にマネジメント側へステップアップし、100名以上のメンバーと共に多くのチームを立ち上げて、課題解決を行ってきました。
その後はマーケティング部門に異動し何十万件と集まる顧客の声を活かしたCRM戦略の担当者として日々を過ごしました。

たくさんの部下や熱い仲間に囲まれ仕事は充実していましたが、文学の道をどうしても忘れられず数年の受験勉強の末に大学院に入学しました。ちょうど東北にコンタクトセンターを立ち上げる大きな仕事の最中だったので、退職せずに東北での仕事と東京での大学院生活をなんとか両立して学びました。

幸いコンタクトセンターは24時間365日稼働だったので(!)平日に休みを取り、夜行バスで東北↔︎東京を行き来していました。
ほとんど寝ないで仕事・勉強していました。とても良い思い出です。

大学院では素晴らしい人々に囲まれて楽しく学べましたが、残念ながらわたしは研究者としては到底パフォーマンスを出せないと感じ、卒業後はまた仕事に専念しました。研究者の道、挫折です。文学はライフワークとし、仕事に打ち込んでその仕事もトータル15年近くお世話になった後、結婚を機に退職します。

起業までの経験

その後は、個人事業主としてコールセンターの品質調査や顧客調査、講師をしたりしていたのですが、出産を経験し日本の現代ママのあまりの大変さに気づき少しでも役に立ちたいと、ベンチャー企業に転職してママ・患者向けの相談コールセンターの立ち上げを行いました。

ベンチャーならではで様々な仕事を経験させてもらいましたが、最も会社や社会に貢献できた仕事が「顧客や社員インタビューから仮説を立案し、改善を行なうこと」でした。なお、とにかく現場に行って顧客の声を聞くことはある超有名コンサルティング企業の社長から教えていただいたことでもあります。

わたしはもともとコンタクトセンターで何万人と対話し、立ち上げた相談室でもたくさん対話を行ってきましたので、目的意識を持って顧客とお話しすることがとても得意ですし大好きです。また、マーケティング部門にいたので定量データを分析することも日常でした。

数字にすると見えないものが見えてきます。数字は誰もが説得されます。数字を見てチームで納得感を持って改善活動にあたれるのは、本当にやりがいがありました。

ただその一方で、データ補正をする際に切り捨てる「外れ値」や、n1だけど可能性に秘めたアイデア、性格や行動をよく表す口癖、息遣いなどの細部にこそ実はとんでもない価値があるのではないか?と常々思っていました。

顧客満足度90%、NPSスコアが上がった、商品Aが顧客に好評です、と言われた時に数字の裏でどういう物語が顧客と自社に起きていたのか、ありありと想像できない。
データは豊富にあるのに、そこにいるはずの人間が見えてこない。
やはり既存の定量調査・定性調査だけでは足りないのではないか。

そこで数字の裏にある物語を見に行き、聞きに行くようになりました。インタビューを行って、顧客の受容価値や課題の解像度を上げるプロセスを改善活動に取り入れるようにしたのです。
そこには生身のさまざまなことを感じ矛盾した行動をとる人間がいました。
誰しも多かれ少なかれ切実な問題を抱えています。その問題に向き合って確実に解決していくことは、はっきり利益につながっていきました。

文学との交差


インタビューの際、決められたアンケートをただ聞いていくだけでは人を強く行動に促している強いインサイトはつかめません。人間は決して合理的な判断をしないし、固定化されていない。常に揺れ動き、不安定なものです。

だからわたしはインタビューでは実際に取った行動とその時の文脈を深く理解するためにその人の生涯、人柄、影響を受けている周囲の人々との関係性などを丁寧に聞き取り、社会的、文化的、歴史的背景の中に置かれた個人の生き生きとした物語を構成できるようにしています。口調や態度なども含めて、その人が立ち現れるように。
アンケートでは表現できないところに価値は眠っているものです。

これは文学で学んだ態度でした。ノイズとされるような人間の細部にこだわり新しい価値を開いていくこと。ひとりの人間に深く深く潜っていくこと。

文学には伝統的に「聞き語り」の形式があります。誰かが語ったものを媒介して語り直すという形式には、他者の言葉を受け止め、時に感情移入し、聞き手と語り手が相互に融合し合うような場を作り出します。

例えば村上春樹も『アンダーグラウンド』(講談社、1997年)でサリン事件の被害者のインタビューを元に作品を作り上げましたが、村上春樹ひとりの内面で捉えた事件を表現する在り方もあった中で、やはり他者の話を「聞いて語る」ことの可能性を感じるものでありました。ノンフィクションと呼ばれるジャンルですが、その作品成立のプロセスや「聞く」ことそのものが文学行為だとわたしには思えます。

ビジネスも文学も究極的には人間や世界を理解して生きさせるための試みです。そうであれば、ビジネスと文学を分けるのでなく文学が重ねてきたものを自分なりにビジネスで役立たせながら生きていけるのではないか。

先述した通り、わたしは「文学では食べていけないよ」と言われて就職をしています。おそらくそう言われた文学部出身者、希望者はわたしだけではないでしょう。もういい加減「文学を学んで何になるの」と聞かれることにはうんざりしてきたところです。

人間が見えにくくなっている現代、人間と向き合い続けてきた歴史を持ち人間があふれる文学と、現実の社会を便利に豊かにはするけれども人間を数字に回収しやすいビジネスと。

この二つをつないでいくことで、社会をもっと生きやすい時代にしたいというのがわたしの挑戦です。
ひとりを決して見失わないこと。ひとりを大切にすること。特にビジネスの現場に届きづらい人たちの声を届けていきたい。

文学という人文知をビジネスに


ビジネスの現場に届きづらい人たちの声を意識しているのは、この国の未来のためには、ビジネスの意思決定の現場に不在になりがちな人々の声にこそあるからだと思うからです。

わたしはママ向けのサービスに関わることが多いのですが、ママ向けサービスにも関わらず、意思決定の場にはママは少数もしくは不在です。だからこそ声をかけていただき、わたしたちを通してママの声に耳を傾けてくださるのは大変ありがたいことで、使命感を持ってお仕事をさせていただきます。

ママには「こうあってほしい」と他者が求める、ある種無責任な声やステレオタイプがあります。そういったものを打ち破り、同時代に生きるママの痛みや喜びを伝えることで、企業が本質的な課題解決を行えるように全力を尽くしたいと思っています。
そしてすぐれた文学は歴史に埋もれる無数の人の痛みや喜び、業といったものを表現してきたジャンルです。だからこそ、相性の良いアプローチであると考えます。

昨今、世界史や哲学など人文知のビジネスへの応用が流行しています。わたしはこの流行に非常にポジティブです。もっともっと文学の蓄積してきた知が日常のビジネスに浸潤してきてよいのではないか? と思っています。

長くなりましたが、少しでもご興味を持っていただける方、何か面白いことをご一緒したいと思ってくださる方、メッセージをいただけると大変嬉しく思います。

ここまで読んでくださってありがとうございました。
今後ともご指導ご鞭撻宜しくお願いします。

株式会社コノカタリ 
▶️https://nishikawanaoko.wixsite.com/konokatari


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