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 爽やかな小鳥のさえずりで目覚める。
階段を一階に降りていくと、香りのいいコーヒーの匂いが鼻をくすぐる。
洗面台に行き顔を洗う。ふかふかのタオルが気持ちいい。
リビングに入ると、
「おはよう」
「おはよう」
 年代物のスピーカーから、モーツァルトのピアノ協奏曲K467が流れている。
 トースト、ゆで卵、ベーコンハムサラダ、コーンポタージュスープ。
ミルクと野菜ジュースに、ヨーグルトとフルーツが三種類のドレッシングと共に食卓に並んでいる。
 殻付きのゆで卵の上部をナイフで切り取り、スプーンですくって食べる。
二人そろって、ゆっくりと時間は流れる。
 最後にコーヒーを飲む。
コクのある芳醇な香りで美味い。
喫茶店で買ったブレンド豆をミルで挽き、ゆっくりと落としたコーヒーだ。
喫茶店で飲むより美味しいかもしれない。
 テーブル横に置いてある朝刊に目を通す。
一面には、今も続いているウクライナでの戦争。
市街地に爆弾が落ち、多くの市民が負傷した写真が載っている。
と、
ベッドの上で目が覚める。
ああ、夢か。
 地球の裏側で悲惨な出来事が起きているのに、こんな朝を迎えていいのだろうか。


 寝苦しい暑さで目が覚める。
階段を一階に降りていくと、生ゴミの匂いがする。
『そうか、今日は燃えるゴミの収集日か』
ゴミ箱から、ゴミ袋に詰め替え、生ゴミも入れ込む。
 収集場所に持っていくと、同じようにゴミ袋を手にしたおじさんと出会う。
「おはようございます」
「・・・・」
その歳になって、挨拶もできないのかと思うが、人のことだ。
ここで、頭にこなくなったのは、だてに年を取っていないからと自分を誉める。
 家に戻り、食パンを焼く。
キュウリが半分あったので、そのまま皿に置く。目玉焼きがいつの間にかスクランブルエッグになった。
マヨネーズを片手に食卓に持っていき、テレビで流れているモーニングショーを見ながら一人で食べる。
 そそくさと食べ終わると、食器を流し台に持っていき、昨夜の夕食の食器と一緒に洗う。
 洗濯機の中から洗濯物を取り出し、ハンガーにかけ、外に干しに行く。
家の中に戻り、一包になっているコーヒーのパックに湯を注ぐ。
なぜか、匂いはあまり感じない。
 新聞の広告を見ながら、コーヒーを飲む。
『キャベツと卵の特売日か、、、』
すると、やっと起きてきたパジャマ姿の奥様が、リビングに入ってくる。
テレビのリモコンを手に取り、チャンネルを韓流ドラマに切り替える。
「ねえ、どう思う今度の主役の○○」
テレビから、いつものハングル語が急に大きな音をたて始めた。
と、
ここで目が覚め、る?
いや、残念ながら、夢ではなく既に目は覚めていた。
 地球の裏側で悲惨な出来事が起きているのに、こんな朝を迎えていいのだろうか。

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