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腸内細菌と私 あとがき 及び参考文献




あとがき
1968(昭和43)年から医薬品卸売業を営んできた私は、ある時期から健康に対する考え方が随分変わったことを実感しています。発足当時は事業を軌道に乗せることで一生懸命でした。省みれば33年間の事業活動の中にはよくまああんな恥ずかしいことを、と思うこともたくさんあります。やっと事業も軌道に乗ったころ、自分の能力も省みず随分無理な計画を部下に与え、うまく行かないのは部下のせいにし、会社を窮地に追い込んだこともあります。私生活においても家族の心配と苦労などに思いいたる余裕もなく、ただひたすら自分の思いの中にだけ入りこみ、苦しんだ時期もありました。

そんな私が変わったのは

1975(昭和50)年博多聖福寺先代の住職、山岸善来老師に出会ってからのこと。私の人生観は少しずつ方向を変えはじめ、やがて昭和52年社員研修をお願いした豊村研究所々長、豊村茂平先生との出会いは私の人生観を根底から覆すものでした。それまでの私は、うまく行かないのはすべて自分以外に原因があると、自らを省みることのかけらも持ち合わせていなかったように思います。それまでじっと耐え、支えてくれた妻愛子や従業員に、「すまなかった」「ありがとう」がいえる自分になれたことは、豊村先生の命がけの叱咤のおかげと感謝の思いでいっぱいです。
物ごとの本質を考えることや、周囲のおかげで自分が在るという立場で少しずつ、自分を見直し立ち振る舞えるように変わっていったのです。
昭和53年福岡青年会議所に入会し、多くの友人を知り共に学ぶ機会を得たのも大きな人生の財産となりました。
その後の1976(昭和61)年青年会議所の卒業年度に松原泰道先生と知り合い、人生をより良く生きぬくために先人の知恵を学ぼうと、昭和62年3月、先生が会長の「南無の会」を「はかた南無の会」として青年会議所最後の委員会メンバー有志とともに発足いたしました。

人間として生まれてきたことに感謝し

、おかげさまで今日も1日生かされたぞと、感動する心を呼び戻そうと、「はかた南無の会」では毎月1回、僧侶、学者、文化人など仏教に関係の深い先生方をお招きして、辻説法の会を開き講演録(会報)を発行しております。
「はかた南無の会」でお話をいただく時の松原泰道先生をはじめ多くの先生方からは、異口同音に「おかげさま」「ありがとう」という言葉が出てきます。それを聞きながら私は「この言葉は誰に?何に?」と考え続けてまいりました。
人さまの健康に役立つ医薬品の卸売を生業としながら、一方では、現代医療では治らない難病が増えていることへの疑問から、日本綜合医学会の副会長で福岡市内で開業されている、安藤孫衛先生の食事療法と自然食運動に参加させていただきました。
アトピー、ガンをはじめとして、いわゆる生活習慣病(成人病)等が増えており、しかもこれらの病気は低年齢化しています。病で苦しむ人の多くは胃腸の弱い人たちが圧倒的に多いように感じていました。自らの体力はおなかの健康度に左右されます。前にも述べましたがうまく行かないのは自分以外に原因があり、その原因をとり除けばすべて解決するという発想に疑問を持ち、それでは生活習慣病の治療と予防に多くの成果は望めないということが、私の人生経験と先達の教えの中からわかってきたのです。間違った健康法にとらわれている人を他人も社会もどうして助けることができるでしょうか。まず

誰のおかげで元気に動けるのか

を考えていただきたいのです。私たちの生命はおなかの中の100兆個もの小さな微生物(腸内細菌)の存在によって生かされています。人間は約60兆個の細胞でできているといわれますが、自分の細胞の倍近い小さな生きものの働きのおかげで、生かされ、元気でいられることがわかってきたのです。「生かされている自分」への「おかげさま」「ありがとう」から始めるべきだと考えたのです。
今生きている自分は社会のおかげ、会社のおかげ、家族のおかげに他なりません。そのもっと根源的な部分で、自分を生かしてくれているもう一人の自分(腸内善玉菌)に気づくことが「おかげさま」の原点だと悟ったのです。
健康への自立を目指し、20年近く健康へのかかわりを持ってまいりましたが、「南無の会」の松原先生の「おかげさま」の解釈を、腸内細菌の働きのおかげで生かされている「おかげさま」の気づきととらえ研究いたしました。私はもちろん細菌の専門家ではありませんが、専門外の立場だからこそ、「想い」と「小さな微生物」の関係、そして「波動」まで、考えを広げることができたのかも知れません。
一方、友人のアメリカ人アラン・ランプ氏から「気」によって大腸菌を増やしたり殺したりできるという実験を菅野久信先生(元九州産業医科大学教授)がされた時の写真やデータを見せていただき、

「想い」そのものが微生物に与える影響の凄さ

を知りました。怒りは血を汚すといわれますが、ストレスなどの想いの波動はそのままストレートにそして微妙に腸内細菌の働きに影響を与えます。喜びと感謝の波動は腸内善玉菌の働きを活発にするのに対し、不安と恐れや悲しみ、怒り、イライラは腸内悪玉菌の繁殖を促します。現代の社会生活ではストレスを含め精神生活の面でも、食生活の面でも(食品添加物防腐剤など)腸内細菌は日々いじめの連続を受けています。その結果、腸内は汚れ血液も不健康のきわみとなってしまっているのです。「おかげさま」の心が湧いてくれば、ストレスも半減し、きれいなサラサラの血液をつくるのは間違いありません。人の想いを目で見ることはできませんが、事実おなかが元気になることによって改善した血液写真を実際に見るとその違いがよくわかります。
人間は本来健康で動き回る機能と本性を持っており、きれいな腸をつくり、きれいな血液をつくれば、病原菌にも侵されず病気の回復力も旺盛になるものと信じます。事実私の周りには大勢の元気をとり戻した人たちがおられます。

シュバイツアー博士の言葉に、「どんな病気でも85%あなたの体の中に眠っている主治医をたたき起こせば治る」とあります。

腸内善玉菌が旺盛なら食べた食事を完全消化し、きれいな腸が維持できれば生活習慣病などの病気は自然に治っていきます。
あらゆる病気についていえることですが、どこかに疾患があらわれたとき、すでに血液は汚れているという認識が大事です。そういう意味では、腸の汚れは血液の汚れであり、「万病のもと」であるといっても言い過ぎではないでしょう。まさに腸内環境が私たちの健康を左右しているのです。腸内活性化、血液浄化こそが万病を癒し、病気を予防することができるのです。
高度な手術や感染症のための薬ももちろん必要です。しかし、高血圧、糖尿病、アレルギー疾患を本当に治すのは自分です。
自分自身に授かった

もう一人の自分のパワー、「腸内細菌」の力で、自分に与えられた最後まで元気に働ける寿命を満額受けとろうではありませんか。


いま、私たちは多くの情報の中で混乱し、何が本当に良いのか、何を食べればよいのかわからなくなっています。私自身もそのような中で模索してきましたが、この本が腸内環境を整えきれいな腸内をつくり、生活習慣病を予防し健康に生き続けるために役立てていただければ幸いです。
また、本書出版にあたり、佐々木俊雄先生、鈴木重光先生、システムクリエートの田島安江さん、北野士朗さんにご尽力いただきました。ここにあらためて感謝の意を表したいと思います。
                     2001年  箕浦将昭

参考文献


「生体微量金属の話」糸川嘉則=著 自然の友社
「環境の地球化学─微量元素と健康─」山縣登=著 大日本図書
「食品微量元素マニュアル」細貝祐太郎・堤忠一・高井百合子=共編 中央法規出版
「微量元素と小児疾患」《小児科MOOK NO.33》馬場一雄・小林昇=編集主幹 宮尾益英=編集企画 金原出版
「植物の生命と微量元素」M.Ja.シュコーリニク=著 藤原彰夫=監修 原田竹治=訳 社団法人農山漁村文化協会
「菜食・禁煙・がん予防」平山雄・香川芳子=共著 女子栄養大学出版部
「ミネラル栄養学」渡辺正雄=著 株式会社富士経済付属阿部研究所
「微量元素─栄養と毒性─」社団法人日本化学会訳編 丸善株式会社
「四訂・日本食品標準成分表」科学技術庁資源調査会=編集 大蔵省印刷局
「三訂・日本食品標準成分表」科学技術庁資源調査会=編集 医歯薬出版株式会社
「日本食品標準成分表─国民食糧及栄養対策審議会決定─」大磯敏雄=編集
第一出版株式会社刊
「栄養価早見表─日常食品・料理品・びん・かん詰─」森川規矩=著 第一出版株式会社刊
「健康動態白書─20世紀末人の健康事情─」株式会社需要開発研究所=企画編集
「野菜は薬だ」岩尾裕之・小林正夫=共著 社団法人農山漁村文化協会
「赤と緑の医学 とくにガンのカラクリを求めて」森下啓一=著 美土里書房
「食物繊維で現代病は予防できる」デニス・バーキット=著 桐山修八=監訳 中央公論社
「実用ビタミン栄養学」ジェームズ・スカラ=著 稲垣長典=監訳 小学館
「いのちを守る健康食入門」安藤孫衛=著 西日本新聞社
「養生訓」貝原益軒 井藤友信=訳 講談社学術文庫
「東洋医学の哲学─最高判断力の書─」桜沢如一=著 日本CI協会
「自然の中の原子転換」C.L.ケルヴラン=著 桜沢如一=訳 日本CI協会
「血液と健康の知恵」千島喜久男=著 新生命医学会
「千島学説入門─生命発生からガン治療まで─」忰山紀一=著 地湧社
「食べ物さん、ありがとう」川島四郎・サトウサンペイ=著 保健同人社
「食品添加物読本」郡司篤孝=著 株式会社三一書房
「間違いだらけの有機農法」中嶋常允=著 文理書院
「土といのち─微量ミネラルと人間の健康─」中嶋常允=著 地湧社
「食べもので若返り、元気で百歳─生命はミネラルバランス」中嶋常允=著 地湧社
「自然の原始転換」ルイ・ケルヴラン=著 日本CI協会
「汚れた腸が病気をつくる─腸をクリーンにする究極的方法」バーナード・ジェンセン=著 ダイナミックセラーズ
「心の治癒力─チベット仏教の叡智」トゥルク・トンドゥップ 地湧社
「生命の實相─第2巻實相編下」 谷口雅春=著 日本教文社
「触媒の科学」 田中虔一・田中謙二=著 産業図書株式会社
「血液は語る」 吉原正登=著 現代書林
「ミネラル・微量元素の栄養学」 鈴木継美・和田攻=著 第一出版
「菜食禁煙がん予防」 平山雄・香川芳子=著 女子栄養大学出版部
「腸内細菌の話」 光岡知足=著 岩波書店
いわゆる納豆菌(Bacillus subtilits)の免疫調節能(浜島健治・山田誠一・奥田研爾・田所一郎) 横浜医学34(3):139~142 1983
納豆菌リザ─トの抗菌性と感染に対する影響(大黒勇・小松崎尚・栗山茂・川島正道)
医学と生物学・第104巻・第4号 1982年4月10日
納豆菌が持つ抗菌活性 O-157に対する生育阻害効果(須見洋行)Vol.14 No.2 1997 BIO INDUSTRY
食品微生物が生産する新しい生理活性物質(納豆菌由来の血栓溶解関連酵素について)(須見洋行) 河医研研究年報 第33号 1983年
機能性食品としての納豆:血栓溶解酵素ナットウキナ─ゼとその投与効果(須見洋行)岡山県立短期大学紀要 35巻 46~52項(1991)
納豆中のプロウロキナ─ゼ活性化酵素と血栓溶解能(須見洋行・馬場健史・岸本憲明)Nippon Shokuhin Kagaku Kogaku Kaishi Vol.43,No.10,1124~1127(1996)〔研究ノート〕
納豆菌給餌雌性ダイコクネズミの血中成分(栗山 茂・小松崎 尚・川島正道・大黒 勇)河医研研究年報 第37号 1987年
納豆の少量摂取における血中ビタミンKの変動について(工藤龍彦・首藤 裕)血栓止血誌7(3):239~243,1996
活性・納豆菌原末ビオナットミン(BIO-NATTOMIN)(株式会社 目黒研究所)
 

著者プロフィール


 箕浦 将昭(みのうら まさあき)
1945年 広島県生まれ
1968年 福岡県を中心に医療用医薬品卸売業創業。
1974年 株式会社健将設立 代表取締役就任。
1977年 自然食、健康食品販売を目的に株式会社 健将ライフ設立。

1982年 ミネラル・微量元素補給を目的として、数あるアルファルファの中から微量元素を豊富に含むナチョナルナな原料を厳選し、「スーパーベジタブル」として製品化し発売を開始。


1998年 長年医療機関向けに販売してきた納豆菌入り消化酵素製剤の納豆菌を「ちょう元気なっとうや」として製品化することに成功。発売を開始する。

この両製品を合わせて利用することでアルファルファの消化吸収が向上することと、腸内環境が変り、腸内善玉菌の活躍が大幅に改善できることを発見する。
1999年 この納豆菌食品をさらに発展させ、ナットウキナーゼを豊富に含んだ納豆菌と乳酸菌(BIO株)を合わせたものを製品化する。「ちょう元気なっときな」が誕生する。18年間発売してきた「スーパーベジタブル」を「元祖元素」と名前を改め、「ちょう元気なっときな」と組み合わせて、「おなかいきいき健康法ベーシックAセット」としての販売をはじめる。

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