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腸内細菌と私 第2章 腸の異常は万病のもと現代人は排泄の機能不全



自然に学ぶ現代人は皆、消化もしくは排泄の機能不全に陥っているといっても言い過ぎではないと思います。それは割合から見て、もはや「流行病」といっていいほどです。食習慣やライフスタイルの変化が、多くの人の健康と活力を徐々にむしばみ、病気に向かわせているのです。病気になった体は「もっとよこせ、もっとよこせ」と、労力、時間、お金、気配りを要求し、そして次第に人々は疲労し、活力を奪われていきます。私たちは人生の早いうちに正しい道をはずれ、袋小路に迷い込んでしまいました。これは不運であると同時に、避けようのないことでもありました。しかし、今からでも、その不幸な道を進むのを止めて方向転換し、体と精神を浄化させて元気回復へと通ずる正しい道を選べば、自然に与えられている本来の「健康で生気にあふれた暮らし」という素晴らしい恩恵を再び、受けとることができます。健康問題に対処するには自然に学ぶことです、つまり人間は自然に逆らいさえしなければ、多くの病からの回復というご褒美をもらえるのです。ここでは、排泄と健康の関係を考えてみましょう。

ウンチとオナラは腸からのメッセージ


◎色で判断する
人の体は、消化吸収がスムーズに行われていれば、ウンチもオナラも適当に出てくれます。ですから、もしそれが何かの理由でうまく出ないとしたら、それこそおなかの状態は赤信号。ウンチとオナラは、自分の体の中の、特に腸の状態を正確に伝えてくれる大事なメッセンジャーなのです。
では、ここでだれでもできる腸内からの声、ウンチによる健康診断に耳を傾けてみてください。
ウンチの診断は、色、形、臭いの3拍子。自分の出したウンチは、汚い、くさいと思わずにきちんと観察しましょう。
さて、ウンチの色はどうしてつくのでしょう? ウンチの色はその日によって違います。その色をつけているのは胆汁。胆汁は肝臓でつくられます。胆汁そのものの色は緑なのですが、それが出てくるときはなぜ別の色になるのでしょうか?
そうです。胆汁の中に含まれている、ビリルビンという物質が影響してくるのです。これがウンチに含まれている成分の酸性、アルカリ性のどちらかに反応して色が変わります。うすい黄色から黒褐色までの色に変わりますが、その色によって腸の健康状態がわかります。ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が多くて、もっとも好環境であれば、腸内は弱酸性になり、ウンチの色は、黄色っぽい色になるのです。これが理想的なのですが、動物性脂肪の多い肉類などを多くとっていると腸内はアルカリ度が強くなり、ウンチの色は、黒っぽくなってきます。茶褐色から黒に近づくほど、腸内には悪玉菌が増えていることになるのです。

臭いで判断する


ではウンチの臭いは、ない方がいいのでしょうか? ウンチがくさいのは当たり前! という声が聞こえてきそうですね。確かにそうですが、そのくさい臭いにもいろいろなくささが。この悪臭こそ腐敗菌によるものです。腸内の腐敗が進むと刺激臭のある「う~ん、たまらない」という、自分でもいやになるぐらいの悪臭を放つはずです。
このウンチの臭いもやはり、食べ物に関係してきます。肉や脂肪分の多い食事だと、刺激臭のあるくさい臭いとなり、逆に緑黄色野菜など食物せんいの多い食事をとっていると、腸内には善玉菌が多くなって、発酵性の、それほどいやな臭いではなくなりますから、自分でも気にならなくなるはずです。
良いウンチの形は、バナナ状
◎形で判断する
さて、ウンチの色も臭いも健康にぴったりということになったとしても、もうひとつ、形と量が関係してきます。人種によって腸の長さが違うように、ウンチの量も違います。
もちろん食べる量、内容によっても違うのは当然です。そこで、日本人に限って説明してみます。理想的ウンチは「バナナ」とよくいわれますが、色と形もバナナのようで1回の量もバナナ2本分ぐらい、そして固さは排便後トイレットペーパーを使わなくてよい程度を目安にするといいというわけです。

排便は毎日あるのがいい


ウンチは毎日規則正しく同じ色、形、量がいいのはもちろんですが、それはあくまでも目安です。ぜったい毎日ないとよくないのか、というとそういうわけでもありません。毎日あっても、固くてコロコロだったり、ゆるいウンチだったりということもあります。たとえ毎日排便があっても、固かったり、苦痛があったりするのは健康とはいえず、おなかの状態もいいとはいえません。排便の回数よりもまず気持ちよくきちっと排便できて、色も臭いも平常ならそれで大丈夫です。そうでなく、ウンチの状態が悪いのはひっくるめて便秘ということになります。排便のリズムが狂うとウンチの色も形も悪くなり、悪臭を放つことになります。そうなると排便痛をともない、そのためつい便意を我慢してしまったりするのです。こうなると悪循環になってしまいます。ウンチの形がこのように違うのは、それが含んでいる水分の量によります。水分が80%以上だと軟便で、半練り状や泥状、水状ということになります。下痢の症状は水分が90%以上で、ほとんど水状というわけです。
逆に、水分が70%以下になるとカチカチ、コロコロの状態となり便秘になってしまいます。

玄米のごはん

食生活とウンチの切っても切れない関係


◎こんなときは医師に相談
健康で気持ちのいいウンチを毎日出したいと思ったら、どうしたらよいのでしょうか? おなかに善玉菌が増え、スムーズに便が出ていってくれる環境をつくればいいのです。そのためには、食生活を変えるのがもっとも近道です。ウンチの色が良く形も量も水分もほどほどになるには、食事内容が大きく影響してきます。ごはん中心の日本食で緑黄色野菜やせんいの多い食品をたっぷり食べる、これに尽きるのです。
黒っぽいウンチが出たら、あぁ食事が悪いんだなと思い、意識して野菜を食べるようにすれば、少しずつ黄色に近いウンチになっていくはずです。それがいつまでもどす黒いいやな色のウンチのままが続くようでしたら、要注意!! いつもとは違った真っ黒なウンチになったりしたら、胃や腸のどこかに出血があるかもしれません。その出血が、腸を通って出ていくときには、黒くなっているからです。ウンチに血がついていたり、真っ黒な固いウンチになってしまったりするときは、どの場合も腸の病気を疑う必要があります。すぐに医師の診断を受けましょう。このようにたかがウンチ、されどウンチです。普段から自分のウンチの状態をよく観察しておいて、いつもとは違うと思ったら、即、医師のところへ。
特に気にしなければならないのは、下痢便のときです。下痢便に、いやな臭いがするときは、消化不良を起こしている可能性があります。また、黒っぽい下痢のときは、血液が混じっている可能性がありますので、医師に確認してもらう必要があります。
食物せんいとマグネシウムの多い食品は便通を良くする

野菜は煮るのが一番


食物せんいやミネラル(カルシウム・マグネシウム・カリウム)が多く含まれた食品をとると、腸の動きが活発になると同時に、腸内細菌(ビフィズス菌等)の働きが活発になり排便がスムーズに行われるようになります。ぜん動運動(腸の動き)が盛んになると、有害物質や水分の再吸収を防ぎ、血液の汚れの原因をとり除くことができます。
一例をいいますと、私たちは野菜といえば生野菜を考えますが、生野菜の90%は水分です。その中で野菜100グラム中に含まれる食物せんいは、例えばレタス0・5グラム、キャベツ0・6グラム、ホウレン草0・8グラムしかありません。食物せんいを多くとるには野菜は煮るのが一番です。
便秘の解消には1日4グラム~20グラムのせんいが必要といわれます。1日20グラムのせんいを野菜サラダからとることは大変な苦労です。色々な食品から多くのせんいをとる工夫が大切です。毎日が忙しい現代人は、食生活の一部として栄養補助食品の利用も効果的だといえます。
オナラの臭いで、健康の度合がわかる

臭いで判断する


腸の健康状態を知るのに必要なのは、ウンチだけではありません。もう一つ、腸の状態を的確に知る方法、それがオナラです。通常の人の消化管の中にはおよそ100mlのガスがあるといわれています。これらは食べたものを腸内細菌が分解して発生するガスです。
腸内細菌によってオナラの臭いももちろん変わってくるのです。では、オナラの成分はどんなものなのでしょうか。今ではすでに400種類もの成分によって構成されていることがわかっています。
 
無臭成分 酸素、水素、窒素、炭酸ガス、メタンガスなど
悪臭となる成分│硫化水素、アンモニア、インドール、スカトール、揮発性脂肪酸、揮発性アミンなど
 
このうち、酸素と窒素以外は、腸内細菌がもたらすガスです。そしてそれらがオナラの悪臭の原因となるというわけです。量にしてはわずかなガスがくさいオナラとなって出てくるのです。
食べる物によってももちろんガスの成分は変わってきます。よくおいもを食べるとオナラが出やすいというのは当たっています。芋類や豆類の多い食事はオナラが出やすいことがわかっています。しかし、だからといって敬遠する必要はありません。普段から食べていれば、それほど気にしなくてもよいぐらい、くさくなくなってきます。
我慢したオナラはどこに?

逆流するオナラ


みなさん誰しもオナラを我慢した経験があるはずです。人前ではちょっと、と思って我慢するとオナラは出口を失って逆流し、最後は口まで達してしまいます。しかし、このくさい臭いもそのまま逆流するわけではなく、腸を通っている間に腸粘膜を通して吸収されます。それが血管を通って肺まで運ばれ、口から排出されることになるのです。

下痢の原因
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次回は
第3章 微量元素と腸内細菌
腸と微量元素 腸の吸収のしくみ  お楽しみください

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