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詩堕落

机の上には乱雑に散らばった錠剤の山

キラキラ銀紙

背中が沼に沈み込むように布団

腹が減った

目の前に見える限りの菓子に手をつけ

乱暴に開けては、手当たり次第口に放り込む

半開きの目、虚ろな眼

朝流し込んだコーヒーが胃を刺激する

寝ることもできず起きることもできず

スマートフォンでSNSを一巡しては

腕を投げ出し

また思いついたようにスマホを眺める

通知がない画面内で虫眼鏡を探し

検索欄は空のままじっと

何を欲しているのか

欲していないのか

ただただ寂しい

五臓六腑に染み渡る孤独は

どこか温めのワンカップに似ている

テレビをつければ馬が走る

ただただずっとグルグルと馬が走るのを

楽しくもなく面白くもなく

ただひたすら

蛍光色ばった朝の光が

天頂で黄色に

オレンジに傾いた頃には

日曜を送り出す準備をする

まだ早めの夜の帳が

健全という切迫感から解き放ってくれる

堕落の極地への放流

汚水を得た魚

新月から光を取り戻して鈍く反射する鱗の

禍々しさが

僕には見えてなくてよかった

明日とさよならをする

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