【献詩】珈琲
本格的な春の到来を予感する
夜は生暖かい
久しぶりに水出し
ブルボンの芳醇な香り
グラスに注いで
喉を潤すように
一気飲み
贅沢な風が鼻腔から鼻先へ抜ける
底に残った苦味の一滴に
ペン先を浸し
荒波がぶつかり合うがごとく
渦を巻くように筆を走らせる
痩せ細った土地に
燃え盛る花の美しさも
一夜の夢の如し
煎った豆を撒いても
この口に入ることはあるまい
「孤独は良いものだ」と
分かち合える人に思いを馳せる
きっと日の出とともに
訪れる瞼の羽休めが
深みのBLACKへと誘い
ランプの頼りない灯りごと
全て忘却の彼方へ消し去ってくれるだろう
移りゆく景色のように
眼前に広がる陽炎の色彩
きっと悪酔いが見せた幻
嗚呼、少し寒くなってきた
僕は上着のZIPを少し上げた
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?