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【超ショート】テレパシー

いつもの天井

ゆっくりと幕が下りる

右腕を重しに

背中をなぞる指先のライン

細かく波を刻む

おでこにかかる前髪を

そっと払って

唇で眉間にそっと触れる

冷たい鼻頭と鼻頭をくっつけ合わせ

左手は右の頬へ

余韻を残したまま

右手は

左耳を中指と薬指の間で

そっと

瞼が「ここ」以外の世界を

遮断する

「君はどこ?きみのなかのきみはどこ?」

「隠れてないで、出ておいで」

「こわくないから」


どこからか


「ねぇ?いこう?」

「もういっちゃおうよ」


無邪気な企みと誘惑


突然のカーテンコール

幕が上がる

滲んだ

いつもの天井

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