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【似顔絵ショート】鎖を絆に解きし者

赤い糸であやとりをしていたら

思わず絡まってしまって

それでも仕方ないかと

纏わりつかせていたら

連なる冷たく堅い輪に

体温を奪われていくのを感じた

まだ間に合う?

タンパク質と鉄分の間に解決策を挟もうとするも

頑強なそれはびくともせず

しばらくは窮屈さと同居しながら

解決策を探す旅へと出た

「旅」とはいうものの

足枷を付けたまま歩き続けるのは

目の前にどんなに素晴らしい景色が広がったとて

その感触と重みが私の目線を地の底まで引きずり込もうとする

時折奴隷のようにミドル・パッセージを歩かされている気分にもなる

それでも新たな人と本と智慧との出会いは

少しずつ私に纏わりつく「鎖」の断ち方

あるいは払い方といえばいいだろうか —

私にヒントを授けてくれた

そして、世界を見渡してみると

私のように

いや、私とは違って自らその鎖を

まるでご褒美をもらえるペットかのように

ありがたがってねだる者もいる

絆という名の鎖

絆に見えている鎖

いや、そもそも自らを放棄して

その鎖に安寧を求める者

だけど、同じ足枷を付けた私が

彼らを嘲笑うことなど

到底できはしない

私は旅の途中で手に入れた様々な知識を

今度は横断する旅に出た

点と点とが線になり

やがて面となって1つのページとなる

ようやく少しわかったことがある

「鎖」は力では切ることも払うこともできない

なぜならそれは元々「絆」でもあったからだ

ならば、あやとりの「あや」を一つずつ解くように

そっと、優しく扱わなくてはならない

その方法をもう少し探してみよう

まだ太陽は私の上で輝いているのだから

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