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記録をとること

#記録 #伝承 #聞きがたり #文化 #ヒアリング #感んじること

時間を感じて、言葉にして伝えること。
記録して、伝えることはすごく難しいと感じている。
昔の史実を調べようとすると、津波被災地では今まで集めた記録や古文書が流されてしまっていて、再生不可能な部分が存在する。今、聞きがたりをしないと情報が消えていくと感じている。
(余談だけど、自分が携わっているところは少しづつまとめていきたい。)
一般論で言えば、古い記録は古文書的な資料を見つけ丹念に調べる必要があり、現代では情報が溢れかえっているから何が正しいのか自分で判断しないといけない。
それでも、歴史から何かを学ぶことや、今目の前を流れる時間の大切さを知るには、どういう人たちがどういう意志を持って今の時間に至る時間を紡いできたものか知ることが大事だと感じている。

記録を残すこと
記録を残すことが何となく偉そうな行為で、押し付けがましいと私は感じている。書き手と読み手の問題なのかもしれないけれども、誰のために何を残しているのか、誰のためにその情報は発信しているのか、、、現代の病みたいなものなのかもしれない。
それでも、感じていることや、関わってきた記録、これから関わるもに対する記録を、忘れないうちに書き留めておきたい。
一つ、同じことが二度と起きないように
二つ、遠くのどこかの誰かに伝わるように

こうした、デジタルへの記録は誰かが検索すれば、ひっかかる可能性がある。
豊かな文化を育む地域から親子三世代で暮らす世の中が戻ってくる可能性はあるかもしれないが、5年10年は起こらないと思う。
こうした記録は一番簡単な現代的な口伝伝承のようなものだと感じている。
だから、気になった人が気になったタイミングで読んでもらえるようにどこかに保存するのである。

情報が溢れるなかで、自分の手で、動いて、なんでもやってみることから遠くなってしまった。
そうした意味で身近で感じたことを書き留めるのも、今、私がやってみたいことの一つなんだと思う。
そんなことを愛知県の高蔵寺に住む津端夫妻の「人生フルーツ」という映画を見て、二人のききがたりをまとめた二冊の「ときをためる暮らし」と「ふたりからひとり」を読んで感じた。

感情、感じることの大切さ
この二冊、非常に素敵なききがたりの本です。
二人の生活がそこに手触りを持って伝わってくる。
自分たちらしい暮らしと?はという問いを、改めてたてるような野暮なこともせず、ただ、自分たちの暮らし体現してきた二人の物語です。

少し視点がずれるが、都市・建築という学問分野の人たちもききがたりの類似のオーラルヒストリーやヒアリング調査という呼称で、いろいろなことを調査しまとめているが、そこにはまとめるなかでその人たちの感情が抜け落ちていってしまう。(例えば、住宅の建て方や間取りなど)
それらの調査はある視座に基づいてまとめるので、視座の積み重ねの観点からは大切なことが積み重なって・文化へつながっているのかもしれない。それでも、そこでの暮らしを積み上げていくには不十分な気がする。
物事の成立させるには経済や物資、そして個人の思いがそこには存在するので、それを選択した人の存在が不可避のため、文化をつくるための伝承には感情が必要なんではないかと感じている。
人文系と工学系とでも言えばいいのかもしれないが、二つの領域を丁寧に融合させていく必要があるんではないかなぁと、なんとなくぼやっと感じる。+それに伴う実践も不可避です。

本の話に戻る。
好きな文章は末尾に転載します。
個人的には面白かったのは“男の人にはおもちゃが必要”という文章です。
自己肯定のことばを見つけた!とまでは言わないまでも、生活がおもちゃだけで成立していくように暮らしていけたらいいな。
この1年で欲しいおもちゃは野菜を育てること、小屋をつくること、大人なサロンをやること、、ですね。

最後に記録として気になった文章を転載します。

「ときをためる暮らし」より
“自分の手で暮らしを見据えたストックをつくること。それが〈ときをためる〉ということです。”_ p.80
“未来に向けて新しい暮らしをするんだなって思っていた。いつも前だけ向いて、あまり心配はしなかった”_ p.177

「ふたりからひとり」より
“あ、お父さんの前で「忙しい」というのは禁句で。心を亡くすと書くでしょう。「自分の好きなことをしているんだから、忙しいというのは、言ってはいけないよ」と”_ p.39
“お金よりも大事なものはたくさんある、そういう風に感じられる人間が、底辺にたくさんいると、世の中は変わっていくんじゃないかな”_ p.105
“なんか一方的でね。世の中はどんどん便利になっているけれど、それと同じ分だけ、いや、それ以上に忙しくなって余裕をなくしているなと”(*入院中の病院にて、医療の効率化とマニュアルと手順の下り)_ p.142
“お金を出せばなんでも手にはいる便利な時代だけど、自分の手足を使って暮らすのが、本当の豊かさなんじゃないかって思います。"_ p.152

今が、遠くの時間を過ごす人に繋がっていくことが大切何だろうなぁと感じています。

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