歯医者でひどい目に遭う話 その2
およそ1年越しに続きです。
不穏な気配を感じつつ先延ばしにしていた歯医者ですが、定期検診(避けすぎて定期にはなっていない)に、さすがに行かなくてはならないだろうと行きました。実は私が再根幹治療を受けたその歯科医院は、院長先生が病気によって交代してしまっていました。そこで、新しい院長先生から、「再根幹治療から結構経っていて、経過をチェックしなくてはいけないのですが、ここでは治療を継続することができないので、別の病院を紹介します。とりあえずそこで経過を見てもらってください」と言われてしまいました。行くしかない空気…。
渋々行った新しい歯医者の先生は、見た目、体型、話し方、留学先などから勝手に判断するに、正直前の先生よりも器用そうだし有能そう。でも淡々としています。
「どうやらこことここ、2か所は外科処置が必要です。しかし、どちらも奥の方なので歯茎を切っての処置がやりづらく成功率が低い、代わりに一度歯を抜いて、歯の根を切り、再び戻すというやり方があります。」
え…こっわ…そんなの聞いてませんけど。本当に戻るの?戻らなかったら??抜けたまま?歯、失っちゃうシステム…?そんなのヤダ…。
実際のところその可能性はかなり低い、抜くときに歯が割れてしまわなければ大丈夫みたいなんですが、私は「起こりうる悪いことはどんなに可能性が低くても、私がその貧乏くじを引く」と思ってしまうタイプの人間なのです。すごく怖い。
今冷静に考えると、歯茎を切って云々よりも「歯を抜く」の方が、今までにも親知らずで経験のあることだし、しかもそれが戻せるのなら、そちらの方が怖くないような気もするのですが、もしかしたら歯を失うかもという恐れに怖気づいてしまいました。
「やる方向で検討します」と一度病院を後にして、考えてみることにしました。
そうして、「歯医者に行くのをギリギリまで先延ばしにしちゃう族」の暦でいうと2週間、世間でいう2年の月日が流れました。
さて突然ですが私は副鼻腔炎を持っています。といっても別に鼻が詰まるとかいうことではないのですが、副鼻腔がすごく乾燥しやすくて、ひりひりと、文字通り炎症を起こしやすい。隙を見せるとヒリヒリします。そのせいか、時々匂いがわかりにくいような気がすることがあり、それが酷くなってきた気がしたので、ちょっと心配で、大きな病院でCTをとり、ついでに嗅覚検査をしてもらいました。
嗅覚検査、どうやるか知ってます?(本題と全く関係ありません)
先生「アリナミン用意して」
私(アリナミン?アリナミンVで言うところのアリナミン?)
看護師さん「これ注射しますね。なんか臭いがしたら言ってください。何の臭いか分かったらそれも教えてください」
私(ちょっと何言ってるか分かんな…クッッッッッッッサァ!!!!!)
私の中のサンドウィッチマンが慌てています。
私「します…ニンニク??」
別の看護師さん「9秒ナントカでーす」
看護師さん「じゃあ臭いがしなくなったらまた教えてください」
(展開に全然ついていけてないんですけど…くさいよーくさいよー。あれ?薄くなってきた…?)
私「消えました」
別の看護師さん「〇秒でーす」
というわけで、嗅覚検査はいわゆる「ニンニク注射」と呼ばれるビタミンB1を注射して、臭いを感じるまでの時間、それが消えるまでの時間を測るということのようです。ビックリ。元気になりそう。
さて、CTと嗅覚検査の結果です。
「特に大したことはない、嗅覚にもそんなに異常はない。そんなことより歯が膿んでる。」
ハッッッッッズ!!!とんだ辱めを受けてしまいました。深刻に悩んだ顔して耳鼻科に行ったら、何ともないけど歯が膿んでるって指摘される、そんな恥ずかしいことあるでしょうか。さすがに行くしかありません。
と考えたそのときのことでした、新型コロナウイルスがやってきたのは。コロナ禍で歯医者、なんだか怖すぎです。だって飛沫です。歯医者といえば飛沫です、多分。これは行くなってことかな?神様が「まだ行かなくて大丈夫だよ」って言ってくれてるのかな?「歯医者に行くのをギリギリまで先延ばしにしちゃう族」の氏神様の思し召しかな?
いいえ、全然違いました。今までちょっとの違和感しか感じてなかったところ、緊急事態宣言とともに、突然腫れました。氏神様、むしろ行けって言ってます。もう行け!さすがに行け!って言ってます。
確かにここまで来たら、放っておいても歯を失うのは時間の問題でしょう。このまま先延ばしにして結局ダメになった歯を普通に失うよりは、救済の可能性があるのなら、抜いて戻す、やってみてもいいんじゃない?
というわけで、2年ぶりに訪れたその歯科医院、淡々としていた先生が、なんだか優しくなっていました。私が2年延ばした間に、移転したからでしょうか。稼がなくてはなりませんから、患者さんには優しくしないといけませんよね(※個人の偏見です)おかげで前よりも少し説明も丁寧になっていて、なんだか安心感が増しました。それもこれもこの2年があってこそ。氏神様のご加護ですね。一族の誇りを守り続けた私の信念が届いたのでしょう。
しかし2年たっているので、検査もCTもやり直しです。そして同じ説明をもう一度受け、歯を戻せるように丁寧に抜くので、抜歯に通常より時間がかかる(怖い)こと、ペンチで挟むためクラウンは破損してしまう可能性が高く、その場合は作る直す必要がある(高い)ことなども納得した上で、同意書を書き、予約を取りました。
とはいえ、割と流行っている歯科医院なうえに、時間のかかる処置なので、取れた予約は1か月後。私の決意、維持できるでしょうか。
それはまた次回の講釈で(♪『ガンダーラ』)
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