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国語教師が悩む、「大丈夫」って?

先日ラーメン屋さんに行きました。食券を買ってカウンター席に着きます。笑顔の店員さんに聞かれました。
「いらっしゃいませ。お一人様で大丈夫ですか?」
大丈夫?どういうことだ?俺、大丈夫じゃないって思われてるのか?
「かわいそうに、一緒にラーメン食べてくれる人もいないのね、大丈夫?」ってことか?
「ひとりでラーメン食べるなんて、おかしいんじゃない?」ってことか?
自分が大変恥ずかしいことをしているような気になりました。

もちろん、
「お一人様で大丈夫ですか?」は、
「お客さん、ひとりですね。間違いないですね」
の意味合いだということはわかります。わかりますが・・・

私、漢文なんかも教えてるもんで、「大丈夫」の意味をつい考えちゃう。

「丈夫」とは古代中国では身長一丈の健康な男性を指しました。兵士になれる男です。この場合の一丈は一メートル八十センチほど。(そりゃ高くないか?もっとも時代によって変わりますが)だから頑丈な体や、頑丈な物は「丈夫」、特に体の大きな健康な男性のことを「大丈夫」。一人前の立派な男です。
 劉邦は無名時代、秦の始皇帝を見てこう言いました。
「大丈夫、かくの如くなるべし」(一人前の男たるもの、こうなりたいものだ)

日本では次第に、「大丈夫」は「危なげなく安心できる様子、強くてしっかりしている様子」や「間違いなく確かな様子」の意味で使われるようになりました。

なるほど、「お一人様で大丈夫ですか?」に他意はございますまい。
つまりは、「お一人ですね?」

でもね、「お一人ですか?」でいいんじゃないか?
「大丈夫」はもっと大事な場面で使うべきじゃないか?

「大丈夫か?怪我はないか?」とか、
「大丈夫、俺はまだ生きているぞ」とか、
「だいじょうぶだぁ」とか。(志村けんさん、安らかに・・・)

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