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『アンチ』を類型化してみた《コンテンツ論考》

1.はじめに  

トップに固定している記事「人気があるコンテンツとは」の中で、アンチ・ライト・コアの割合は2対6対2になることを書きました。

どのコンテンツにおいても『アンチ』は必ず存在します。

ただ、一言で『アンチ』と言っても、その態様は一様ではありません。

そこで、私なりに『アンチ』を5つに類型化してみました。よろしければ説明にお付き合いいただけるとうれしいです。

見出し画像は、鳥取県境港市にある「鬼太郎ロード」を見に行った際に撮った電車(「猫娘」仕様)です。座席等の内装も「猫娘」のイラストが使われて凝った車両だったのを記憶しています。
今の「ゲゲゲの鬼太郎」に出ている「猫娘」は美少女なので、子供がこの車両を見ても「猫娘」だと思わないかもしれません。

この文章は、江ノ電の「撮り鉄」による炎上騒動を眺めていて書くことを思いつきました。
私は鉄道に全く興味がありません。電車は撮る物ではなく乗る物と認識しています。旅の思い出に撮ったこの写真しか、私の手元にはありませんでした。
車を運転していると「撮り鉄」らしき人をたまに見ますが、実害を受けたことはなく、すぐ隅に寄ってくれるので、どちらかというと大人しい印象を持っています。ネット上ではマナー違反をよく指摘されている印象です。
手を上げる「江ノ電自転車ニキ」と並走する電車を撮ったあの写真は、構図が良く、解放感や意外性もあって、いい写真だなと思いました。あの写真を撮った人は、性能の良いカメラを上手く使いこなしていると思います。


2 .『アンチ』の5つの類型

①  生来アンチ(セイライアンチ)

そのコンテンツに対して多数派になるのを好まない、生来的に『アンチ』気質な人です。『コア』になるのは信条に反するため、コンテンツをたまに褒めても『コア』側につくことはありません。例えとして適当か分かりませんが、分かりやすく言うと、「アンパンマン」ではなく「バイキンマン」でありたい人です。

コンテンツにとても詳しいため、「おまえ実は好きなんだろ」と言われがちです。ユーモアのセンスがあったり、知性もあったりするので、コンテンツへの皮肉が上手だったり、たまに鋭い指摘もします。

少数派でいるのがアイデンティティであるため、多数派になりそうになると戸惑う傾向があります。
そのコンテンツに「通であること」を好むので、『ライト』が安易に自分たちと同じ『アンチ』側につくのを煙たがります。「①生来アンチ」が好んで使っていた言葉は「半年ROMれ」や「ggrks」だと思います。

②  奇行アンチ(キコウアンチ)

「奇行」をする性格であるため『コア』側にはなじめない一方で、コンテンツへの関心は非常に高いため、『アンチ』にたどりつく人です。語彙力や文章力といった表現力に乏しいため、その言動に支持や共感が集まることはありません。
「奇行」をしますが、「①生来アンチ」がネタにしながらも批判することで、エスカレートした行動に出ることを抑えられています。分かっていないので「奇行」をしており、エスカレートしてしまうと犯罪行為に及ぶ危険があります。
「①生来アンチ」の観察対象であり、ある種のコミカルさを見い出だした場合は、「マスコット」扱いされることもあります。

『ライト』からは「またあの人が何かしてるよ…近づかないでおこう」と思われています。
『ライト』から支持や共感を受ける言動は「奇行」ではありません。理解しがたく嫌悪される言動であるため「奇行」であり、物事が分かっている人は「奇行」をしません。
「②奇行アンチ」の場合、本人自身はコア活動をしていると思っていることもありますが、『コア』からすると『アンチ』にしか見えません。


③  反転アンチ(ハンテンアンチ)

元々は熱狂的な『コア』でしたが、『アンチ』堕ちした人です。本人にとって「酷い裏切り」と思えるような出来事があったり、「関心がある人たち」が急に増えたりすると発生します。現実的には「逆恨みストーカー」に当たります。
コンテンツを殺しかねない危ない人なので、「反転の反転」という奇跡でも起きない限り、コンテンツから離れてほしいです。「自己愛」が強いため「反転の反転」は難しいと思います。
『コア』は「裏切り」があっても「コンテンツ愛」の強さから「赦す」ので、『アンチ』になることは稀です。「③反転アンチ」の数は少ないですが、コンテンツにとって脅威です。「①生来アンチ」から見ても、「③反転アンチ」は怖くて近寄りがたい存在です。

「あなたと長い付き合いの自分だから分かる。世の中には他にもあなたに合うコンテンツがきっとある。他のコンテンツに目を向けたらどう」と『コア』が説得する対象です。『コア』は『アンチ』を相手にすべきではありませんが、「③反転アンチ」は例外です。

『コア』や『アンチ』はブレないので、「手のひら返し」をすることはありません。
「手のひら返し」をして、状況次第で『コア』側についたり『アンチ』側についたり態度を変えるのは、関心層の6割を占める『ライト』です。
その意味でも「③反転アンチ」は例外だと思います。

『コア』でも関心が落ちれば『ライト』になり、関心を失えばコンテンツから離れます。また『ライト』から『コア』や『アンチ』になることはあります。

「③反転アンチ」は『コア』から『ライト』を経ずに『アンチ』になるという、とても極端な状態になった人です。『ライト』を経ないのは、非常に強い関心を持ち続けているからです。
本人のためにも、そのコンテンツから距離を置いて落ち着いたほうがよいのではないかと思います。


④  正義アンチ(セイギアンチ)

『コア』にとって『アンチ』の中で一番厄介な存在です。そのコンテンツを潰す意思を持って、コンテンツの「良くない面」を強調した「正論」を語る人です。
「君子危うきに近寄らず」のとおり、賢い人は良くないと判断したコンテンツからすぐ離れます。
しかし、「④正義アンチ」は、良くないと判断したコンテンツは世の中のためにも積極的に排除すべきだという強い意思を持ち、コンテンツに粘着して「正論」を発信します。
「正論」であるため、「①生来アンチ」は賛同します。また「正論」であればあるほど、『ライト』からの支持や共感も得ることができます。
「正論」はコンテンツの健全化や自浄化に寄与する面もあります。コンテンツが改善すればアンチ活動をやめて、コンテンツに関心を持ち続ける人は、「④正義アンチ」ではなく『ライト』です。
「④正義アンチ」は、コンテンツが潰れるまで攻撃をやめず、「正論」どおりにコンテンツが改善すると関心を失ってコンテンツから離れるのが特徴です。

コンテンツの作り手が問題やミスを起こした場合、『コア』は劣勢になり、「④正義アンチ」が大活躍して、コンテンツは「炎上」します。
『コア』ができることは、『ライト』がなるべく『アンチ』側につかないよう、ポジティブなメッセージ(そのコンテンツの「良い面」)を色々と発信し続けることだと思います。

「④正義アンチ」の多くは、「正論」を語る自分を称賛してほしいという承認欲求があります。『ライト』からの支持や共感を受けられない状況が続けば、コンテンツから自然に離れていきます。
「④正義アンチ」がいなくなっても、「正論」自体は「①生来アンチ」の持ちネタとして残り続けます。

私は、「良くない面」と指摘される短所は、実際は長所として作用することもあって、そのコンテンツの特別な個性になっている場合があるので、よく分析してから判断したほうがよいと考えています(弱点がなくなると、強みも消えることがたまにあります)。
ただし、「違法」なもの(権利侵害や義務違反)は絶対にダメだと思います。


⑤  外敵アンチ(ガイテキアンチ)

コンテンツが競合している中で、競合する他のコンテンツを貶めるためにネガティブな情報ばかりを発信する人です。競合コンテンツ側の『コア』が「⑤外敵アンチ」になっている場合もあります。そのコンテンツの人気を落として「オワコン」にさせたい人です。

①②④の『アンチ』のフリをしているので、見破るのが非常に難しいです。『コア』には見極めができません。「⑤外敵アンチ」と見極めることができるのは、「①生来アンチ」だけだと思います。

「⑤外敵アンチ」であることが露見すると、『コア』と「①生来アンチ」の両方から批判されるという面白い光景を見ることができます。分かりやすく言えば、「アンパンマン」と「バイキンマン」が共闘して倒される敵のようなものです。
明るみに出るリスクを考えると、「⑤外敵アンチ」にはならないほうがよいと思います。

3.おわりに

以上のとおり『アンチ』を私なりに類型化し、説明してみました。『アンチ』はどのコンテンツでも関心層の2割を占めて存在していますが、『アンチ』の中で「①生来アンチ」と「②奇行アンチ」の比率が高い場合は、幅広い人から関心を集めているコンテンツだと思います。

「④正義アンチ」の比率が高いと「炎上」リスクの高いコンテンツです。「炎上」したコンテンツにはマイナスイメージが付きますが、関心を持つ人を一時的に増やす効果もあります。そのため、「情報戦」における『コア』の働きやコンテンツの作り手の対応によっては、「人気」の拡大に繋がる可能性があります。
しかし、マイナスイメージによるデメリットのほうが普通は大きいので「炎上」しないほうがよく、燃えても早い段階で「火消し」すべきです。

なお、『コア』は『アンチ』と方向性が正反対です。
①生来コア、②有能コア、③熱狂コア、④正義コア、⑤身内コアに分類できると思います。簡単に説明してみようと思います。

①生来コア
自分が良いと認めたコンテンツを最後まで信じて支えることができる人です。『コア』側につく人が増えるのを喜びます(関心を持つ人=ライト層が増えただけでも喜びます)。
緩いので『ライト』に見られがちですが、『ライト』と違ってブレることがありません。

②有能コア
「コンテンツ愛」から行った活動で『ライト』の支持や共感を集めることができる人です。
自意識過剰になると「コンテンツ愛」が弱まり、『ライト』になってしまいます。

③熱狂コア
熱中してコンテンツを支持する人です。コンテンツを支える柱です(『コア』中の『コア』です)。いわゆる「ガチ恋勢」は「熱狂コア」に当たります。
『コア』側にいる人を競争相手(ライバル)と見る傾向があるので、『コア』の数が増えるのをあまり喜びませんが、仲間意識は持っています。

④正義コア
コンテンツの「良い面」を絶賛して布教する人です。
積極的に布教するので、武闘派(いわゆる「親衛隊」)もいます。
「良い面」を限定する等、排他的な思考を持つ「原理主義者」になると、『アンチ』だけでなく『ライト』まで攻撃しています。コンテンツが人気であるために、寛容であってほしい人です。

⑤身内コア
コンテンツが潰れると困る利害関係者です。コンテンツを根強く支えています。コンテンツに人気があること(コンテンツが続くこと)を重視しています。

私が勝手に考えた類型化であるため、絶対に正しいものとは考えていません。より優れた分類もあると思います。

「お気持ちを表明する人」「逆張りで行動する人」「愉快犯」等も『アンチ』に分類できるか考えましたが、私はこれらの人は『ライト』だと考えています。『アンチ』はどんな状況でも『アンチ』であり続けてブレないからです。

また、「被害者意識の強い人」は『コア』にも『アンチ』にもいると思います。
同情や憐れみの対象になれば『ライト』からの支持も一定得られるかもしれません。
ただし、「被害者意識」しか強いアピールができない(差別化できない)なら、見ていてツラいものに関心を持ち続けられる『ライト』は少なく、自ずと「閉じたコンテンツ」になるため、人気が先細りします。
「開かれたコンテンツ」でなければ、幅広い人気を獲得できないと思います。
「かわいそう」というネガティブな印象のコンテンツよりも、「好き」というポジティブな印象のコンテンツのほうが、最終的に『ライト』から多くの支持を得られると思います。


分かりやすく説明できたか分かりませんが、この文章が読んでいただいた方の考えや行動の手助けになれば幸いです。

長文になりましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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