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君のいる場所

タイトルの『君のいる場所』は台湾の絵本作家ジミーの作品。日本での初版は2001年。20年近く前の絵本だ。この本と出会ったのは10年くらい前、新宿の紀伊国屋書店へ行ったのがきっかけだった。店内を見て回っていたら平積みされた沢山の本の中で一番大きいポップが付けられたこの本に目が留まった。店員さんのおすすめの一冊だったんだと思う。僕はこの本の表紙に惹かれた。寂しさと温かさ。両方を感じた。立ち読みして内容を確認できたけど、そこで読んでしまうともったいない気がして中身を見ずに買った。

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内容は、

どこかの国のどこかの街で暮らす二人の男女。彼にはどこに行くにも右に曲がる癖があり、彼女にはどこへ行くにも左に曲がる癖がある。沢山の人が暮らす大きな街で孤独を感じる日々を送る二人。同じ場所にいてもお互いの癖がお互いを最も近く最も遠い存在にさせていた。そんなある日、あることをきっかけに出会うはずのなかった二人は出会う。

運命を感じあう時間を過ごす二人。だが、突然の雨が二人の時間を終わらせてしまう。電話番号を書いたメモを交換し、彼は右へ。彼女は左へと別れる。あっという間に過ぎてしまった幸せな時間を噛み締めあう二人。

しかし、交換した電話番号が書かれたメモはどちらのも濡れてしまい番号が読み取れない。かけてもかけても繋がらず、待っても待っても鳴らない電話。想い合い、同じものを見て、同じ場所にいるのに二人の癖がお互いをまた近くて遠い存在へとさせてしまう。この街のどこかにいる彼女を。この街のどこかにいる彼を探し求める二人。会うことが出来ないまま、それまでよりも孤独を感じる日々。二人はまた巡り会うことが出来るのか…

ジミーの絵は繊細で寂しげ。でも、優しさと温かみを感じる。非現実的な描写もあるのに違和感なく、その時の二人の楽しさ、嬉しさ、苦しさ、もどかしさといった気持ちが分かり本の世界へと引き込んでいってくれる。

『君がいる場所』は友達や同僚の誕生日とかにプレゼントするのにAmazonで10冊以上は買っていると思う。少しでも多くの人にこの本を知ってもらいたくて。推薦図書として書いておきながら申し訳ないけど、『君のいる場所』は数年前に絶版してしまっているようで出版社のHPも見たけど在庫ももう無いようだった。Amazonでも2~3年前まで新品の扱いがあったけど今は古本しか扱っていない。僕の文章力では、この本の素晴らしさを1%も伝えられていないと思う。それでも、興味を持ってもらえて古本でも良いと思う方がいるなら、Amazonやその他のネット通販サイトで調べてみてもらえたら嬉しい。

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