EVはどうなるのか


将来の自動車がどうなるのか。自動車は結構生活に不可欠なので、前からずっと気になっていた。というか今も現在進行系。ガソリンは高いけどこのままなのか、電動車はどのくらい普及するのか。そもそもハイブリッドはトヨタを始めとした日本発の技術であり、完成度も高く素晴らしい技術で国内ではものすごく普及しているのに、ディーゼルに頼っていた(そして燃費不正があった)欧州ではハイブリッドではなくて、完全電気自動車こそが追求すべきもので、中途半端なハイブリッドも認めないなどとものすごい前のめりのEV普及施策を打ったのが、2020年くらいだったと思う。ドイツもフランスも国内では高額な購入補助金(7000ユーロとか9000ユーロとか)をつけて、導入をすすめるとともに充電ステーションの拡充にも相当なお金を注ぎ込んだはず。また域内自由貿易を標榜するはずの欧州委員会が、バッテリー生産と資源の有効利用(バッテリー用の金属が足りなくなることが明らかなため)の域内囲い込みを画策しはじめ、中国韓国などのアジア系メーカーからの調達(本来は自動車メーカーが決めること)排除を鮮明にしてきた。それは脱炭素社会を設計するときに炭素国境調整メカニズム(CBAM)として体よく制度に落とし込んだが、これは今でもWTOの俎上にあがってもおかしくない案件だと思っている。アメリカも環境先進な西海岸を中心にEPAがどんどんルールを前のめり化してテスラ一本足打法の米国EV産業を前にすすめてきた。これに対して日本のメーカーはEVのトレンドに乗るのが遅い、決断が遅い、技術があっても国際市場で負けているという批判を浴びてきた。
 風向きが少し、あれっ?と思えるようになってきたのは、昨年、欧州議会も通ったEV化法案が閣僚理事会で決めきれなかったときだ。エンジン車は2035年に廃止の方向だったのがe-fuelならばOKという手のひら返しになる。ちなみにe-fuelがどのくらいの炭素強度でどのくらいの価格で販売されるのか、そもそも100%e-fuelなどという商品を大量に供給できるものなのか、まったくもって疑問だが、そういうことでトーンダウンしている。また最近は欧州自動車メーカーも燃料電池自動車(FCV)回帰の傾向も見せたりしていて、結局日本の、つまりトヨタの全方位戦略はただしかったのではないか、と思わせる事態となっている。
 そこに来てだ。日本の軽自動車が注目される可能性が浮上。

欧州自動車工業会の会長が昨年11月に、軽自動車の規格や制度設計に言及してもっと手軽なEVににしていくことも可能性として十分あることを言ってる。日本の国内規格である軽自動車がもし欧州でも売れるなら、きっと大ヒットすることは間違いないとおもうのだけど。まあ欧州市場がそんなことを認める理由はないだろう。EV1500万台の目標は諦めないけどやり方を日本に寄せる感じでやるんだろう。
 2024年に選挙があるといっても世界を引っ張っているという自負がある欧州委員会がグリーンな目標を引き下げるなどはおそらくないだろう。達成できないと薄々感じながらもどんどん目標を高くしていて2040年に1990年比で9割削減の目標もついに出してきた。EV市場が鈍化しているところで、次の二の矢として欧州版の軽自動車規格というのは十分にある話だ。日本のサクラみたいなEVが最終的な世界だというのは、そんなに間違えていないのかもしれない。それを考えると、東京電力と日産が協力してDSMとしてのEVテストをおこなったハイパーミニの時代、あれは2000年だからもう四半世紀もまえになろうか。やはり日本はものすごい先見性とポテンシャルを持った国だということでまとめたい。


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