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脳梗塞の症状

今日のポイント

  1. 脳梗塞の主要な症状は運動麻痺、運動失調、感覚障害、視野異常、言語障害、構音障害、注意障害、半側空間無視などがある

  2. ポイントは脳梗塞を疑う症状が"突然"出現したかどうか

  3. 脳梗塞を疑ったら急いでかかりつけ医に相談すること

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脳卒中のおよそ 4分の3を占める脳梗塞ですが、実は脳梗塞は発症後すぐに治療をすることで劇的に症状が改善する可能性があります。迅速な治療には早期受診が不可欠ですが、そのためには症状について予め知っておく必要があります。そこで、今日は脳梗塞の主要な症状についてお話しします。

運動麻痺
 脳梗塞の初期症状で最も多いのは運動麻痺です。運動麻痺は、基本的には左右どちらかの顔面、手、足に生じます。脳は右脳と左脳に分かれていますが、例えば右脳の中で運動を司る部分が脳梗塞で障害されると、左側の顔面、手、足に運動の指令がうまく伝わらなくなり運動麻痺が出現します。具体的には「顔が歪んでいる」「右手でものを持ちにくい」「左足に力が入りにくくて立てない」といった形であらわれます。

運動失調
 運動失調は運動麻痺と一見似たような症状で「右手を思ったところに持っていけない」「歩こうとするとふらつく」といった形であらわれます。運動失調は運動麻痺とは異なり、力は入るのものの上手く手や足を扱えない、という症状です。例えば脳の中でも小脳という運動の調整を司る部分が脳梗塞で障害されると、同じ側の手や足に運動失調が出現します。

感覚障害
 感覚障害は体の一部の感覚がわからなくなる、しびれ感がある、といった症状です。例えば左脳の中で感覚の情報を伝える部分が脳梗塞で障害されると、右側の顔や手足からの感覚がうまく脳に伝わらなくなり感覚障害が出現します。

視野異常
 視野異常は眼には異常はないのにも関わらず、見えなくなるという症状です。網膜から脳へ視覚情報は送られているのですが、脳が処理できなくなり自覚的には「見えない」状態になります。例えば右脳の中で視覚を司る部分が脳梗塞で障害されると、左側の視野が欠損してしまします。具体的には「モニター画面の左側が見えない」「時計の左側が見えない」といった形であらわれます。

言語障害 (失語)
 言語障害 (失語) は言葉の理解ができなくなる、言葉を喋れなくなる、文字の読み書きができなくなる、という症状です。多くの人は左脳に言語の中枢がありますので、左脳の言葉を司る部分が脳梗塞で障害されると、言語障害が出現します。具体的には「意味不明なことをずっと喋るようになった」「人が言っていることが理解できていない」といった症状です。言語障害の方は多くの場合、家族や知人に異常を気づかれ救急車などで病院へ連れて来られます。

構音障害
 構音障害は音声の構築ができなくなるという症状です。言語障害 (失語) とは異なり、言葉の理解や喋る内容、文字の読み書き自体は障害されません。多くの場合は顔面の運動麻痺に伴って出現します。具体的には呂律が回らないという症状です。自覚的にも喋りにくい、と仰る方がほとんどです。

注意障害、半側空間無視
 注意障害、半側空間無視というのはイメージしにくいと思いますが、左側 (稀に右側のこともあります) にある存在へ注意が行かない、あるいは無視してしまうことで、本人から見て左側の世界があたかも存在していないかのような振る舞いをする症状です。右脳の空間認識を司る部分が脳梗塞で障害されると、左側の空間に対する脳の情報処理が障害されてしまうのです。具体的には「車の左側をぶつけながら運転している」「左側から呼びかけても右側ばかり見て気づいてくれない」といった形であらわれます。こちらの症状も家族や知人に異常を気づかれることが多いです。

脳梗塞は脳を栄養する血管が詰まってしまい脳が障害される病気ですが、脳のどの部分がやられてしまったのか、で症状は全く異なります。今回は主要な症状についてお話ししましたが、これ以外の症状が出現することはあります。こういった症状が出現したときに脳梗塞を疑うポイントは「突然症状が出現したか」です。例えば「18時25分ごろ食事中に突然右側のものが見えなくなった」「昨晩23時くらいに寝るまでは普段通りだったのに、朝6時に起きると左手足に力が入りにくくなっていて起き上がれなかった」といったエピソードが脳梗塞として典型的なものです。また、勘違いされることが多いのですが、脳梗塞は頭痛を伴うことはあまり多くないです。

脳梗塞の症状は経験を積んだ脳神経内科/外科の医師ないし看護師でないと正確に評価はできませんが、脳梗塞っぽいかどうかは他領域の医師看護師でも概ね判断できます。ご家族やご自身に脳梗塞を疑う症状が突然出現したのであれば、かかりつけ医に急ぎ相談するようにしてください。お一人でも脳梗塞の後遺症に悩む方が減ってくださると、嬉しく思います。

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